北マケドニア料理「シャルスカ」とは

2021/12/28

北マケドニアのクリバパランカという町で食べた「シャルスカ」

シャルスカはスパイスが入ったハンバーグのタネにチーズを入れて練り込んで焼いた料理でした。フライパンと接する面ではチーズがこんがり、内部ではチーズが芳醇にとろとろ。ワインがつい欲しくなる素晴らしい味でした。

シャルスカ

下の写真はグルマンスカです。

グルマンスカ

↓比較。

シャルスカ左とグルマンスカ右

グルマンスカとシャルスカは同じレストランで食べています。グルマンスカはハム入り(チーズはほんの少し)のハンバーグでした。ではシャルスカとグルマンスカはどう違うものなのでしょうか?

とても美味しかった料理なので、是非自宅でもシャルスカを作っていきたく、使うチーズについての情報も得られればと思って、検証してみました。

* * *

1)英語版Wikipedia「Pljeskavica」(≫こちら

ピエスカビッツァ

「Pljeskavica」(ピエスカビッツァ)は、バルカン半島のあたりで薄焼きハンバーグを総称した料理です。

ちなみによく日本語のネットでは「プリエスカビッツァ」と表記されるものが多いのですが、私が耳で聞いた発音はピエスカビッツァ。「 l 」は強いラ行にならないので、・・・そうね、例えばしっぽの「tail」はテーゥみたく「 l 」がウに近いし、そうだ、あちらの大都市ベオグラードも「Belgrado」がベオグラードだし、ハンガリー料理グヤーシュも「gulyás」がグヤーシュだし。厳密にはプリエスカビッツァでもピエスカビッツァでもなく、日本語にない音で発音されているのでしょうけれど、日本語カタカナ化は常に最寄りへの着地と心得、私はピエスカビッツァと耳で確認した音を使っています。セルビア人ともこれで会話できるし、更に追及する機会が来るまでの間はこれでまあいいかなと。

さて、
「ピエスカビッツァには幾つかの種類がある。

  1. レスコバツカピエスカビッツァ(スパイス多め+玉ねぎ使用)
  2. シャルスカピエスカビッツァ(カシュカバルチーズ入り)
  3. ハイドゥツカピエスカビッツァ(燻製肉入り)
  4. ブランヤンスカピエスカビッツァ」

(Varieties include the “Leskovac Pljeskavica” (Leskovačka pljeskavica) very spicy with onions, “Šar Pljeskavica” (Šarska pljeskavica) stuffed with kačkavalj cheese, “Hajduk Pljeskavica” (Hajdučka pljeskavica) of beef mixed with smoked pork meat, and “Vranje Pljeskavica” (Vranjanska pljeskavica).)

出た、私が食べたシャルスカの文字!! カシュカバルチーズ入りのハンバーグだそうですよ。

2)英語Wikipedia「Kashkaval」(≫こちら

カシュカバルチーズ

カシュカバルチーズは、牛や羊の乳から作るセミハードタイプの黄色いチーズだそうです。

バルカン半島での呼称の一例として、「kačkavalj」すなわち「カチカバリ」や「カチカバイ」のようにも呼ばれるようです。

つまり、シャルスカはセミハードタイプの黄色いチーズを練り込んだ薄焼きハンバーグということになります。

3)英語版Wikipedia「Pljeskavica」(≫こちら
もう一度1)のサイトに戻りますが、ここに、シャルスカの紹介として「シャルピエスカビッツァ」(Šar Pljeskavica)と書いてあります。

4)英語版Wikipedia「Šar Mountains」(≫こちら
シャルスカのシャルは、シャル山脈のシャルでした。「話し言葉ではシャラ山脈と呼ばれる」(colloquially called Šara)とも書いてあります。

シャル山脈の56%は北マケドニアに、43%はコソボにまたがります(残り1%はアルバニア)。つまり、シャル山脈は3国国境のあたりの山で、メインは北マケドニアです。

5)Google画像検索「ШарПланина」

ピエスカビッツァ

うっわー、シャル山脈はとても美しいですね!! いいなー、こういうところで作る美味しいチーズを使ったハンバーグ♪ 北マケドニアではこういう美しいところで出来る素材が、美味しいシャルスカを名物料理にしたんですね。

* * *

<まとめ>
北マケドニア料理「シャルスカ」の「シャル」は北マケドニア北西部でコソボとの国境にあたる山脈である。また「シャルスカ」は「カチカバリ」や「カチカバイ」と呼ばれるいわゆるカシュカバルチーズ(黄色いセミハードタイプのチーズ)をひき肉に練り込んで焼くハンバーグである。シャル山麓の酪農で育まれる美味しいカシュカバルチーズを使ったハンバーグである。現地ではハンバーグはピエスカビッツァと総称されるので、シャルスカはピエスカビッツァの1種である。

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わーい♪ 出来た♪出来た♪

毎度こういう調べものには時間がかかりますが(今回も様々なものを見ているので2日かかりました)、自分のためにまとめるのは有意義なので、やりがいがありました。

なお、シャルスカを紹介する日本語サイトに「とろけるチーズ入り」と書かれているものがありましたがそれは違う。日本語で「とろけるチーズ」と書くと食材として売っている「とろけるチーズ」を思い出すため、誤解が生じる。適切に表現するなら「中のチーズがとろけるハンバーグ」のほうが良いだろう。調理者としての立場から言うと、こういうチーズ入りハンバーグを作るときに「とろけるチーズ」を使うと形もなく流れ出きってしまうので、できればハードなチーズを使ってほしいから、私も心して今後は「セミハードタイプのチーズ使用」というように、北マケドニアの国民食のシャルスカを正しく紹介するように努めなければならないですね。

私が今後シャルスカを作るときは、カシュカバルチーズと同じものは地元のスーパーでは手に入らないだろうけれど、出来るだけそれに近いものを探して作ろうと思います。

そのうち作ってみようっと(*^_^*)



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