【写真解説】「基本でシンプルなスパイシー度極上カレー」の作り方

2022/04/18

前回までの3本の記事で、スパイスカレーに興味があって取り掛かりたいと思う人向けに、スパイスカレー作りの基礎情報をサイトに掲載しました。


スパイスカレーのバリエーションは豊か。だけどまず最初に紹介したいレシピは、

「スパイスの香りがよく出ているスパイシー度極上カレー」

です。だって、スパイスカレーに取り組むなら、スパイスの香りの出し方を絶対知ったほうがいいものね! なおここで言うスパイシーは唐辛子の辛さのことではありません。スパイス単品たちがもつ香りの良さのことです。それを家庭向きで、1人ランチか2人ランチのような手軽さで作ることを想定してレシピ化しました。

本記事では、「基本的でシンプルな工程」にとどめながらもスパイスの香りがよく出ている、「スパイシー度極上カレー」の作り方を詳解します♪

* * *

では、前々回の記事(≫こちら)で示した「スパイスカレーのための基礎情報」を再掲し、今回のカレー作りの方針の決め方をなぞってみましょう。参考にしてみてください。

 (1)必要なスパイスは? 

スパイスカレー

作るのは、基本の工程で、シンプルでも、スパイスの香りを引き出したスパイシー度極上カレー

ベースのスパイスには、ターメリックはそこそこ黄色が出る量、コリアンダーパウダーはとろみや旨味を与えてくれるので多めに。

カレー粉の中のカレーの香りの正体と言えるフェヌグリークパウダーは人を引き付ける旨味をつけ、とても簡単に「カレー」と認識される風味が確立するので少し入れます(多く入れると苦いです)。

今日はスパイシー度極上カレーを作るので、トップの香りはパウダースパイスとしてクローブこしょうナツメグシナモンなど、香りがよく出るものを少しずつ使います。

 (2)基本の材料は? 

スパイスカレー

シンプルに作るので、玉ねぎメイン&にんにく&生姜。組織をたくさん壊したほうが旨味を出るのでみじん切りにし、油と炒め煮にするようにしっかり加熱します。あめ色玉ねぎにする必要はないので簡単です。トマトも旨味と色を出すので加えます。

今日の具は鶏肉にします。カット済みの冷凍品が便利ですよ。まな板を汚さないので超楽チン♪

 (3)基本の味付けは? 

スパイスカレー

塩のほか、今回は唐辛子はホールとパウダーの両方を使い、素晴らしい風味と溶け込む辛さの両方を得ます。スパイシーカレーはシャープすぎてキツイと感じられやすいので、角を丸くするために最後にバターや砂糖で調整する事にします(ちなみにインド現地のインド人も砂糖をよく使います)。

 (4)その他のオプション 

スパイスカレー

ヨーグルトを炒めることで乳製品の旨さと栄養ととろみを得よう。
クミンシードを炒めて香りをはじけさせ、食べたときの香りの良さにうっとりしよう。
仕上げのガラムマサラ(ストロング系スパイス混合物)で風味を調えよう。
ベンガル人の店で教わったオススメ技!!ホールスパイスとしてシナモンスティック鷹の爪カルダモンホールをカレーの汁に入れて、風味を漂わせよう♪

今回は、ココナッツミルクやバターチキンのような強いテイストを加えず基本のシンプルカレーの路線で作っていきます!!

本当に美味しいので是非レシピを見てください!

* * *

では「基本・シンプル・スパイシー度極上カレー」のレシピを掲載します(※)。

※前回記事(≫こちら)でお伝えしたように自分用のカレーは手のひらで計量しますが、レシピでは数値が要求されるため、手のひら計量で分取したスパイスを計量スプーンで実測し直し、数値を出しました。

レシピは簡単です。

スパイスカレー

heart『基本でシンプルなスパイシー度極上カレー♪』
材料(2人分):

玉ねぎ
1/2個
にんにく
2かけ
生姜
にんにくと同量
サラダ油
大3
クミンシード(ホール)
小2/3
鷹の爪
2本
無糖ヨーグルト
100 g
コリアンダーパウダー
大1
ターメリック
小1/4
フェヌグリークパウダー
小1/10
トマト(※1)
大4
クミンパウダー
小1/2
クローブパウダー
小1/2
ナツメグパウダー
小1/4
シナモンパウダー
小1/8
こしょう
小1/8
カイエンペッパーパウダー
小1/8
鶏肉(※3)
200 g
250 mL(※2)
小2/3
カルダモンホール
5粒
シナモンスティック
4 cm
ガラムマサラ
小1/2
バター
小2(※4)
砂糖
小2/3(※4)

※1:トマトはトマト缶(カットタイプ)を使いました。生の完熟トマトが美味しい季節は角切りにして使います。
※2:水は鶏肉がかぶる量を使うので、増減してもよいです。
※3:鶏肉の部位は問いません。ここではもも肉のカット済み冷凍肉を使用しています。
※4:バターと砂糖はスパイスのシャープさを丸くし、旨味を増すために加えます。よって味見をして好みにより増減します。

