ロシア料理

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【基礎情報】

ロシア連邦Russian Federation、首都:モスクワ、ISO3166-1国コード:RU/RUS、独立国(1991年ソ連解体)、公用語:ロシア語、通貨:ルーブル

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【地図】

ロシアは広大な国です。東部は北朝鮮、中国、モンゴルなどと接し、西はフィンランド、バルト三国、ベラルーシ、ウクライナなどと接し、南はコーカサスやカザフスタンと接しています。

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◆社会主義国家の実現から特異な食文化を形成した国の、ナチュラルな料理の数々

マルクス主義はソビエト連邦(ソ連)の樹立へ。ソ連とは、ロシア、リトアニア、ラトビア、エストニア、ウクライナ、ベラルーシ、モルドバ、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、キルギス、グルジア、アゼルバイジャン、アルメニアからなる連邦国家でした。その実体はロシアが他の国を支配する位置に立ち、「国民は平等」という概念に基づき様々なものが画一化し、帝政ロシア貴族の豪華絢爛料理も姿を消し、家庭料理も縮小され、国営食堂では同じものが同じレシピで作られ、当時のジャーナリストは「バルトからシベリアまで同じ料理」と記しています。ソ連(及び前身の帝政ロシアの支配地域)での民族の混交は複雑で、各構成国からロシアへ人が流入し、その点では、ロシア料理は各国料理を吸収して幅を広げました。しかし慢性的な物資不足も重なり、人々の伝統生活や伝統的な食文化は多大な変容を来しました。ロシア料理の形成は、ソ連という特異な歴史を経験している点で、普通の国が普通に発展するのとは違うのです。

ロシアの昼食
ホスト家族のお昼ご飯に同席。カーシャにサラダ、パン、食後にチャイ。(撮影地セベロバイカリスク)

現代のロシア料理は幅が広いですね。ウクライナ流のボルシュあり、ウズベキスタンのプロフサムサあり、グルジアやモンゴルの肉料理があり、アルメニアラワシュもある。中国由来かな?の餃子も、朝鮮風の人参サラダも定番の人気料理です。

ロシアはユーラシア大陸の北部一帯を占める広大な国家で、寒冷ゆえ人が住めないところが多い国です。作物は、キャベツなど限られた少ない品目しか育たず、古くは、人々は狩猟や牧畜をし、魚やきのこやきびや獣を得て、暖炉の熱でパンを焼き、暖炉の釜でスープを作り、夏の間に保存食を仕込んで暮らしてきました。

ロシア料理が美味しいか美味しくないか、と聞かれたら、返答にはちょっと迷います。ソ連崩壊後には自由主義社会・資本主義社会が幕開けし、今は随分と豊かになってきたものの、今も料理の味付けの基本は塩、マヨネーズ、スメタナ(サワークリーム)程度のことが多いんです。それはきっと、古くから続くロシア料理の伝統が今も根付いているからなのだろうと思います。良く言えばナチュラルで素材の味が生きていて、それが好みならば美味しいし(私や私の夫はそういうロシア料理が好きです)、でも言い換えれば単調で、特徴的な風味や味の濃さを求める人には飽きやすく物足りない料理かもしれません。

味付けがシンプルであるだけでなく、ライ麦パン、カーシャ(穀物を炊いたもの)、キャベツ、森で採れる木の実やきのこ、そして河川や湖沼の魚に、夏の間に自分たちで作る野菜と保存食・・・、伝統的なロシアの基本食は今も確実に残っています。

以上の前置きをもとに、更に幾つか付け加え、下のように、ロシア料理を知るための基礎事項を理解していると良いと思います。

  1. ロシアは広大で、ウラル山脈を境に、西をヨーロッパ、東をアジアと区分することもできる。東西はシベリア鉄道という大動脈でつながっている。
  2. 寒冷の地で、採れる作物は種類が少ない。ライ麦、きび、キャベツ、きのこ、魚、乳製品などが伝統食材である。
  3. 近代にじゃがいもが導入されてからは、メインの食材に位置づけられるほど普及した。
  4. 基本的な味付けは素朴で、塩、こしょう、マヨネーズ、スメタナ(サワークリーム)程度のことが多い。唐辛子やスパイスをほとんど使わないので辛くない。
  5. スメタナ(サワークリーム)やきゅうりのピクルスを使う料理も多く、発酵食品で旨味を出した料理は日本人の舌に合う。
  6. パン、冷菜、スープ、メイン、付け合わせ、飲み物、という組み合わせが目立つ。トレイに乗ると、定食のよう。
  7. エカテリーナに代表されるような宮廷・宮殿料理の発展は、かつて他の欧州の料理を取り入れた。
  8. ソ連構成国(中央アジアやコーカサスなど)、衛星国・周辺国(モンゴル、東欧、中国など)の料理や食材を吸収した。グルジア料理やウズベキスタン料理は今も美食の一地位を確立している。
  9. ソ連の共産主義時代には調理法や味付けの均質化がなされた。要は、どこで食べても同じような味がする、という図式が出来た。
  10. 構成民族が特徴的な地域では、料理も独自性が高い。例えばブリヤート(モンゴル人主体)ではモンゴル料理とロシア料理が強く混交する。

