スパイスアンバサダーの活動として、【スパイスリッチな世界の料理】を連載する運びになりました。全21回の大連載形式で、3種類のスパイス×3段階=9種類のスパイスに対しそれぞれ2通りのスパイスアレンジレシピをお届けしています。
連載第5回は、シナモン大活用、しかもお菓子じゃない。中東イランの不思議なスパイス使い『ホレシュマスト』です。

『ホレシュマスト』は4人分でシナモン小さじ1と1/3を使います。
よってホレシュマストの
シナモン消費スコア=56
シナモンをお菓子でなく料理にたくさん使うとなると、こういう中東からマグレブの料理に深入りしないと確かに難しいと思います。しかもこの料理、シナモンとヨーグルトと肉団子で、しかもシナモン消費スコアは56と高く(参考値:スパイスから作るバターチキンのスパイス消費スコアがたった10です)、おののく方がいらっしゃっても当然。でも美味しいんです。
【スパイスがたくさん使える!発見レシピ*連載第1回】スパイスにオッズをつける

レシピは簡単です。
『肉団子入りヨーグルトスープ♪ ホレシュマスト♪』材料(4人分):
- 水
 - 360 mL
 - サフラン
 - ふたつまみ
 - カルダモンパウダー
 - 小2/3
 - ターメリック
 - 小1.5
 - ドライミント
 - 小1.5
 - ジンジャーパウダー
 - 小2/3
 - クミンパウダー
 - 小1強
 - こしょう
 - 小2/3
 - シナモンパウダー
 - 小1と1/3
 - 玉ねぎ
 - 3/4個
 - 鶏ひき肉
 - 350 g
 - 塩A
 - 小2/3
 - サラダ油
 - 大2
 - ヨーグルト
 - 400 g
 - 薄力粉
 - 大1.5
 - ざくろシロップ(※1)
 - 小2
 - 塩B
 - 小2/3
 - 鶏がらスープの素
 - 小1/2
 - ピンクペッパー(※2)
 - 仕上げに散らす量
 
※1:ざくろシロップがなければハチミツや砂糖で代用します。
※2:ピンクペッパーは現地のゼレシュク(赤い木の実)の代用です。赤を散らすのが目的なので、ざくろの実やクランベリーなどで代用してもよいです。
作業工程:40 分
- 鍋に水を入れて沸かし、火を止めてサフランを入れ、フタをしておく。
 - カルダモンパウダー、ターメリックパウダー、ドライミント、ジンジャーパウダー、クミンパウダー、こしょう、シナモンパウダーを1つの容器に入れ、均一に混ぜ、スパイスミックスを作っておく。
 - 玉ねぎを細かいみじん切りにしてボウルに入れ、鶏ひき肉、塩A、スパイスミックスのうち小さじ2強を加え、手でよくこねる。
 - フライパンにサラダ油を入れ、フライパンの油を少々手につけ、鶏ひき肉を食べやすいサイズに丸めて肉団子を作り、フライパンの油の上に置いていく。
 - フライパンを強火にかけて肉団子をころころ転がしながら炒め、表面に焼き色がついたら火を止める。
 - サフラン水が入っている鍋に、ヨーグルト、薄力粉、スパイスミックスの残り全部、ざくろシロップ、塩B、鶏がらスープの素を入れて火にかけ、泡だて器などで均一に撹拌しながら加熱する。
 - 煮汁が沸いたら肉団子とフライパンに残った肉汁を鍋に入れ、フタをして弱火にし、10分間煮る。
 - 味見をして、塩加減や酸味加減、旨味加減などを好みに調える。
 - 器によそい、ピンクペッパーを散らして出来上がり。
 - Enjoy!
 

「خورش」(ホレシュ)は煮込み料理、「ماست」(マスト)は発酵乳の意味。よって「خورش ماست」(ホレシュマスト)は「ヨーグルトシチュー」の意味になります。私も食べてみて意外でした。スパイスはあまり感じない上、最初はヨーグルトが温かいから不思議な味わいだと思ったけれど、少し食べ進めると美味しくてハマって夢中になってしまうのです。ホレシュマストはヨーグルトシチューという意味だけなので、具は何でもよいのだけど、ここではイランではメジャーな、鶏ひき肉の肉団子を丁寧に作って具にしました。乳製品は立派な調味料なんですね。パンによく合い、家族も喜んで食べてくれました。
* * *
世界はそのスパイスの使い方を持っています。
次回は、シナモン消費スコア84 の、美味しいスパイスレシピを4人分バッチでお伝えします。
きゃーー♡ 84!!今回の56から一気に上がるね。すごいよね。どれだけシナモンが濃いのか? でもイ$§のケ☆∑で食べた心酔が蘇る味は今思い出してもℸ&’(でΞ∀ℵφな調理技術にうっとり。めちゃくちゃ美味しいので期待していただきたいです。
本企画も、一貫して取り組み、やりがいを持って記事にまとめると本当に有意義です。多くの人にとって美味しいという保証つきの料理をレシピつきで紹介することで、「作る楽しみ」が芽生える一助になり、その結果として「スパイスの使い方」が変化していくこと、そうしてこれを読んでくれた誰かの役に立てるならばとても嬉しいです。こういった取り組みにご関心がありましたら、次回もどうぞお楽しみに☆

(1)スパイスにオッズをつける(第1弾)
(2)中東の魚炊き込みご飯『サヤディヤ』
(3)南米のめちゃ旨牛ハツ串焼き『アンティクーチョ』
(4)カシミールのじゃがいも蒸し煮カレー『ダムアル』
(5)中東イランのスパイス使いにはまる『ホレシュマスト』
(6)玉ねぎ2度入れカレーの心酔の美味『チキンドピアザ』
(7)南アフリカ共和国、多民族の虹の味『ボボティー』
(8)スパイスにオッズをつける(第2弾)
(9)青菜いっぱいチーズカレー『パラックパニール』
(10)カリブ海のカレーの風味『シュリンプカリー』
(11)あさりと豚肉のWのダシ『カルヌドゥポルコアアレンテージャーナ』
(12)ハンガリーのパプリカ料理『チルケパプリカーシュ』
(13)パキスタンのスパイス使いで『チキンカライ』
(14)マレーとインドの融合の味『フィッシュヘッドカリー』
(15)スパイスにオッズをつける(第3弾)
(16)セントヘレナのお祝いトマトソース『ブレッドンダンス』
(17)サウジアラビアのイードの料理『ムアラク』
(18)ワインに合うお手軽フランス家庭料理『ブフミロントン』
(19)南ア開拓者の偉大な干し肉『ブルトン』
(20)英国圏の定番を本格的に作る『ローストポテト』
(21)地中海のマルタの郷土料理『スパゲティビルフェネック』※本記事はハウス食品及びレシピブログが主催するスパイスアンバサダーに就任したことに基づき執筆するものです。
