バチカン料理

[last update 2017/09/15]

+++新着+++


【基礎情報】

国名:バチカン市国Vatican City State、首都:バチカン、ISO3166-1国コード:VA/VAT、独立国(1929年イタリアより)、公用語:イタリア語、通貨:ユーロ

▲目次に戻る


【地図】

バチカン市国はイタリアの首都のローマの一地区です。周囲はすべてイタリアに囲まれています。

▲目次に戻る


◆教皇と共に変わる料理、受け継がれる儀式料理、そして日常のイタリア料理。

バチカン市国は世界で一番小さな独立国として有名です。そこはカトリックキリスト教の中心地であり、教皇庁があり、カトリック最高職位のローマ教皇がいる、世界中12億人を超えるカトリック信者にとって最も大切かつ神聖な場所です。料理の話をすると、バチカン国民は他国から選出されて来た人が2つめの国籍を与えられて在職する人々であり、離職するとバチカン国籍を失います。よって母から子へ受け継がれるような料理はバチカンには存在しません。

ピザ
バチカン美術館のピッツァはバチカン国内で作っていました。(撮影地ムゼイバティカニ)

「バチカン」は「法王聖座(Holy See)」と「バチカン市国(Vatican City State)」の総称で、「バチカン市国」は、「法王聖座」に居場所を提供する領域としての国家を指します。「法王聖座」はローマ法王(またはローマ教皇、最高位聖職者ならびに国家元首)及びローマ法王庁(またはローマ教皇庁、政府に相当)を総称した概念で、約12億3千万人とも言われる信者を擁するカトリック教会の最高機関(総本山)。・・・これは外務省の説明を使用したバチカンの概要です。

通常なら、「A国の料理」を語る場合、A国の伝統料理やA国内でよく食べられる料理を記述します。そしてその国政が特定の宗教が一体化している場合は、宗教に基づく料理を記述します。しかし「バチカン料理」を語るにあたっては「カトリック教徒が日頃食べるもの」などと宗教を切り口に書いてもあまり意味がないんですね。日本のカトリック教徒はごはんと味噌汁、インドのカトリックはチャパティーやパコラを食べ、南米のカトリックはエンパナーダを食べている。信仰と料理は、この場合密接でないのです。

バチカン最高職位である教皇は世界中から選出されて就任する人で、神の大使に位置づけられます。実例では、フランシスコ(266代教皇、在位2013~、原国籍アルゼンチン)はエンパナーダアルゼンチン料理)を食べ、ベネディクト16世(265代教皇、在位2005~2013、原国籍:ドイツ)はソーセージを食べ、ヨハネパウロ2世(264代教皇、在位1978~2005、原国籍:ポーランド)はピエロギポーランド風餃子)を食べる。それはそうですね。人が故国のものを口にすることはごく当然のことと思います。よってもし日本人が教皇に選出・就任した暁には、バチカン市国の中にきっとお寿司やお味噌汁が登場するのだと思うのです。しかし、だからといって、お味噌汁がバチカン料理かというと、それはその時点のバチカンの食卓に乗るものの一端だとしても、「バチカン料理」という本筋とは違う気がします。

つまり、「バチカン料理」として語られるべきものは、教皇が食べる料理だけではなく、カトリックキリスト教の宗教行事に関連して国内に現れる料理、そして宿坊というか教会宿舎でよく出される食事を含め、幾つかの柱に分けて整理するのが適切です。ただしそれらは多くはシークレットですし、知ったところで、日本人が旅行でバチカンに行っても口にする可能性がまずありません。

このような、世界一難しい各国料理である「バチカン料理」について調査しているうちに、主なものは次の4本柱に収束しました。

  1. 行事、祝事、組織執行の料理
  2. 教皇の母国の料理
  3. イタリア料理
  4. スイスガードの料理(スイス料理)

そしてもうひとつ、このページは、旅する人が現地で「その土地の食」を楽しめるような事前情報収集に役立つサイト作りも目的としているので、

5. バチカン国内で観光客に提供される料理

の項目も設けて、内外からバチカン料理を書いていこうと思います。

教皇やバチカン職員の料理は、傭兵(スイスガード)のシェフが執筆した「Vatican cookbook」(英語洋書)に主に基づき、主観を入れずに記述します。コンテンツ全訳は以下リンクを参照。
英語書籍の「Vatican Cookbook」が素晴らしすぎる。メニューを日本語に。

また、観光客の立場で得られる料理は、自己調査とバチカン側から提供される情報に基づいて記述します。
【決定版】バチカン美術館の内部にあるカフェ及びレストランに関する完全調査

知る人ぞ知る、あるいは知られざるバチカンの料理を、それでは見ていきましょう。
▲目次に戻る

行事、祝事、組織執行の料理 Holy solemnity & Execution

カトリックキリスト教の行事(降誕(クリスマス)、四旬節、復活祭など)や、宣誓式などにまつわる料理の一例です。

  • グリッティベンツ(人形型パン)
  • ジンジャーブレッド(生姜クッキー)
  • マルティンスガンス(聖マーティンの日のローストダック)
  • ビーフタリアータ(牛フィレ肉のイタリア風たたき)

