【世界20か国朝食!スパイスで地球を感じる・連載第17回ドリンク編】アフガニスタン料理カイマクチャイ

2021/05/29

『スパイスアンバサダー2021』
4~6月の活動は「スパイスを使う世界の朝食」という、私の得意分野のテーマです。お陰で私自身もスパイスという体の滋養を日々取り入れることができ、健康と幸せを実感しています。最終章となった「ドリンク編」の始まり、残り宜しくお願いします。

世界の朝ごはん

世界の料理を暮らしに取り入れる良さは幾つもあって、1)食卓がマンネリにならない、2)レパートリーが増える、3)いつもわくわくする、4)家族との会話が楽しい(ウクライナ料理を食べながらクリミア紛争を語り合ったりできる)、5)レシピ研究のためには勉強が必要だからボケ防止になりそう、6)和食が減るから減塩料理などの機会が豊富。などなど。特にマンネリになるのは朝食なので、朝食をテーマにスパイスレシピを開拓できるのはやりがいがあります。

<世界のスパイス朝ごはんの選別コンセプト>
20回連載で、世界のスパイス朝ごはんとそのレシピを紹介します。選ぶコンセプトは以下の通りです。

  1. 家庭の朝食と旅人が得る朝食は違う。正直、旅人基点でないと日本人は世界の料理に出会いにくい。だから基本コンセプトは「旅して出会う世界の朝食」とした。例えば「キューバ旅行気分♪」のように旅人視点を重視した。
  2. 主催者選定スパイス17種類のうち最低1つを使用する。
  3. 世界246か国を俯瞰してその国にどんなスパイス料理(選定17種類内)があるかを検証し、私がその国でその料理を実食した本物の料理を重視する
  4. 本物重視。スパイスを使った我流アレンジ料理にはしない。スパイスを使うその国の食とする。
  5. その料理がその国で朝食になりうるか、そしてそれはその国の国民食かどうかを検証済みとする。国民食の要件は、traditional、common、あるいはpopular。
  6. スープ編、おかず編、主食編、ドリンク編と、配膳別に各5回ずつ紹介。なお液状のディップ類は主食を食べるためのものならおかずに、汁を飲むならスープに編入。また肉類であっても主食と合体していてそれ一品で食事が完結するなら主食に編入した(例:肉まん)。
  7. 各配膳内(5回内)ではメインスパイスは重複しない
  8. 全体を通して(20回内)国は重複しない

このように壮大な計画と構想で練られた20レシピです。

世界の料理って本当に素敵です。

美味しさに香りを乗せて、楽しい時間を一緒に過ごしませんか。
日常に入り込んだワクワクの時間。
嬉しいのは、味も見た目も楽しむ時間。
簡単、美味しい、幸せ。

特別な時間を贈ります。

* * *

連載第17回はドリンク編(2)・アフガニスタン料理の「カイマクチャイ」です。
カシミールを中心とした地域 -それはインド北部、パキスタン北部、中国西部が接するあたりの桃源郷のような土地- には、緑茶をピンク色に変えて塩入りミルクティーにして飲む習慣があります。それはアフガニスタンではクリームが浮いた砂糖入りのミルクティーになります。緑茶をピンクに変える工程は驚きと恐怖(笑)の連続ですし、重曹入りの緑茶など飲むのも恐ろしいかと思うのですが、実はこの工程で、ココアのフレーバーが生まれ、ミルクとクリームと砂糖と組み合わせたときのリッチな味わいが激美味です。是非温かく作って、目にも美味しいピンクミルクティーを飲んでみませんか。

カイマクチャイ

レシピは簡単です。

heart『緑茶でピンクティー♪ カイマクチャイ♪』
材料
<カフワ(ピンクの元の濃厚液)の材料>(出来上がり約250 mL

500 mL
緑茶(※1)
大2
カルダモン
5さや
八角
2角(1/4個)
重曹
小1/5
小1/5
100 g

<ピンクミルクティーの材料>(2杯分

ピスタチオ(※2)
2つ
牛乳(※3)
350 mL
砂糖
大2
カフワ
大3
生クリーム(※4)
小2~大1

※1:現地では中国緑茶で作りますが、日本の緑茶(煎茶など)でよいです。
※2:ピスタチオの変わりに他のナッツ類でもよいです(アーモンド等)。
※3:牛乳は成分無調整等の美味しいものを使います。
※4:現地ではカイマク(生乳を遠心分離にかけて得る脂肪濃厚クリーム)を使います。日本には同じものはないのでここでは生クリームを使うレシピとしています。

