2020年度スパイスアンバサダーとして活動しています。
3年連続就任!「スパイス大使」改め『スパイスアンバサダー』の抱負。
6~8月の活動内容は、スパイスリッチな世界の料理という趣旨でレシピを紹介する運びになりました。
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さて私の場合、通常、スパイスを余らせるということがなくて、その理由を考えたら、以下のようになりました。
1)在庫管理ができている。
スパイス在庫管理の決定版!!自動リマインダー機能つきのエクセル一覧表を作成しました。
ふふん。薬剤師ですぜ。我々は、狭い調剤室に何千種類の医薬品がどんなにどっさりあったって使用期限厳守で調剤なり何なりできるんだ。
↓
そして、スパイスなら任せて! スパイスに対し使わなくちゃと思うときに使える世界のレシピが多数あります。
そう、
在庫管理ができる&使いたいときに使える手段がある。
だからスパイスが余らない。
ということです。
さらに、スパイスを使うのが苦じゃない。ついでに言うと家族も私のスパイス料理に抵抗がない(多分世界の正当な料理を作ることで料理が変な創作になっていないからだと思います)。だから、1)在庫管理が出来て、2)使いたいときに使う方法があって、3)使うのが苦じゃなくて、4)家族にも美味しい。それらが揃えば誰だってスパイスないし食材を余らせることはないと思うんですよね。
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とはいえ。
私だってスパイスを使い切るのは苦労はします。でも世界の普通のスパイスであるほど大丈夫。つまり普遍的なスパイスならば世界はそのスパイスの使い方を持っているのです。多くの人にとって美味しいという保証つきの料理をレシピつきで紹介することで、「作る楽しみ」が芽生える一助になり、その結果として「スパイスの使い方」が変化していくこと、そうしてこれを読んでくれた誰かの役に立てることを期待しています。
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なお、
で、
それを受け、ずぅっと考えていたことがあります。
スパイスには使いやすいもの[A]とそうでないもの[B]があります。多く入れても割と大丈夫なものと、多すぎると味が濁ったりして不味くなるものがあるということです。
それらを一律同じ条件で使用するのではなく、使いにくいものを使うことに成果の評価尺度が与えられないだろうか。使いやすい[A]を小さじ1杯使うのと、使いにくい[B]を小さじ1杯使うのとでは、後者を使う開拓のほうに評価を与えたいのです。
そう。
スパイスにオッズをつける。
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オッズとは競馬で知られる用語ですが、正当な統計学の解析パラメータです。オッズがなければ統計学は進みません。私は基礎統計学が割と好きで、大学生に統計学をシラバスの範囲内ですが授業していました。1を教えるために100の勉強をしていました。物事をイメージで語るのではなく、物事を誰もが同じ解釈で進めるために数値の扱い方にルールを付すのが統計学ですから、今回のように定量化条件と数値条件が付された複数のスパイス使用に対し、統計学の概念を組み合わせることは好ましいとも思いました。
数値化する楽しみも素敵ですし、ともあれスパイスの使用を自分から楽しんでいきたく、ヤル気が出ました♪
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では順に読んでください。
10人分の賭け金は10万円なので払戻金はその50%の5万円です。
もし可愛い馬が勝ったら払戻金5万円を8人で分けますから、1人あたり5万÷8=0.625万円(6250円)が戻る計算です(※)。1万円賭けて6250円が戻る計算なのだから戻る倍率は0.625倍です。よってみんなが集まる可愛い馬のオッズ=0.625です。
※競馬法第8条第2項(≫こちら)の規定より払戻金は賭け金を下回らないので計算上オッズは0.625ですが実際は3750円上乗せされて1万円が返ってきます。
もし速い馬が勝ったら払戻金5万円を2人で分けますから。1人あたり2.5万円(25000円)が戻ります。1万円賭けて25000円が戻るのだから、賭け金は2.5倍になりました。2人しか賭けなかった馬のオッズ=2.5です。
要は、人が集まらない馬ほどオッズが高くなり、リターンも大きくなるのです。
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この基本的オッズ計算を今回対象の3スパイスに当てはめます。