▲目次に戻る

教皇の母国の料理 Pay tribute to Pope

教皇の在位中は、その教皇の母国の料理が作られます。教皇は世界中から選出されうるのだから、世界中の料理がバチカンに入りうるわけで、バチカンにはこれまでにも非常に多くの文化が溶け込んできました。その一例です。

▼フランシスコ(266代教皇、在位2013~、原国籍アルゼンチン

  • エンパナーダ(肉包みミニパイ)
  • コリータデクアドリル(牛臀部肉の豪快焼き)
  • ドゥルセデレチェ(ミルクキャラメルクリーム)
  • アルファホレス(ドゥルセデレチェ挟みビスケット)
  • ピッサアカバーショ(ヒヨコマメクラッカー乗せピザ)

▼ベネディクト16世(265代教皇、2005~2013、原国籍:ドイツ

  • ソーセージサラダ(バイエルン地方風ソーセージサラダ)
  • サックリングピッグ(乳飲み豚のロースト)
  • キルシュミヒェル(サクランボプディングケーキ)

▼ヨハネパウロ2世(264代教皇、1978~2005、原国籍:ポーランド

  • ピエロギポーランド風餃子)
  • フライシュフォーゲル(サイの目の具を薄切り牛肉巻き焼き)
  • アップルクーヘン(リンゴのタルト)

▲目次に戻る

イタリア料理 Italy

バチカン国内ではイタリアと共通する料理が日常的に作られており、バチカン人(すなわちバチカンに駐在する聖職者、警備、その家族)の出身国は様々でも、皆イタリア料理と共通する料理を食しています。つまりそういった形でバチカンに根付く料理はバチカン料理と呼ぶことができます。その一例です。

  • ミネストローネ(豆や野菜のスープ)
  • エッグプラントモッツァレラ(ナスとモッツァレラチーズの重ね焼き)
  • インサラタディガンベリ(エビのサラダ)
  • クレスペッレ(おかずクレープ)
  • ピッカータ(薄切り肉の卵液焼き)
  • サルティンボッカ(牛肉と生ハムの重ね焼き)
  • スップリ(ライスコロッケ)
  • リゾット(粥)
  • ピッツァ(ピザ)

バチカンで食べられているパスタ類も、種類が豊富です。
スパゲティ(スパゲティ)は、例えばスパゲティアッラカルボナーラ(スパゲティカルボナーラ)やスパゲティフルティディマーレ(海鮮スパゲティ)などにして。
その他、

  • ラザーニャ(ラザニア)
  • フェットゥチーネ(平打ちパスタ)
  • カンパネッレ(巻かれたショートパスタ)
  • ペンネ(ペン先型ショートパスタ)
  • コンキリオニ(窪んだショートパスタ)
  • フジッリ(スパイラルショートパスタ)
  • ニョッキ(すいとん風パスタ)
  • ラビオリ(シート状パスタ)

カトリックキリスト教にはユダヤ教やイスラム教と違って基本的に食の禁忌がなく、牛肉、豚肉、鶏肉、ウサギ肉などが様々な技法のもとに調理されます。生肉も忌避されず、生ハムも食べられています。
▲目次に戻る

スイスガードの料理(スイス料理) Pontifical Swiss Guard

バチカン市国を護衛するのはミケランジェロデザインの衣装をまとったスイスガード(スイス人の傭兵たち)で、2006年には傭兵制度500年が祝われたほど、スイスガードは長い伝統をもっています。バチカン国籍を有する者をバチカン人とするならば、バチカン人はカトリック教会組織の要人や職員です。約800人のバチカン人のうちスイスガードは100人以上もおり、共に居住する家族をあわせるとスイス出身者がバチカン人のマジョリティーとなるのではないでしょうか。以下は彼らの食べる母国の料理の一例です。

  • スイスオムレット(スイス風オムレツ)
  • パペヴォードワ(煮じゃがいもとソーセージ)
  • ポレンタ(トウモロコシ粉マッシュ)

▲目次に戻る

主食 Staple

「Vatican cookbook」には「Basic Recipes」(基本的なレシピ)として、小麦粉を練る生地、じゃがいもとクルスキ(じゃがいも団子)、リゾット(粥)とシュペッツレ(卵麺)の製作について記述しています。

このほか、スパゲティやその他多数のパスタ(上述のペンネラビオリフェットゥチーネ等)、パネ(パン類)、ポレンタ(トウモロコシ粉マッシュ)などがバチカンの主食となります。
▲目次に戻る

バチカンで料理を食べるにあたり Etiquette

バチカンは誰でもパスポートチェックなしに入国できるので綺麗な公園感覚で訪れる人もいるかもしれません。事実、サンピエトロ寺院前の広場では、軽食を持ち込んで食べている観光客を見かけます。しかしバチカンはカトリックキリスト教の総本山であり、使徒ペテロの殉教地であり、信者にとっては世界一神聖な場所です。本来教会というものはどういう場所かを考え、教会に相応しい服装と行動が求められます。

