カブサとマクブースは、中身が同じだけでなく、名前も同じなのだと確信しました。

2020/01/05

世界の料理という土俵において、「同じ料理」って、難しい。

「同じ」には、「名前が同じ」あるいは「物が同じ」、もしくは「その両方が同じ」の3パターンがあります。

一例を挙げますと、
1)名前が同じ(物は違う)
スペインのトルティージャと、グアテマラのトルティージャ。
名前は同じですが、前者はオムレツで後者はトウモロコシ粉生地の薄焼きです。

2)物が同じ(名前は違う)
ケニアのウガリと、ナミビアのパップ。
名前は違いますが、どちらも主にはトウモロコシ粉を湯で練った主食です。

3)名前も物も同じ
カザフスタンのマントゥとウズベキスタンのマントゥ(どちらもでかしゅうまい)とか、インドのダルとブータンのダル(どちらも豆ポタージュ)など。名前も物も同じというのは同じ民族が異なる国に居住したり、ある国の食文化が別の国に流入するときによくみられる現象です。

すなわち、「同じ料理」とは、1)のように物が違っても、2)のように名前が違っても、どこかに、なにかの同じ根っこを持っていて、こんなことを旅して実体験として得て知って、検証してつなげていくのが私のなりわいというか、壮大な趣味となっています。

* * *

2019年9月27日、忘れもしないこの日付。それまで自由な観光旅行者を一切入国させなかったサウジアラビアが、突如、入り口を盛大に開いたのです

 -Saudi Arabia is opening-

いやー、目が輝きましたね。その時点で行ったことがない国があと5つの私にとって、最後まで行けないか、あるいは、なんちゃってトランジットのなんちゃって入国でお茶を濁すかとさえ考えていたサウジアラビアが、いとも簡単に自由旅行ができる国になったのです。

早速ビザを取得しました。
早速航空券を手配しました。
飛行機で飛んでサウジに入っても面白くないから、安い航空券が幾らでも見つかるドバイ(アラブ首長国連邦)までの往復飛行機を取り(しかも裏技で、中国北京トランジットで無料ラウンジが使える乗り継ぎパターンを選びました♪)、ドバイから陸路でサウジに入り、違う陸路でサウジから出るという、美味しい行程を組みました。サウジ国内は、列車もバスも体験しながら、5500kmをレンタカーで東奔西走、ホント、走り抜けました。

サウジアラビアに行って、無事に帰国している今、大きな収穫はもちろんたくさんあって。1)サウジ料理というものがかなりよく分かったこと、2)アラビア語が少し読めるようになったこと、3)アラビア語の画面などが出てきても怖さが減ったこと、それから4)サウジの文化を一層尊重して日本の暮らしに取り入れられるようになったことなどがあります。

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さて私はサウジアラビアに行くまで、カブサとマクブースは、2)物が同じ(名前は違う)関係にあると思っていました。要は、どちらも肉とごはんの同時調理ですが、サウジアラビアとバーレーンとで名前が違っているのだと思っていました。

だけど、今回、カブサとマクブースは3)名前も物も同じとほぼみなしてよいと思うようになったのです。この記事ではその推測を進める過程をまとめましたので、興味があればこのまま読み進めてください。

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◆アラビア語Wikipedia「كبسة」(≫こちら

カブサ

いやー、こういう画面に向き合うようになったことは素晴らしい私自身の変化♡ ほとんど読めないにしても、アラビア語から逃げなくなったのが凄くいい\(^o^)/ 今後もこうして見て知って調べていけばもっとアラビア語ももっと読めるようになるでしょうから、アラビア語の羅列から逃げなくなったのは、本当、サウジアラビア1か月の旅の大成果です!

ということで、冒頭なのですが、

カブサ

「カブサまたはマクブースはガルフの米料理です」といったくだりの文章から始まっています。

ここで、マクブースとカブサの綴りを見てみます。見やすいように母音記号と定冠詞を除きました。

カブサ

マクブースのクブースはカブサなのですね。
カブサは「press」という訳に相当する単語ですが、何も押して作らなくていい。ひっぱるという意味のラーメンだって今や機械プレスで作っているかもしれないから、語源は語源でとどめておくほうがここは良いでしょう。ただ、カブサという料理は、肉が米に乗る(ときに埋もれる)料理であるため、お皿にせっせと米や肉を乗せているあたりが「press」につながる語源なのかもしれません。

ということで、接頭の「マ」が入ることで、画像のように名詞化/分詞化された(※)だけで、でもカブサも名詞扱いだからそこには大した変化がなく、要は2つは同じ言葉であることが推測されたのです。

※接頭にMが入ることで名詞化/分詞化される料理には、これも私の推測ですが、タバク(皿)のように平たく焼いたムタバクや、サカ(冷たいもの)に仕立てたムサカなどがある。

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サウジアラビアの国民食「カブサ」。

カブサ

日本にいてはステレオタイプの情報しか入ってこなかった。いや、本当は、私がステレオタイプから抜けられなかったのかもしれない。だって私はサウジアラビアに行ったことがなかったから。

でも今は違う。1か月もいれば、単純計算で90回はごはんを食べる。1回に2、3品の料理を食べるときだってある。実際、大富豪の家に招かれたときなどは多種類の料理を収集することさえできた。ネット情報なんて情報じゃない。参考にとどめるべきものだ。旅をすることは本物の収集の連続になるのだから、私のようななりわいの者には、旅って大事だなと、改めて思いました。

ではまとめです。

【推測まとめ】
サウジアラビア料理で知られるカブサと、バーレーンやクウェート料理で知られるマクブースは、マクブースのクブースがカブサを示すと思われることから、(少々の活用が異なる程度のことで)同じ名称の料理とほぼ捉えてよいだろう。

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今、「カブサ」という料理について見えてきたものがあります。それは広義と狭義の定義があるのではないかということです。この点も是非記事にして残したくただいま調査中。追って必ずや記載します。

最後に、下に、私がサウジアラビアで美味しく頂いた「ベストカブサの1つ」の写真を掲載しておきます♪

カブサ

大人2人がお腹いっぱいになる量があるんですよ。上のお肉は私の大好物の羊肉です♪



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