作業工程:20 分

  1. 玉ねぎ、にんにく、生姜をハンドブレンダーにかけて(ない場合は包丁で)みじん切りにする。
  2. 鍋にサラダ油を入れて中火で熱し、クミンシード(ホール)を1粒落としてシュワーっと気泡を出す温度になったら、クミンシードと鷹の爪を入れる。
  3. 鷹の爪がほんのり黒くなってきたら裏返し、火を止め、鷹の爪を取り出して小皿に入れておく。
  4. ヨーグルトを入れても跳ねないくらいに油の温度が冷めたら、ヨーグルトを入れてから中火にかけ、混ぜてしっかりと油と接触させる。
  5. 玉ねぎにんにく生姜ブレンドを加え、コリアンダーパウダー、ターメリックパウダー、フェヌグリークパウダー、トマトを加え、トマトを潰しながら、そして全体が油と接触するように混ぜながら炒める。
  6. 隣のコンロで(1口コンロの場合はいったん鍋をおろして)小さなフライパンを加熱する。
  7. クミンパウダー、クローブパウダー、ナツメグパウダー、シナモンパウダー、こしょう、カイエンペッパーパウダーを1つの小皿に入れ、熱くなったフライパンに入れてさっと空炒りし、うっすらと煙が立ち始めたらすぐに鍋に入れ、鍋の中を混ぜる。
  8. (玉ねぎ等をブレンダー容器にかけた場合はそこに水を入れて玉ねぎ等を洗い込みながら)、鶏肉、水、塩を鍋に入れて混ぜる。
  9. カルダモンホールの1か所にキッチンばさみか包丁で切れ目を入れ、先ほど取り出した鷹の爪、シナモンスティックと共に鍋に入れて混ぜ、火加減を強火にし、水分を飛ばしていく。
  10. 鶏肉に火が通り、煮汁がとろっとしたら味見をし、塩加減を好みに調える。
  11. 隣のコンロで(1口コンロの場合はいったん鍋をおろして)小さなフライパンを加熱し、熱くなったらガラムマサラを入れてさっと空炒りし、うっすらと煙が立ち始めたらすぐに鍋に入れ、鍋の中を混ぜる。
  12. 味見をし、バターと砂糖を加え、スパイシー度と旨味のバランスを取ったら出来上がり。
  13. Enjoy!
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スパイスカレー

玉ねぎ、にんにく、生姜をみじん切りにして(チョッパーがあれば5~10秒です♪)、サラダ油を熱してクミンシードと鷹の爪の香りを出し、鷹の爪はほんのり焦げ色の時点で取り出します。ヨーグルトを炒め、玉ねぎ類を入れて油とよ~く接触させます。

スパイスカレー

ベースのスパイスにはコリアンダーパウダー(多め)、ターメリック(黄色がつくくらい)、フェヌグリークパウダー(隠し風味的に)。それとトマトを加えてペースト状になるように炒めます。ここで玉ねぎを潰すとカレーの口当たりがとても良いのです。トップのスパイスには香りが強く立つものを選びました。それを熱した小フライパンでわずかに煙があがる程度に空炒りするから香りが出るんです。そしてメインの具(鶏肉)を投入。

スパイスカレー

水と塩を入れて煮ていきます。水はこれまで調理に使った道具を洗い込んで、素材の無駄を出さないようにして。そしてオプショナルな風味をつけるホールスパイスを入れます。最初に炒った鷹の爪、シナモンスティック、カルダモンホール♪ カルダモンには切れ込みを入れるのがコツです。これを煮汁に入れると・・・わあ香りが出る!出る!!

スパイスカレー

最後、調えるときがきました。ガラムマサラを空炒りして加えてスパイスのバランスを良くします。味見をすると、スパイスの香りが引き出されたカレーゆえにシャープさが強いと思うので、バターと砂糖で角を丸くして完成♪ これで、『基本・シンプル・スパイシー度極上カレー』の出来上がり♪

スパイスカレー

美味しーい!!

こんなに香りが良いカレーで幸せ♪ そんなに辛くなくて、しかもベースの旨味が美味しい。

そうなんです。このカレーのポイントは、スパイスカレーと聞いて敬遠する人のために、「そんなに辛くないカレー」を作ったことにあります。

以前地元の高校生の課内活動で韓国料理を一緒に作ったことがあって、その高校生が学内と学外で「辛い物が好きか苦手かアンケート」をとってたんですね。結果、…ちょっと私も予想していなかったんだけど、めちゃくちゃ多いじゃないですか…、辛いものが苦手な人の比率がとても高かったのです(ちょっと衝撃的でショックを受けるくらいに)。だから今回、スパイスカレーの障壁を低くするために、私は「スパイスが利きながらもそんなに辛くないカレー」をどうしても作りたかったのです。

スパイシーカレーは、唐辛子が辛いカレーではないんですよ。

スパイシーカレーは、香りが良いカレーなのですから。

私も、久々に初心に帰って、基本でシンプルなスパイシーカレーを作りました。出来上がりの色を見てください。いい色ですよねー。生クリームやココナッツミルクやトマトに頼り切ってしまうと本来のこういうスパイスカレーの色からかけ離れてしまうけれど、そういうテイストに頼りきらずに、こういうベーシックな色が出せると、なんかとてもカッコイイ感じでいいですね。

基本でシンプルな、香りが良いカレー。食べやすいのにスパイシー度が極上のカレーを作ることができました。

これまで私にカレー作りを教えてくれた、バラナシ(インド)の宿のシェフ、コルカタ(インド)のホームステイのママ、プリー(インド)のレストランのシェフ、シレット(バングラデシュ)やダッカ(バングラデシュ)の親切なスタッフたち、カラチ(パキスタン)の社長、それからカリマバード(パキスタン)で私たちにカレーをもてなしてくれたお兄さんたち、それからコロンボ(スリランカ)、ジャフナ(スリランカ)、キャンディ(スリランカ)。数えきれないほど・・・。いろいろと教わってきたスパイスカレーを「良いとこどり」で統合して、自分の中で完成した基本でシンプルで美味しいレシピを、やっとこうして公開することができました。今回の機会を、心から嬉しく思っています。

次回以降も、目的別の美味しいスパイスカレーレシピを掲載していきますので、また見に来てください!


※本記事はハウス食品及びレシピブログが主催するスパイスアンバサダーに就任したことに基づき執筆するものです。



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