スパイスアンバサダーとして活動しています。スープ料理の魅力を活かしたく、主食をあわせるだけで一食が素敵に完結する「美味しい世界のおかずスープ」の楽しさを提案することにしました。「主食1スープ1」の素敵な食。世界の「スパイスおかずスープ」というテーマでレシピ化し、全12回の連載で発信しています。
【第9回】パキスタン料理「ヤクニ」

今回は八角を使うおかずスープレシピを掲載します。
以前、パキスタン北部のチベタンサイドとも言えるバルティスタン/カシミールで、確かそこはサモサ(揚げ物)などを売る軽食屋だったと思いますが、まだまだ寒さの残る季節、地元のおじさんたちがテーブルを囲み「ヤクニ」と呼ばれるスープをマグカップに入れて美味しそうに飲む光景に出会いました。私はその素朴で何気ない光景に、旅をしている実感がわき、感銘を受けました。その後自分もヤクニを味わったところ、香辛料のフレーバーとお肉(そのときは鶏肉でした)の劇的な、しかしながら自然の美味しさに驚きました。
レシピは簡単です♪
『八角使用のおかずスープ♪ ヤクニ♪』材料(6人分):
- 玉ねぎ
- 1/2個
- サラダ油
- 大3
- チューブにんにく(※1)
- 大1/2
- チューブ生姜(※1)
- 大1/2
- ターメリック
- 小1/16
- 鶏手羽元(※2)
- 600~700 g
- 塩
- 小1
- 水
- 1 L
- 青唐辛子
- 2本
- クローブホール
- 5粒
- 粒こしょう
- 10粒
- シナモンスティック
- 3 cm
- カルダモンホール
- さやごと2粒
- 八角
- 1つ
※1:チューブにんにくとチューブ生姜は、現地のジンジャーガーリックペーストに相当するものです。なければ生のにんにくと生姜を使えます。
※2:ここでは普通のスーパーで買い求めやすい材料として鶏の手羽元を10本使いました。羊肉やヤギ肉があればベターです。
作業工程:1 時間 30 分(2度煮る場合)
- 玉ねぎを薄切りにし、長さ3 cmくらいの短さに切っておく。
- 鍋にサラダ油を入れて中火で熱し、玉ねぎ、チューブにんにく、チューブ生姜、ターメリックパウダーを入れて炒め、玉ねぎが色づいてきたら鶏手羽元を入れ、肉の上に塩をふり、肉の表面を焼くように炒める。
- 水、青唐辛子、クローブホール、粒こしょう、シナモンスティック、カルダモンホール、八角を加えて強火にし、沸騰したらフタをして、吹きこぼれないように弱火にし、30分煮る。
- <翌日の煮込みが可能なら>鍋を再度火にかけ、沸騰したらフタをして、吹きこぼれないように弱火にし、30分煮る。
- 味見をして塩加減などを好みに調える。
- Enjoy!

美味しいーー♡♡♡
旨味と香りの濃さ!!大絶品!!
ヤクニはすごいです。化学的な添加物(コンソメの素など)がゼロでもこれだけの旨味と香りが濃く得られることに感動します。「化学的なものから離れる」という料理の原点に戻るために、こういう料理はデフォで作るとよいですね。私もこまめに実践しています。
ヤクニは冬の暖をとるスープでもあるのでガラムマサラの材料のようなホットなスパイスをメインに使いますが、加えるスパイス類は幅があります。フェンネルシード、クミンシード、コリアンダーシードなどを加えるレシピもあります。また八角やカルダモンを使わないレシピもあります。ただしスパイスはパウダータイプを使うほどスープがざらつくので、極力ホールスパイスを使います。
冬の季節にヤクニを作ってみると、普通にスープを飲む以上に体が温まる気がしました。まあでもそりゃそうですよね、香辛料は薬膳ですものね。ガラムマサラ系統の「ホットなスパイス」をホールで使うので、冬に手足の冷えでお悩みなど血行を良くしたい方に、このヤクニは良いのではないかと思っています。
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「スパイスを使うと、ふとほかの部屋から入ってきたときに、わあ、いいにおいって、料理を見ないうちから美味しそうって思ってもらえる。」
そういう瞬間って、嬉しいじゃないですか。
その瞬間が楽しくて、スパイスがあると幸せが増える。
料理って本当にすごいよね。言葉では伝えられないものなのに、食卓であの国へ旅できるのだから。こうして料理で地球はまるくなる。
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次回はオールスパイスを使ったおかずスープです。また世界の本物のレシピをお届けしますね。前回東アジアと今回南アジアからぐっと離れて、今はまだ寒い冬ですが、一気にカリブ海へ飛んでみましょう。料理の名前が面白い国の料理を掲載します。お楽しみに。
【第1回】きっかけはロシアの「主食1スープ1」
【第2回】「おかずスープ」の定義
【第3回】達成報告!渡航最難関国リビアへ!!
【第4回】ハリッサ使用リビア料理「ハライミ」
【第5回】サテトム使用ベトナム料理「ラウタイ」
【第6回】カレー粉使用英国料理「マリガトーニ」
【第7回】チリパウダー使用米国料理「ホワイトチキンチリ」
【第8回】五香粉(ウーシャンフェン)使用台湾料理「素肉餛飩湯」(スールーフントゥンタン)
【第9回】八角使用パキスタン料理「ヤクニ」
【第10回】オールスパイス使用ジャマイカ料理「フィッシュティー」
【第11回】花椒使用中国料理「水煮肉片」(シュイジューローピエン)
【第12回】ナツメグ使用セントクリストファーネイビス料理「ゴートウォーター」
※本記事はハウス食品及びレシピブログが主催するスパイスアンバサダーに就任したことに基づき執筆するものです。