ここで、小売業の商品管理必殺のSKUも使っちゃおう。SKUとは、Wikipediaを見ても分かりにくいですが、要は「販売管理の種類の数」です。物の数じゃなくて種類の数。具体的には、仮にクラリチン普通錠7錠入り箱と普通錠14錠入り箱の商品を取り扱っていたとして、棚卸日にクラリチン在庫をどう数えるかというと、7錠入りが3箱、14錠入りが5箱みたいに数えます。管理の種類(クラリチン普通錠の規格)が2つあるので2 SKUです。このときSKUをまたがってクラリチン在庫が8箱とかクラリチン91錠とかみたいな数え方はしません。
対象スパイスはクミン、ガラムマサラ、シナモンの3 SKU。スパイスアンバサダーの投稿レシピが調査時点で68件で、内容を精査したら重複8件を含めて延べ76件ありました。
3 SKUはもちろんどれも売れればいいですよね。売れれば嬉しいというその期待度に差はないものとして、販促(販売促進)期待度はどれも等しいという前提で、76件を3 SKUで等分、すなわち1 SKUあたりの販促期待度を76/3と置きます。
76件の投稿レシピの内訳は、クミン33件、ガラムマサラ27件、シナモン16件でした(計76)。…まあ妥当ですね。特に目立つのはシナモンを料理に使うレシピが76件中2件しかないこと。シナモン16件のうち14件がお菓子なのです。シナモンは料理に使ってもらっていない以上、そこを打破すると販促につながりそうだなとは思いますけど。そう、だからこういうイメージに対し具体的にオッズパラメータが設置されるのは良いことなのですよ。
思い出してください。みんなが選ぶ馬のオッズは低く、選ぶ人が少ない馬はオッズが高かった。だから、選ぶ人が少ないシナモンのオッズが最も高くなり、当たったときのリターンが大きくなります。すなわち、シナモンを、今回の条件に合う分量で使えるレシピが提供できれば成果は大きいと言うことができるのです。
各オッズが出ました。
クミンのオッズ=(76/3)/33≒0.8
ガラムマサラのオッズ=(76/3)/27≒0.9
シナモンのオッズ=(76/3)/33≒1.6
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次に、スパイス消費量に応じてスコアが上がるように、スパイス消費スコアを設定します。
今回のスパイス使用条件には、4人分を越えない料理に小さじ1を下回らない分量で使うことが含まれます。
なので、設定条件は、1)有効数字2ケタで、2)レシピバッチを4人分と統一し、3)小さじ使用量が1以上の世界の料理をレシピ化し、4)オッズを乗じ、5)ナンバーワンの料理のスパイス消費スコアが100になるよう補正係数を一律に掛ける。ただし6)複数の異なるスパイスは合算しない、としました。
例えば、バターチキンは美味しいですよね♪
これはスパイスから作る美味しいカレーです。2人分でクミン小さじ1/4を使うので、4人分換算でクミン小さじ0.5。
よってバターチキンの
クミン消費スコア=10
です。
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本記事で述べようとする事項は以上です。次回以降はこのバターチキンマサラなどメじゃないくらい、スパイス消費スコアの高い料理を紹介していきます。1つのスパイスで2レシピを紹介し、本記事を含めて7回連載でお届けします。
ちなみにスパイス消費スコアはExcelで自動計算しています。計算式、計算結果、グラフはすべて自動表示しています。
棒グラフが、すごい♪
スパイスカレーのバターチキンマサラのスパイス使用スコアが10なのに、最後、「ボから始まるカタカナ5文字の料理」ときたらスパイス消費スコアが100ですよ♪ でも妙な料理じゃないのよ。フフフ。海を渡ってマΘ§がケΔΦでイΛψ⊇ム※⊇Шがオ∩θ#$%&な料理なのです。その他もどれも世界的に伝統的で美味しい料理です。何億人もの口に合う料理だから、紹介するにも自信が持てるのが嬉しいです。
再掲します。
世界はそのスパイスの使い方を持っています。
次回は、クミン消費スコア20 の、美味しいスパイスレシピを4人分バッチでお伝えします。どうぞお楽しみに☆
【第1回】
スパイスにオッズをつける
【第2回】
中東の魚炊き込みご飯『サヤディヤ』
【第3回】
南米のめちゃ旨牛ハツ串焼き『アンティクーチョ』
【第4回】
カシミールのじゃがいも蒸し煮カレー『ダムアル』
【第5回】
中東イランのスパイス使いにはまる『ホレシュマスト』
【第6回】
玉ねぎ2度入れカレーの心酔の美味『チキンドピアザ』
【第7回】
南アフリカ共和国、多民族の虹の味『ボボティー』
※本記事はハウス食品及びレシピブログが主催するスパイスアンバサダーに就任したことに基づき執筆するものです。