作業工程:50 分

  1. <カフワ(ピンクの元の液)を作る>カルダモンのさやに包丁かハサミで切れ込みを入れる。
  2. 小鍋に水、緑茶の茶葉、カルダモン、八角(のうちの2角)、重曹、塩を入れて火にかけ、沸騰したら、弱くブクブクと泡が出る程度に火加減を落とす。
  3. ときどきお玉ですくっては落とす作業を繰り返し、空気を含ませるように、少しずつ水分が蒸発するように煮る。
  4. 10分おきに白い小皿に取って色調を観察する(緑茶がだんだんと赤くなる)。およそ40分経ち、赤い色がもう変化せず、体積が1/3くらいに減ったら、火を止める。
  5. 氷を入れて粗熱を取り、茶漉しで固形分を除去して小ビンに入れる。<カフワ完成。この状態で冷蔵庫に入れておける。>
  6. <ピンクミルクティーを淹れる>ピスタチオの殻を割り、中から実を出してすり鉢に入れ、すりこぎで粗く叩いておく。
  7. 小鍋に牛乳と砂糖を入れて中火にかけ、お玉で牛乳をすくって落とすことを繰り返し、熱めに温まったらカフワを入れる。
  8. カップに注ぎ、生クリームを浮かべ、ピスタチオをトッピングして出来上がり。
  9. Enjoy!
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カイマクチャイ

アフガニスタンはもともと山岳国家で部族は群雄割拠。ソ連の言うことを聞かず、アメリカの言うことを聞かず、いわばそれでボロボロになった国。でも、単に山奥の田舎だからソ連に取られなかったっていう話じゃなく、彼らは高いレベルで抵抗して、敵が大国であっても阻止し、そしてアフガンがアフガンで在り続けている。・・・そんな、手が届かない国にはまだまだ私たちが知らない文化がある。緑茶がこんなに美味しいピンクミルクティーになるだなんて、いいぞアフガン。素敵じゃないか。

私が好きな言葉は、
「料理の向こうに地球が見える」

こんな料理を、アフガニスタンの風景に重ね、自宅でもアフガニスタン旅行気分を感じられたらこんなに嬉しいことはない・・・。

アフガニスタン

なぜならば -すみなしものは心なりけり- だから・・・。

私たちは、外国にいなくても、外国の文化や風土を自宅に取り入れることができる。料理と食卓ならそれが最も簡単で確実です。

美味しさに香りを乗せて、楽しい時間を一緒に過ごしませんか。
日常に入り込んだワクワクの時間。
嬉しいのは、味も見た目も楽しむ時間。
簡単、美味しい、幸せ。

・・・これからも、そんな想いが詰まったレシピを厳選し、世界20か国のスパイス朝食を綴っていきます。最後までもう少し。どうぞ次回もご期待ください。よろしくお願いします。

世界の朝ごはん

<世界20か国のスパイス朝食・目次一覧>
メルジメッキチョルバス【第1回スープ編(1)】
~西アジア・トルコ料理、メルジメッキチョルバス


ハルチョ【第2回スープ編(2)】
~コーカサス・ジョージア料理、ハルチョ


サルーナ【第3回スープ編(3)】
~西アジア・アラブ首長国連邦料理、サルーナ


ビーフスープ【第4回スープ編(4)】
~東アフリカ・ケニア料理、ビーフスープ


スプドゥポワソン【第5回スープ編(5)】
~西欧・フランス料理、スプドゥポワソン


ホムス【第6回おかず編(1)】
~西アジア・シリア料理、ホムス


ナーゲシ【第7回おかず編(2)】
~西アジア・イラン料理、ナーゲシ


ソスプワノワ【第8回おかず編(3)】
~カリブ海・ハイチ料理、ソスプワノワ


ベール【第9回おかず編(4)】
~東北アフリカ・ソマリア料理、ベール


バイサイチュルーク【第10回おかず編(5)】
~東南アジア・カンボジア料理、バイサイチュルーク


ファリアミナナナ【第11回主食編(1)】
~インド洋アフリカ・マダガスカル料理、ファリアミナナナ


チャパティアウサブジ【第12回主食編(2)】
~南アジア・インド料理、チャパティアウサブジ


アソパオ【第13回主食編(3)】
~カリブ海・プエルトリコ料理、アソパオ


肉包子(ローパオズ)【第14回主食編(4)】
~東アジア・中国料理、肉包子(ローパオズ)


フォーヘオ【第15回主食編(5)】
~東南アジア・ベトナム料理、フォーヘオ


シャイアラーキ【第16回ドリンク編(1)】
~西アジア・イラク料理、シャイアラーキ


カイマクチャイ【第17回ドリンク編(2)】
~西アジア・アフガニスタン料理、カイマクチャイ


***【第18回ドリンク編(3)】
~南米・ペルー料理、***


***【第19回ドリンク編(4)】
~西アフリカ・セネガル料理、***


***【第20回ドリンク編(5)】
~カリブ海・アンディグアバーブーダ料理、***


世界の朝ごはん

スパイスで世界の朝ごはん料理レシピ

※本記事は(1)「ハウス食品×レシピブログ」のモニターコラボ広告企画に参加していること、(2)スパイスをモニター提供されたことに基づき執筆するものです。



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本記事、レシピ内容及び写真の著作権はすべて管理人:松本あづさ(プロフィールは≫こちら、連絡方法は≫こちら)にあります。読んでくれた方が実際に作って下されば嬉しいですし、料理の背景やTipsなど、世界の料理情報の共有を目的として、大事に作成しています。
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