<スパイスアンバサダー2021>
スパイスアンバサダーの1~2月の活動テーマは、「食卓で旅気分!楽しさ広がる、世界のパーティーメニューアジア編」です♪ アジアの国という素晴らしい食文化の国々を実際に旅した私にぴったりのわくわくテーマです!
そしてこのテーマをより掘り下げて、料理から世界の風習と文化を学べる
世界の行事料理
を揃えていこうと思いました。正月や祝事など、その国の尊重すべき文化を代表する料理は素敵です。6回連載で「スパイスを使う世界の行事料理~アジア編」を掲載します。
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<スパイスを使う世界の行事料理の選別コンセプト>
スパイスを使った世界の行事料理とそのレシピを紹介します。6か国を選ぶコンセプトは以下の通りです。
- アジア53か国を俯瞰してその国にどんな料理があるかを検証し、私がその国でその料理を実食した本物の料理を重視する。
- パーティー料理をより正式化し、原則として人の集まりを正式に伴う行事料理とした。
- 課題が「スパイスを使った料理」なので、食事の料理を作る。飲み物やデザートは作らない。
- アジアの地域を正確に6分割したいので、東アジア、東南アジア、南アジア、西アジア、コーカサス、中央アジアとした。コーカサスを独立させたのは西アジアが多くなりすぎるのを防ぐためでもある。そしてそれぞれから1料理ずつ選定する。よって全体を通して(6回内)国は重複しない。
- 本物重視。スパイスを使った我流アレンジ料理にはしない。スパイスを使うその国の食とする。
- 主催者選定スパイス20種類のうち最低1つを使用する。そのメインスパイスは6回連載で重複せず、6回連載で主催者選定スパイスを6種類以上使うことになる。
・・・と、このような壮大な検証を経て(ここに最も時間がかかったけれど楽しかった)、6レシピを選定しました。
世界の料理って本当に素敵です。
なぜなら
料理は文化の縮図です。
日本人が日本の調理環境で世界の料理を作って、それを家族や仲間と食べると、世界の文化が日本に広まります。日本料理にはない新しいアイディアが加わり、食の幅が広がり、暮らしの楽しみが広がります。それを伝えることを私の楽しみとして、6回連載で、スパイスを使う世界の行事料理を紹介します。
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【第4回】西アジア編、イスラエル料理「ケアラー」
西アジアは17か国中16か国がイスラム教が優位に根付く国です(※)。残りの1か国はユダヤ教徒が優位なイスラエル(※)。ユダヤ人が建設した世界で唯一の国家として、その食文化を紹介するのはアジアしかありません。イスラエルは春になると「過越(すぎこし)」を迎えます。過越は、ヘブライ語ではペサハ、英語ではパスオーバーと言い、何千年も前のユダヤ人の解放である「出エジプト」に由来する行事です。このときユダヤ人の食卓に並ぶのが、ヘブライ語でケアラー、英語でセダープレートというワンディッシュで、食卓にはワインとマッツァ(薄パン)とこのプレートが並びます。
※キプロスとレバノンはキリスト教も主要宗教です。※当サイトではイスラエルとパレスチナをそれぞれ1か国としてカウントしているため、イスラエルはユダヤ教徒/ユダヤ人による建設国家として捉えて食文化を紹介しています。
<用語解説>
1)マーロール(מרור):苦いもの。特にホースラディッシュペーストが使われる。
2)ゼロア(זרוע):骨付き肉料理
3)ハローセト(חרוסת):デーツの甘いジャム
4)ハゼレト(חזרת):苦みがある葉野菜(レタスやタンポポ)
5)カルパス(כרפס):苦みがある葉野菜(パセリやセロリ)
6)ベイツァ(ביצה):ゆで卵
7)メイメラハ(מימלח):塩水
8)マッツァ(מצה):薄焼きクラッカー
9)ヤイン(יין):ワイン
材料(4人分):
<マッツァ>
- マッツァ
- 3枚
<マーロール>
- ホースラディッシュ
- 大2(※1)
- 酢
- 小2/3
- 砂糖
- 小1/2
<ゼロア>
- 骨付きの肉(※2)
- 4本
- 塩
- 小1/2
<ハローセト>
- デーツ
- 100 g
- レーズン
- 50 g
- くるみ
- 20 g
- 赤ワイン
- 250 mL
- シナモンパウダー
- 小1/2
- はちみつ
- 大1
<ハゼレト>
- 苦い葉野菜(※3)
- 4枚
<カルパス>
- 苦い葉野菜(※4)
- 4枚
<ベイツァ>
- 卵
- 4個
<メイメラハ>