バチカン国内で料理を食べる場所を求めるのなら、サンピエトロ側からはいったん出国して、ムゼイバティカニ(バチカン美術館)に入るしかありません。美術館の中ではテイクアウェイ(テイクアウト)の料理も売られていますが、飲食店は6軒あるので料理は持ち運びする必要はなく、やはり食べ物は食べ物屋の中でいただき、美術品鑑賞と飲食はけじめをつけて切り離すべきだと思います。
【決定版】バチカン美術館の内部にあるカフェ及びレストランに関する完全調査
▲目次に戻る


料理名一覧 Food & Drink Glossary

【パン類、小麦粉、トウモロコシ粉】
  • グリッティベンツ(Grittibanze)・・・人形型パン
  • クルスキ(Kluski)・・・じゃがいも団子
  • クレスペッレ(Crespelle)・・・おかずクレープ
  • シュペッツレ(Spaetzle)・・・卵麺
  • ニョッキ(Gnocchi)・・・すいとん風パスタ
  • パネ(Pane)・・・パン
  • ピッサアカバーショ(Pizza a Caballo)・・・ヒヨコマメクラッカー乗せピザ
  • ピッツァ(Pizza)・・・ピザ
  • ポレンタ(Polenta)・・・トウモロコシ粉マッシュ
【パスタ類、麺類】
  • カンパネッレ(Campanelle)・・・巻かれたショートパスタ
  • コンキリオニ(Conchiglioni)・・・窪んだショートパスタ
  • スパゲティ(Spaghetti)・・・スパゲティ
    • スパゲティアッラカルボナーラ(Spaghetti alla Carbonara)・・・スパゲティカルボナーラ
    • スパゲティフルティディマーレ(Spaghetti Frutti di Mare)・・・海鮮スパゲティー
  • フェットゥチーネ(Fettuccine)・・・平打ちパスタ
  • フジッリ(Fusilli)・・・スパイラルショートパスタ
  • ペンネ(Penne)・・・ペン先型ショートパスタ
  • ラザーニャ(Lasagna)・・・ラザニア
  • ラビオリ(Ravioli)・・・シート状パスタ
【米料理】
  • スップリ(Suppli)・・・ライスコロッケ
  • リゾット(Risotto)・・・粥
【肉料理】
  • エンパナーダ(Empanadas)・・・肉包みミニパイ
  • コリータデクアドリル(Colita de Cuadril)・・・牛臀部肉の豪快焼き
  • サックリングピッグ(Suckling Pig)・・・乳飲み豚のロースト
  • サルティンボッカ(Saltimbocca)・・・牛肉と生ハムの重ね焼き
  • ソーセージサラダ(Sausage Salad)・・・ソーセージサラダ
  • パペヴォードワ(Papet Vaudois)・・・煮じゃがいもとソーセージ
  • ビーフタリアータ(Beef Tagliata)・・・牛フィレ肉のイタリア風たたき
  • ビールピッカータ(Veal Piccata)・・・薄切り仔牛肉の卵液焼き
  • ピエロギ(Pierogi)・・・ポーランド風餃子
  • フライシュフォーゲル(Fleischvogel)・・・サイの目の具を薄切り牛肉巻き焼き
  • マルティンスガンス(Martinsgans)・・・ローストダック
【魚介や卵の料理】
  • インサラタディガンベリ(Insalata Di Gamberi)・・・エビのサラダ
  • スイスオムレット(Swiss Omelet)・・・スイス風オムレツ
【野菜の料理】
  • エッグプラントモッツァレラ(Eggplant Mozzarella)・・・ナスとモッツァレラチーズの重ね焼き
  • ミネストローネ(Minestrone)・・・豆や野菜のスープ
【お菓子類】
  • アップルクーヘン(Apple Kuchen)・・・リンゴのタルト
  • アルファホレス(Alfajores)・・・ドゥルセデレチェ挟みビスケット
  • キルシュミヒェル(Kirschmichel)・・・サクランボプディングケーキ
  • ジンジャーブレッド(Gingerbread)・・・生姜ビスケット
  • ドゥルセデレチェ(Dulce de Leche)・・・ミルクキャラメルクリーム

▲目次に戻る


Link

▲目次に戻る


本記事、レシピ内容及び写真の著作権はすべて管理人:松本あづさにあります。読んでくれた方が実際に作って下されば嬉しいですし、料理の背景やTipsなど、世界の料理情報の共有を目的として、大事に作成しています。
出典URL付記リンクを貼れば小規模な範囲でOKなこと】
・ご自身のサイト、ブログ、FacebookやTwitterにおける情報の小規模な引用や紹介。
事前連絡出典明記をお願いします】
・個人、団体、企業等の活動や出版等で、当サイトおよび当管理人のもつ料理レシピや写真を活用・使用したい場合。
事後連絡でもよいのでお寄せ下さい(楽しみにしていますので)】
・小学校や中学校の宿題や課題で当サイトを活用してくれた生徒さん。
ご遠慮ください】
・大々的なコピペや読み込み、出版物への無断転載。
・営利目的や利益が生じる手段での無断使用。
※免責事項:上記の引用に基づいて万が一損失・損害がありましても、対応はユーザーご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。