『スパイスアンバサダー2021』
4~6月の活動は「スパイスを使う世界の朝食」という、私の得意分野のテーマです。お陰で私自身もスパイスという体の滋養を日々取り入れることができ、健康と幸せを実感しています。最終章となった「ドリンク編」の始まり、残り宜しくお願いします。
世界の料理を暮らしに取り入れる良さは幾つもあって、1)食卓がマンネリにならない、2)レパートリーが増える、3)いつもわくわくする、4)家族との会話が楽しい(ウクライナ料理を食べながらクリミア紛争を語り合ったりできる)、5)レシピ研究のためには勉強が必要だからボケ防止になりそう、6)和食が減るから減塩料理などの機会が豊富。などなど。特にマンネリになるのは朝食なので、朝食をテーマにスパイスレシピを開拓できるのはやりがいがあります。
<世界のスパイス朝ごはんの選別コンセプト>
20回連載で、世界のスパイス朝ごはんとそのレシピを紹介します。選ぶコンセプトは以下の通りです。
- 家庭の朝食と旅人が得る朝食は違う。正直、旅人基点でないと日本人は世界の料理に出会いにくい。だから基本コンセプトは「旅して出会う世界の朝食」とした。例えば「キューバ旅行気分♪」のように旅人視点を重視した。
- 主催者選定スパイス17種類のうち最低1つを使用する。
- 世界246か国を俯瞰してその国にどんなスパイス料理(選定17種類内)があるかを検証し、私がその国でその料理を実食した本物の料理を重視する。
- 本物重視。スパイスを使った我流アレンジ料理にはしない。スパイスを使うその国の食とする。
- その料理がその国で朝食になりうるか、そしてそれはその国の国民食かどうかを検証済みとする。国民食の要件は、traditional、common、あるいはpopular。
- スープ編、おかず編、主食編、ドリンク編と、配膳別に各5回ずつ紹介。なお液状のディップ類は主食を食べるためのものならおかずに、汁を飲むならスープに編入。また肉類であっても主食と合体していてそれ一品で食事が完結するなら主食に編入した(例:肉まん)。
- 各配膳内(5回内)ではメインスパイスは重複しない。
- 全体を通して(20回内)国は重複しない。
このように壮大な計画と構想で練られた20レシピです。
世界の料理って本当に素敵です。
美味しさに香りを乗せて、楽しい時間を一緒に過ごしませんか。
日常に入り込んだワクワクの時間。
嬉しいのは、味も見た目も楽しむ時間。
簡単、美味しい、幸せ。
特別な時間を贈ります。
* * *
連載第16回はドリンク編(1)・イラク料理の「シャイアラーキ」です。
「イラクへ行く」とは穏やかな言葉ではないかもしれませんが、それでもイラクへ踏み込んだ。そうして出会う人々の笑顔は本当に素敵。戦争を知る人々は本当に優しい。朝も、昼も、夜も、地元の人のおもてなしも、何度、この「イラク式チャイ」をごちそうになったか。。。涙が出る体験です。「シャイアラーキ」は、「イラクの茶」という意味です。かすかに鼻腔に広がるシナモンの香りが素敵。周辺国の紅茶にはない風味で、お茶の香り1つで、今自分がイラクにいるのだと、実感したのです。
レシピは簡単です。
材料(1回分):
- 水
- ヤカン満タン
- 紅茶の葉
- 小2~大1
- シナモンパウダー
- ひとふり
- 砂糖
- 好みの量
作業工程:
- ヤカンのフタをあけたとき、フタの位置にピッチリ重なるティーポットを用意する。
- ヤカンに水を入れて、フタをして沸かす。
- ティーポットに紅茶の葉を入れ、沸いた湯をおよそ400 mLとシナモンパウダーを入れ、ティーポットにフタをし、ヤカンのフタを外してティーポットを乗せ、紅茶の色が濃くなるまで待つ。
- 小さめのグラスに好みの量の砂糖を入れ、濃い紅茶を途中まで注ぎ、ヤカンの湯を残りの高さまで注ぎ、混ぜていただく。
- Enjoy!