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主食 Staple

ロシア料理の主食はフリェプ(パン)です。「ロシアパン=黒いライ麦パン」というステレオタイプの図式ではなく、フリェプの種類はいっぱい! 黒パンや白いパン、硬く重いパンや軽いパン、円形のパンや直方体のパン、ひねり形状のパンなど、多種類のパンがあって、パン売り場を眺めるだけでも楽しいです。カフェ(食堂)では、皆さんおかずやスープと共にフリェプ(パン)も注文します。そういうときはパンの薄切りが出てきます。軽くてスカスカで食べごたえがあまりないのですが、1切れ5円程度と安いので、そんなもんです。

ロシアのお隣の中国では、餃子や蒸しまんを食べると、その皮の部分が主食を兼ねますよね。中国だったら餃子だけを食べても一食が完結できるんです。でもロシアではブーザ(大きな蒸しシュウマイ)を食べるにしてもフリェプ(パン)を同時注文しています(レジの側から「パンはいくつ?」と聞かれます)。この点からも、皮もの料理は主食にはならず、やはりロシア料理の主食はパン。国境1つ越えるだけでこの変化は面白いです。
ロシアの中のモンゴルではシュウマイや羊肉麺がおかずで主食がパンでした。|あづさDIARY

なお、各種カーシャ(穀物を炊いたもの)は、正餐となる昼食では付け合わせですが、軽い朝食であれば主食になるとも言えます(次項で記載します)。
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穀物と麺 Grains & Noodles

個人的には、ロシアはあまりパンが美味しい国ではないように感じていて、後述する、中央アジア(主にウズベキスタン)料理である炊き込みごはんや肉野菜麺を時折食べないと、連続したパン食では疲れてしまいます m(_ _)m 日本人がロシアを旅行して、パン食の連続に疲れたときは、メイン料理の付け合わせにリソバヤカーシャ(米を炊いたもの)を注文するのも良い方法です。ウズベキスタンから持ち込まれたプロフ(肉とにんじんと油多めの炊き込みごはん)もとても美味しい救世主です。

カーシャは、日本語ではよく「粥」と訳されるのですが、粥と書くと汁物が連想されるところ、ロシアで見るカーシャは余剰の水分が出ずにパラパラしているものも多いので、私は単に「穀物を炊いたもの」という表現をすることにしています。カーシャは穀物の種類によって細分化され、グリェチネバヤカーシャ(ソバの実を炊いたもの)、ピエロバヤカーシャ(大麦を炊いたもの)、プションナヤカーシャ(キビを炊いたもの)、マンナヤカーシャ(セモリナ粉を炊いたもの)、リソバヤカーシャ(米を炊いたもの)等、様々です。

ロシアの麺料理は、総じてラプシャと呼ばれます。麺をゆでてから味付けをしたり、汁そば風に食べたりします。ウズベキスタン料理としてのラグマンは、牛肉や羊肉のトマトスープにクミン、ネギ、香菜の香りが利いた「お椀の汁そば」です。ラグマンラプシャから独立してラグマンと呼ばれます。
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前菜 Zakuska

前菜または冷菜であるザクースカ(またはザクースキ)は、レストランのメニューのスターターであり、来客のおもてなしの始まりです。ウォッカ(蒸留酒)やフリェプ(パン)と相性の良い冷製の取り合わせで、内容に決まりはありません。例えば、オセトリーナザリブナヤ(魚のゼリー寄せ)、ハラデッツ(肉のゼリー寄せ)、イクラ(魚卵)、セリディ(またはセリョートカ、塩漬けや酢漬けのにしん)、ピクルス、各種サラート(サラダ)などです。
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野菜や豆のおかず Vegetables & Beans

ロシアに来て、食堂などでメニューを見ると、「サラダの地位が高い」かのように、サラート(サラダ)の項が独立し、かつ品目が豊富であることに驚きます。日本人がイメージするサラダといえば、レタスなどの葉野菜を盛ってあとからドレッシングをかけるものを思い浮かべるところですが、ロシアのサラダは、基本的には調理済み(加熱、酢漬け、マリネ等)かつ味付け済みの冷菜です。よって、ゆで卵にマヨネーズをかけただけのものも、立派なサラダの一品メニューです(ヤイツォパッマヨネゾムと言います)。

