<2020年度スパイスアンバサダーの活動報告>
6~8月の活動内容として、スパイスリッチな世界の料理という趣旨に基づき、7回連載形式で、3種類のスパイスに対しそれぞれ2通りのスパイスアレンジレシピを掲載しています。
連載第7回は、アフリカ大陸南端で混交する多民族が形成した『ボボティー』です。
なお、今回のスパイス使用条件には、クミンパウダー、ターメリック、ガラムマサラのいずれかを、4人分を越えない料理に小さじ1を下回らない分量で使うことが含まれます。私はこの定量性ある設定に対し3スパイスのオッズを決め、
スパイス消費スコア
を算出し、【スパイスがたくさん使える!発見レシピ】として6レシピを選出しました。
【スパイスがたくさん使える!発見レシピ*連載第1回】スパイスにオッズをつける
* * *
『ボボティー』は4人分でガラムマサラ小さじ4を使います。
よってボボティーの
ガラムマサラ消費スコア=100
とうとうスパイス消費スコアが100になりました!!
歴史の話。
大航海時代にポルトガルがアフリカ南端の喜望峰を発見しました。インド東方(インドネシア)における香辛料貿易を目的としたオランダは、本国-アジア間の船の補給地としてケープタウンを作り、オランダ人入植者らとその子孫(ボーア人またはアフリカーナー)は地元黒人を使用して農場を運営します。労働者にはマレーシア/インドネシア方面の人々も連れて来られます。当時はまだスエズ運河がなく、欧州-アジアを運行する船はすべてケープを経由しましたから、ケープタウンは国際都市として栄えました。そして英国支配の時代には英領インド帝国のつながりでインド人も多数入植しました。本来の先住民コイサンやバントゥー(いわゆる黒人)、アフリカーナー、ケープマレー、インド系住民、ユダヤ人と、大陸を越えた多民族国家で、マンデラ政権は人種間差別を禁じる憲法を制定し、肌の色が違っても調和して共存する「虹の国」が南アフリカのスローガンとなりました。
虹の国の国民食となったボボティーの形成には多数の民族が関わっており、そういう「虹の味」がします。
レシピは簡単です。
材料(4人分):
- パン粉
- 120 mL
- 牛乳
- 120 mL
- プルーン
- 4粒
- ベイリーフ
- 6枚
- 玉ねぎ
- 小1個
- にんにく
- 1かけ
- サラダ油
- 小2
- 牛ひき肉
- 280 g
- ターメリック
- 小1/3
- 砂糖
- 小1/3
- レモン果汁
- 大1強
- ガラムマサラ
- 小4
- 塩
- 小1/2
- こしょう
- 少々
- 卵
- 2個
作業工程:1 時間 20 分
- パン粉に牛乳をかけて吸わせておく。
- プルーンを細かくみじん切りにしておく。
- ベイリーフを水(分量外)に浸しておく。
- 玉ねぎとにんにくを細かいみじん切りにしてフライパンに入れ、サラダ油を入れて中火で熱し、透明になってにんにくの香りが出るまで炒める。
- 牛ひき肉、ターメリックパウダー、砂糖を入れて、ひき肉が1粒1粒離れてぽろぽろになるように炒める。
- ひき肉のフライパンをコンロからおろす。
- オーブンを170℃で予熱開始。
- パン粉をざるですくってきつく絞って、パン粉と牛乳を分離し、牛乳は小さなボウルに取っておき、パン粉部分をフライパンに入れる。
- ひき肉のフライパンに、レモン果汁、プルーン、ガラムマサラ、塩、こしょうを入れ、ヘラで均一に混ぜる。
- 味見をし、「スウィート(甘味)でサワー(酸味)なフレーバー(香り)」の三要素のバランスが取れるよう、それぞれを好みに調える。またひき肉がゆるい場合は小麦粉(分量外)を加えて混ぜる。
- ひき肉炒めのフライパンを傾けて炒め油をキッチンペーパーに吸わせ、オーブン耐熱容器の側面に塗り付け、ひき肉炒めを入れ、表面を平らにならす。
- オーブン170℃で20分焼き、表面に少し焼き色をつける。
- その間に、パン粉を絞ったときの牛乳が入っている容器に卵を割り入れ、1分間しっかり撹拌して均一な卵液にする(泡立てないで)。
- ベイリーフを水から引きあげておく。
- ひき肉の上に卵液を注ぎ、ベイリーフを飾るように乗せて、オーブン170℃で30分あるいは表面のカスタード(卵液)がほんのり色づくまで焼く。
- 焼けたら10分間室温に置いて、落ち着いたら食卓に出す。
- Enjoy!
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今回私が提供するスパイススコアの最高峰です。スパイスカレーのバターチキンマサラのスパイス使用スコアが10なのに、ボボティーときたらスパイス消費スコアが100ですよ、ホントすごいです♪ しかも作ってみて、食べて納得。「スウィート(甘味)でサワー(酸味)なフレーバー(香り)」がめちゃくちゃ美味しいです。
* * *
世界はそのスパイスの使い方を持っています。
<スパイスアンバサダーの6~8月の活動報告>として、風味豊かにおいしさ広がるレシピという趣旨の記事を7回連載形式でお届けしてしました。多くの人にとって美味しいという世界の保証つきの料理をレシピつきで紹介することで、「作る楽しみ」が芽生える一助になれば無上の喜びです。読んでいただき本当にありがとうございました。私自身も大変に勉強になりました。
そして、
世界には、まだまだ、私すら知らないスパイス使用のコツが溢れてる。
ふふふ、だから世界の料理はやめられませんね。これからも、夢に向かって走り、取り組み続け、家族との楽しい食事の時間にも会話にも世界中の良さを集めて、妥協のない努力を続けて参りたいと思います。
【第1回】
スパイスにオッズをつける
【第2回】
中東の魚炊き込みご飯『サヤディヤ』
【第3回】
南米のめちゃ旨牛ハツ串焼き『アンティクーチョ』
【第4回】
カシミールのじゃがいも蒸し煮カレー『ダムアル』
【第5回】
中東イランのスパイス使いにはまる『ホレシュマスト』
【第6回】
玉ねぎ2度入れカレーの心酔の美味『チキンドピアザ』
【第7回】
南アフリカ共和国、多民族の虹の味『ボボティー』
※本記事はハウス食品及びレシピブログが主催するスパイスアンバサダーに就任したことに基づき執筆するものです。