<2020年度スパイスアンバサダーの活動報告>
9月の活動内容として、小さじ一杯でスパイス使い切り大作戦!、風味豊かにおいしさ広がる一皿を楽しもうという趣旨に基づいた情報発信をする運びとなりました。今回紹介していくのは、ローズマリー、バジル、ブラックペパーという、大量には使いにくいと思われるスパイスです。でもそこを打破して楽しんで、折角やるならたっぷり使おうと、本タイトルの通り【意外に多用できるスパイスレシピ】として、7回連載形式で、3種類のスパイスに対しそれぞれ2通りのスパイスアレンジレシピをお届けします。
連載第5回は、ブラックペパー大活用、南アフリカ共和国(南ア)の開拓者の偉大な干し肉『ブルトン』です。
なお、今回のスパイス使用ルールには、ドライローズマリー、ドライバジル、ブラックペパーパウダー(こしょう)のいずれかを、4人分を上回らないバッチで小さじ1以上使うレシピが設定されています。私はスパイスアンバサダーの投稿レシピにおける使用頻度から3スパイスのオッズを決め、
スパイス消費スコア
を算出し、使われにくいと評価されるスパイスを使うほどスコアが高くなるような評価手法で6レシピを選出しました。
【意外に多用できるスパイスレシピ*連載第1回】スパイスにオッズをつける
* * *
『ブルトン』は4人分でブラックペパー大さじ1/2を使います。
よってブルトンの
ブラックペパー消費スコア=55
「ブルトン」は南部アフリカでは伝統の香辛料干し肉です。ブルトンが完成したとき、私は「これぞ世界の料理に近づけた」と心底感激しました。かつてオランダ人が大量入植してできたケープタウン。スエズ運河が19世紀末に開通する前の時代は、欧州とアジアをつなぐ船は必ずケープタウンを経由しましたから、ケープタウンは繁栄を極める国際都市でした。農場があれば大型動物が屠殺されるし、ゲームミート(狩猟肉)が盛んで人気な南アでは、仕留めた獣から肉を取り出し、干し肉にします。干し肉は補給で立ち寄る船舶にも絶好の食糧だったことでしょう。この干し肉は、今やアフリカ南部の一般家庭でも好まれており、庶民に広く親しまれている料理です。アフリカーナーの大好物☆
レシピは簡単です。
材料(4人分):
- 塊肉(※1)
- 500 g
- 酢(※2)
- 150 mL
- 塩
- 大1/2
- 砂糖
- 小1/3
- ブラックペパー
- 大1/2
- コリアンダーパウダー
- 大1/2
- ガーリックパウダー
- 大1/2
- カイエンペパー
- 少々
- パプリカパウダー
- 小1/2
- クローブパウダー
- 小1/4
- ドライオレガノ
- 小1/3
※1:あまり脂がのっていない、牛のもも塊肉などがよいと思います。なければ赤身ステーキ肉やローストビーフ用の肉、鹿肉などでも。
※2:酢はワインビネガーがあると現地のレシピに近くなりますが、日本の酢でよいです。せめて果物の酢を使おうとここではリンゴ酢を使っています。
作業工程:3 日
- 肉を8 mm~1 cmの厚さの薄切りにする(幅は細くても太くても構わない)。
- ガラスのボウルに、酢と肉を交互に入れ、ときどき上下を返しながらフタをして4時間置いておく。
- その間に塩・砂糖・スパイス類を均一に混ぜてスパイスミックスを作っておく(できれば混ぜたあとミルサーなどで挽いておく)。
- 肉を酢から取り出し、キッチンペーパーなどで酢を軽く拭き取ってバットに並べ、スパイスミックスを表裏まんべんなくふる。
- 肉どうしが重ならないように糸を通し、換気扇の前や扇風機の風が当たるところに一晩吊るしておく。
- 重力で下がってきた肉を元に戻すように調え、風通しの良いところ、換気扇の前、扇風機の風が当たるところなどに数日間吊るしておく。
- 重量が肉の初期量の45%~40%以下になったら食べ始められます。
- Enjoy!
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南ア料理を理解するためには、第一に黒人料理を知ること、第二に数百年にわたってこの国を作ったボーア人の料理(それは農園のお肉や野菜やワインをも味わって)。そしてそこにマレーやインド(奴隷ないし労働者として移住した人々)や、宗主国英国の影響を乗っけていくようにして -それは南アフリカのスローガンであるすべての人種が共存する「虹の国」のように- 理解を深めていくと良いと思います。
* * *
世界はそのスパイスの使い方を持っています。
次回は、ローズマリー消費スコア75 の、美味しいスパイスレシピを4人分バッチでお伝えします。
乾燥ローズマリーは多く入れるほど妙な苦みと渋みが出るというか、刺激が強いというかで、たくさんは使いにくいですよね。なのに、75って、すごーい。使い方によっては、ローズマリーはたっぷり使えるスパイスなんですよ。
本企画も、やりがいを持って取り組むと本当に有意義ですね。多くの人にとって美味しいという保証つきの料理をレシピつきで紹介することで、「作る楽しみ」が芽生える一助になり、その結果として「スパイスの使い方」が変化していくこと、そうしてこれを読んでくれた誰かの役に立てるならばとても嬉しいです。こういった企画にご関心がありましたら、次回もどうぞお楽しみに☆
【第1回】スパイスにオッズをつける
【第2回】セントヘレナのお祝いトマトソース『ブレッドンダンス』
【第3回】サウジアラビアのイードの料理『ムアラク』
【第4回】ワインに合うお手軽フランス家庭料理『ブフミロントン』
【第5回】南ア開拓者の偉大な干し肉『ブルトン』
【第6回】『ロ??????』
【第7回】『ス???????????』
※本記事は(1)「ハウス食品×レシピブログ」のモニターコラボ広告企画に参加していること、(2)スパイスをモニター提供されたことに基づき執筆するものです。