代表的なサラダには、オリビエ(ゆでじゃが、ゆで肉、ゆで卵、きゅうりなどミックスサラダ)があります。オリビエは別名をサラートスタリチニすなわち「首都サラダ」とも言うそうですが、遠く離れたシベリアの街でもメニューにありましたので、決してモスクワ限定という意味ではないようです。その他のサラダには、セリョートカパッシューバイ(直訳すると「毛皮をまとったニシン」、ニシンやビーツのミックスサラダ)やビネグレット(角切りビーツやきゅうりのビネガー和えサラダ)があります。

ロシア料理には豆料理と呼ぶほどのものはあまりありませんが、しかしオリビエにゆでた緑豆が入っていたり、グルジアやウズベキスタンの料理などで豆を見かけることはあります。
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料理名一覧 Food & Drink Glossary

「Б、б」の音は強く(バ行)「В、в」の音は弱い(ワ行、ヴァ行、ハ行)音となることを念頭に、現地の発音を加味して表記しています。
ロシア語料理名を日本語の片仮名に置き換える際の参考と根拠|あづさDIARY

【パン類、穀物類、麺類】
  • カーシャ(Каша)・・・穀物を炊いたもの
    • グリェチネバヤカーシャ(Гречневая каша)・・・ソバの実を炊いたもの
    • ピエロバヤカーシャ(Перловая каша)・・・大麦を炊いたもの
    • プションナヤカーシャ(Пшённая каша)・・・キビを炊いたもの
    • マンナヤカーシャ(Манная каша)・・・セモリナ粉を炊いたもの
    • リソバヤカーシャ(Рисовая каша)・・・米を炊いたもの
  • フリェプ(Хлеб)・・・パン
  • プロフ(Плов)・・・肉にんじん炊き込みご飯
  • ラグマン(Лагман)・・・トマト仕立て肉野菜入りスープ麺
  • ラプシャ(Лапша)・・・麺類の総称
  • ラワシュ(Лаваш)・・・極薄パン
【前菜、冷菜、サラダ、野菜のおかず】
  • イクラ(Икра)・・・魚卵
  • オセトリーナザリブナヤ(Осетрина заливная)・・・魚のゼリー寄せ
  • オリビエ(Оливье)・・・ゆでじゃがやゆで肉などのミックスサラダ
  • ザクースカ(Закуска)・・・前菜、冷菜
  • ザクースキ(Закуски)・・・前菜、冷菜
  • サラート(Салат)・・・冷菜
    • サラートスタリチニ(Салат столичный)・・・ゆでじゃがやゆで肉などのミックスサラダ
  • セリディ(Сельдь)・・・塩漬けや酢漬けのにしん
  • セリョートカ(Селёдка)・・・塩漬けや酢漬けのにしん
    • セリョートカパッシューバイ(Селёдка под шубой)・・・ニシンやビーツのミックスサラダ
  • ハラデッツ(Холодец)・・・肉のゼリー寄せ
  • ビネグレット(Винегрет)・・・角切りビーツやきゅうりのビネガー和えサラダ
  • ヤイツォパッマヨネゾム(Яйцо под майонезом)・・・ゆで卵にマヨネーズ
【スープ類】
  • ボルシュ(Борщ)・・・ビーツ入りスープ
【軽食】
  • サムサ(Самса)・・・小麦粉の皮でひき肉包み焼き
  • ブーザ(Бууза)・・・大きな蒸しシュウマイ
【乳製品】
  • スメタナ(Сметана)・・・サワークリーム
【お酒類】
  • ウォッカ(Водка)・・・ウォッカ。蒸留酒。
【ノンアルコール飲料】
  • チャイ(Чай)・・・お茶

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ロシア料理」への3件のフィードバック

  1. 奈々氏さん より:

    >今も料理の味付けの基本は塩、マヨネーズ、スメタナ(サワークリーム)程度のことが多いんです。

    ?本当にロシア料理を知ってるかと言う疑問を感じる方の記事ですね。
    元々はトルコ料理が土台になって居る所が大きいロシア料理ですが・・・

  2. コメントありがとうございます。トルコという国は新しすぎること、トルコ(テュルク)の影響よりソビエトだった名残が強いこと。そして奈々氏さんという名前でなければ返答をよりきちんとすると思うこと。広大すぎて一律にはやはり語れないこと。しかし広大な割には均一なこと(それがソビエト)。私はモスクワやサンクトなど観光都市も行き、周辺国もすべて渡航して比較検証し、ロシア内でもカレリアからシベリアまで行き、インターネットからは分からないことを随分現地から教えてもらえます。私は今年もロシアに行きロシアをしっかり見て参ります。

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