以前私のレシピを活用してくれた方が「洗い込むの意味が分からない」とコメントされました。しかも「方言なのかな?」とのコメントもついていました。
いえいえ、正式な日本語です。
洗い込みとは、「材料をロスせずに全量を使用するため、レシピ内の液体を使って容器内に残存するものを溶かして使う」という手順を指します。
<例>
例えば計量カップでケチャップを量り、水と具を加えて鍋で煮るようなレシピがあったとき、計量カップを鍋にあけるだけではカップ内にケチャップが残り調理に使う量が減ります。そこで「カップに水を入れて中を洗うようにケチャップを溶かし出し、ケチャップのロスを出さないように鍋に入れ込む」のです。
この「計量カップの中を洗うようにして材料の全量を鍋に入れ込む」ことが、洗い込みです。


調理工程冒頭の「ココナッツミルク1缶分を鍋にあけたあとに水170 mLを入れ鍋に洗い込む。」のところ、上の解説を使って長い文章で書くと、
「ココナッツミルクを鍋にあけたあと、空いた缶に水170 mLを入れて中を洗うようにしてココナッツミルク水にして鍋に入れ込む」のです。
1回で170 mLでも洗い込みになりますが、水を数十mLずつ複数回数に分けると缶はより洗われココナッツミルクをより全量使えます。
* * *
「洗い込み」は「少しのロスもしないように」と指示する行為です。だから最もよく見かける分野は理科実験や科学研究です。
以下は「食品衛生基準について(消費者庁)」の定量試験の一部分抜粋。(≫こちら)

食品試料中の測定対象となる成分を得るのに、試料をビーカーに入れて前処理してから溶液にし、それを全量フラスコ(容積をとことん正確に量り取るのに至上最高に最適なガラス製実験器具)に入れるとき、元のビーカーに成分を残さないよう、「水をビーカーに入れてからフラスコに入れる」(水をフラスコに直接入れない)ことを繰り返しています。
これが「洗い込み」です。上のワタラッパンのレシピでは「水をまずココナッツミルク缶に入れてから鍋に入れる(水を鍋に直接入れない)」ことになります。
レシピの世界は理科実験に共通する事項が多数ありますね。だから「少しのロスもしたくないとき」ときには「洗い込み」という表現を使うことが好ましいです。もしこの表現がないと、レシピ外の余分な水を持ってきて容器を洗って鍋に入れられては料理が水で薄くなりすぎて失敗しますので、「洗い込み」すなわち「レシピの水の総量は変えずに材料を全量使う指示」が前提となります。
それが「洗い込み」です。