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私がイラクへ入国したとき、それは北部クルド地域の国境を陸路で越えたとき。国境でパスポートを提出し、待合室で「イラキチャイ」(イラクの紅茶)と言われて出された美味しい紅茶がありました。国境といえば賄賂を要求されたり入国にいちゃもんをつけられたり時には拒否されたり、嫌な思いが尽きない場所だから、まさか紛争国の国境越えがこんな素敵なチャイから始まったことに、幸先の良さを感じ、嬉しくなりました。聞けばこの紅茶はトルコのチャイダンルク(çaydanlık、二段式ポット)と同じ淹れ方をしていました。
下のポットで湯を沸かし上に濃い紅茶を置き、飲むときに濃い紅茶を湯で割る。これ、不思議とすっきりした味わいで飲めるんですよね。紅茶にはほんのりシナモンが香り、飲むときに砂糖を溶かしていただきます。上の写真は、自宅のヤカンとティーポットでチャイダンルクを再現したものです。手軽に本格的な世界のお茶を淹れられるので、今のところ気に入って仕事場デスクに置いています。
私が好きな言葉は、
「料理の向こうに地球が見える」
こんな料理を、イラクの風景に重ね、自宅でもイラク旅行気分を感じられたらこんなに嬉しいことはない・・・。
なぜならば -すみなしものは心なりけり- だから・・・。
私たちは、外国にいなくても、外国の文化や風土を自宅に取り入れることができる。料理と食卓ならそれが最も簡単で確実です。
美味しさに香りを乗せて、楽しい時間を一緒に過ごしませんか。
日常に入り込んだワクワクの時間。
嬉しいのは、味も見た目も楽しむ時間。
簡単、美味しい、幸せ。
・・・これからも、そんな想いが詰まったレシピを厳選し、世界20か国のスパイス朝食を綴っていきます。最後までもう少し。どうぞ次回もご期待ください。よろしくお願いします。
【第1回スープ編(1)】
~西アジア・トルコ料理、メルジメッキチョルバス
【第2回スープ編(2)】
~コーカサス・ジョージア料理、ハルチョ
【第3回スープ編(3)】
~西アジア・アラブ首長国連邦料理、サルーナ
【第4回スープ編(4)】
~東アフリカ・ケニア料理、ビーフスープ
【第5回スープ編(5)】
~西欧・フランス料理、スプドゥポワソン
【第6回おかず編(1)】
~西アジア・シリア料理、ホムス
【第7回おかず編(2)】
~西アジア・イラン料理、ナーゲシ
【第8回おかず編(3)】
~カリブ海・ハイチ料理、ソスプワノワ
【第9回おかず編(4)】
~東北アフリカ・ソマリア料理、ベール
【第10回おかず編(5)】
~東南アジア・カンボジア料理、バイサイチュルーク
【第11回主食編(1)】
~インド洋アフリカ・マダガスカル料理、ファリアミナナナ
【第12回主食編(2)】
~南アジア・インド料理、チャパティアウサブジ
【第13回主食編(3)】
~カリブ海・プエルトリコ料理、アソパオ
【第14回主食編(4)】
~東アジア・中国料理、肉包子(ローパオズ)
【第15回主食編(5)】
~東南アジア・ベトナム料理、フォーヘオ
【第16回ドリンク編(1)】
~西アジア・イラク料理、シャイアラーキ
【第17回ドリンク編(2)】
~西アジア・アフガニスタン料理、***
【第18回ドリンク編(3)】
~南米・ペルー料理、***
【第19回ドリンク編(4)】
~西アフリカ・セネガル料理、***
【第20回ドリンク編(5)】
~カリブ海・アンディグアバーブーダ料理、***
※本記事は(1)「ハウス食品×レシピブログ」のモニターコラボ広告企画に参加していること、(2)スパイスをモニター提供されたことに基づき執筆するものです。