- お湯
- 300 mL
- 塩
- 大1.5
<ヤイン>
- ワイン
- グラス4杯
※1:ホースラディッシュはチューブわさびのような形状のものが市販されているのでそれを使いました。
※2:羊、牛、鶏などの骨つき肉。肉は多くなくてよい。今回は鶏の手羽元を使用。
※3:レタスやエンダイブなど。タンポポの葉も良いらしい。今回はルッコラを使用。
※4:イタリアンパセリやセロリなど。
作業工程:2 時間
- <マッツァ>リンク先(≫こちら)のように事前に焼いておくか、代用のクラッカーを購入して用意しておく。
- <マーロール>材料を全部混ぜる。
- <ゼロア>骨がむき出しになるように包丁を入れ、塩を全体にまぶして、オーブンやフライパンで火が通るまで焼く。
- <ハローセト>固形の材料を全部みじん切りにし、赤ワインのうち200 mLで煮て、もったりしてきたらシナモンパウダーとはちみつを入れ、残りの赤ワインを入れて煮詰め、固めのジャム状にする。
- <ハゼレト>葉を洗って水気を切る。
- <カルパス>同上。
- <ベイツァ>固ゆで卵を作る。お湯に卵を入れ、火にかけながら15分ゆでる。
- <メイメラハ>お湯に塩を入れてかき混ぜて溶かし、自然に冷ます。
- 平皿の7か所に料理を乗せる。時計12時から時計回りに、マーロール、ゼロア、ハローセト、ハゼレト、カルパス、ベイツァ。中央にメイメラハ。
- マッツァを食卓に置き、このとき2枚目を割って1枚目と3枚目の間に挟んでおく。グラスにヤイン(ワイン)を注ぐ。
- 最初にカルパスをメイメラハに浸していただき、その後ユダヤ人の偉大さを語りながら食べていきます。食事中にヤイン(ワイン)を4度飲みます。
- Enjoy!
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できたー♪
ユダヤ人のスピリチュアルな料理です。彼らの文化に尊敬を込めて作りました。
そして食べて美味しい♡♡♡
* * *
私がイスラエルを訪問したとき、ちょうど過越(すぎこし)の時期でした。泊めてくれたユダヤ人のお友達からこの料理の話を聞き、いつか作ろうと思い、やっと夢が叶いました。1つ1つの料理に意味があり、お酒とあわせていただくあたりが、どこか日本のおせちのようです。
最初にカルパス(セロリやパセリ)をつまみ、メイメラハ(塩水)につけていただきます。塩水は奴隷にされたときの涙を表しています。そしてユダヤ人は過越を春に執り行うので、春を象徴する青菜を食べます。その後は、ユダヤ人のかつての苦難とエルサレム奪回を目指した歴史などを会話しながら、いただきます。
ベイツァ(卵)は卵は生命の輪、つまり誕生、生殖、そして死を表しています。マーロール(ホースラディッシュ)はユダヤ人がエジプトで耐えた奴隷制の苦味と厳しさを象徴します。ゼロア(骨付き肉)はエルサレムの過越の祭りの前夜に提供された子羊の犠牲を表し、またエジプトでのユダヤ人奴隷の強さの象徴です。ハローセト(デーツジャム)はエジプトでユダヤ人奴隷がレンガを作るときのモルタルの象徴です。ハゼレト(レタスなど)の苦みもかつての奴隷時代の苦しみを物語ります。
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「その国の行事料理を、作ってみませんか」
「料理を楽しむ」暮らしは素敵です。
だって料理がルーチンな義務になってはもったいない。料理をいやいやな家事にせず、料理を長く楽しんで続けていくのなら、学びやチャレンジ要素やわくわく感を含めるのが良く、その点で世界の料理は最適です。新しい国の料理を作り、新しい味つけを楽しみ、新しい会話を生む。しかもその国の人々が大事にしている行事食なら、その喜びも格別です。
これからもスパイスを使う世界の行事料理、アジア編を掲載していきます。どうぞ次回もご期待ください。よろしくお願いします。
【第1回】東アジア編
~北朝鮮料理、マンドゥグク
【第2回】東南アジア編
~フィリピン料理、レチョンカワリ
【第3回】南アジア編
~インド料理、ボーグキチュリ
【第4回】西アジア編
~イスラエル料理、ケアラー
【第5回】コーカサス編
~***料理、***
【第6回】中央アジア編
~***料理、***
【おまけ】スパイスアンバサダーの世界の料理の選定方法
※本記事は(1)「ハウス食品×レシピブログ」のモニターコラボ広告企画に参加していること、(2)スパイスをモニター提供されたことに基づき執筆するものです。
【レシピブログの「楽しさ広がる、世界のパーティーメニュー」レシピモニター参加中】