<2020年度スパイスアンバサダーの活動報告>
6~8月の活動内容として、スパイスリッチな世界の料理という趣旨に基づき、7回連載形式で、3種類のスパイスに対しそれぞれ2通りのスパイスアレンジレシピを掲載しています。
連載第4回は、ガラムマサラ大活用、キター!!本場インドはカシミールのじゃがいも蒸し煮カレー『ダムアル』です。
なお、今回のスパイス使用条件には、クミンパウダー、ターメリック、ガラムマサラのいずれかを、4人分を越えない料理に小さじ1を下回らない分量で使うことが含まれます。私はこの定量性ある設定に対し3スパイスのオッズを決め、
スパイス消費スコア
を算出し、【スパイスがたくさん使える!発見レシピ】として6レシピを選出しました。
【スパイスがたくさん使える!発見レシピ*連載第1回】スパイスにオッズをつける
* * *
『ダムアル』は4人分でガラムマサラ小さじ2を使います。
よってダムアルの
ガラムマサラ消費スコア=50
ガラムマサラの香りが素晴らしいカレーであることが、ガラムマサラ消費スコアからも伝わりますね。また、ユーラシア大陸高地カシミールらしく、乳製品を使う点がポイントです。
レシピは簡単です。
材料(4人分):
- カシューナッツ
- 25 g
- 小さいじゃがいも
- 800 g
- 青唐辛子
- 1本
- 塩
- 小1
- 砂糖
- 小1/2
- カイエンペッパー
- 小1/2
- ガラムマサラ
- 小2
- クミンパウダー
- 小3/4
- ターメリック
- 小1/2
- クローブパウダー
- 小1/8
- コリアンダーパウダー
- 小2
- こしょう
- 小1/4
- カスリメティ(※)
- 大1
- にんにく
- 3かけ
- 生姜
- にんにくと同体積
- トマト
- 1個
- 玉ねぎ
- 1/2個
- サラダ油A
- 大2
- ヨーグルト
- 200 g
- 水
- 200 mL
- シナモンスティック
- 1本
- サラダ油B
- 揚げ物の量
- パクチー
- 刻んで大2
※:カスリメティはフェヌグリークの葉の乾燥品です。ない場合は省きます。
作業工程:1 時間 20 分
- カシューナッツをぬるま湯(分量外)に浸しておく。
- じゃがいもの泥を落として鍋に入れ、浸る量の水(分量外)を入れて火にかけ、沸騰してから10分ゆで、ザルにあげる。
- <カレーソース準備>青唐辛子を小口切りにする(種はあってもよい)。
- 塩、砂糖、カイエンペッパーパウダー、ガラムマサラのうち小さじ1.5、クミンパウダー、ターメリックパウダー、クローブパウダー、コリアンダーパウダー、こしょう、カスリメティを小皿にあわせ、スパイスミックスを作っておく。
- 生姜、にんにく、トマト、玉ねぎを粗く刻んでハンドブレンダーかミキサーの容器に入れ、ふやけたカシューナッツを加えて(漬け汁は捨てる)撹拌して玉ねぎペーストを作り、カレーを煮込むフタのできる鍋に入れる。
- 鍋にサラダ油Aと青唐辛子を入れて中火で熱し、玉ねぎペーストを香りが出るまでよく炒める。
- 玉ねぎペーストをフライパンの隅に寄せ、空いた部分にスパイスミックスを入れて乾炒りのようにローストし、玉ねぎペーストと混ぜながら香りが出るように炒める。
- ヨーグルト、水、シナモンスティックを入れて強火で熱し、全体を均一に混ぜながら水分を飛ばしながらとろみのあるカレーソースを作り、火を止めておく。
- <じゃがいも調理>じゃがいもの皮を素手ではがし、じゃがいもが直径4 cm程度以内ならそのまま、じゃがいもが大きければ4 cm程度に切る。
- 揚げ物の鍋にサラダ油Bを深さ4 cm以上入れて170℃に熱し、じゃがいもをそっと入れ、時々そっと返しながら揚げ、表面が黄金になったものから取り出す。
- <カレーの仕上げ>すべてのじゃがいもが揚がったらカレーソースの鍋に入れ、そっとカレーソースを絡めてからフタをして弱火で10分ほど蒸し煮にする。
- その間にパクチーをみじん切りにしておく。
- フタをあけ、じゃがいもが生煮えでないことを確認し、パクチーと残りのガラムマサラ(小さじ1/2)を加えてひと混ぜしてから味見をし、塩加減、辛さ加減、旨味加減などを好みに調える。
- Enjoy!
このレシピやブログ記事を気に入っていただけたら応援クリックお願いします(*^_^*)
カシミール地方とは、現在インド、パキスタン、中国の3か国で領有権争いがある地域で、ユーラシアの内陸の標高の高い地域です。ここからは私の想像ですが、標高が高いカシミールでは「ダム」の調理法を使ってじゃがいもを美味しく調理する工夫をしていたのでしょうね。本来「ダム」とは鍋に具材を入れてパン生地で鍋とフタを接着して蒸す、昔ながらの圧力鍋を意味します。ダムは今も「パワー」つまり圧力の意味をもちます。でも今やこの料理はインドや周辺国各地にも広まり、気密性の高い鍋も増え、伝統製法で作られることのほうが少なくなっているように見受けられます。少なくとも日本の低地でならフライパンであっても作れる料理なのですが、それでも、カシミールへの憧れと尊敬を込めて、このレシピではきっちりフタができる鍋で作るのが私のこだわり。
* * *
世界はそのスパイスの使い方を持っています。
次回は、シナモン消費スコア56 の、美味しいスパイスレシピを4人分バッチでお伝えします。
とうとう過半数に到達しました。56ですよ56!!しかも、先日の調査でシナモンを製菓でなく料理に使うレシピ投稿件数はわずか2件(下記リンク参照)。でもこの「ホ??????」というイマームも喜ぶ$%)&θ∩∇な料理は食べて感激の美味しさです。
【スパイスがたくさん使える!発見レシピ*連載第1回】スパイスにオッズをつける
本企画も、一連の段階を経て度重ねて取り組み、やりがいを持って記事にまとめると本当に有意義です。多くの人にとって美味しいという保証つきの料理をレシピつきで紹介することで、「作る楽しみ」が芽生える一助になり、その結果として「スパイスの使い方」が変化していくこと、そうしてこれを読んでくれた誰かの役に立てるならばとても嬉しいです。次回もどうぞお楽しみに☆
【第1回】
スパイスにオッズをつける
【第2回】
中東の魚炊き込みご飯『サヤディヤ』
【第3回】
南米のめちゃ旨牛ハツ串焼き『アンティクーチョ』
【第4回】
カシミールのじゃがいも蒸し煮カレー『ダムアル』
【第5回】
中東イランのスパイス使いにはまる『ホレシュマスト』
【第6回】
玉ねぎ2度入れカレーの心酔の美味『チキンドピアザ』
【第7回】
南アフリカ共和国、多民族の虹の味『ボボティー』
※本記事はハウス食品及びレシピブログが主催するスパイスアンバサダーに就任したことに基づき執筆するものです。