アルゼンチン料理

[last update 2016/06/27]

◆お肉をとにかくよく食べる、南米の白人国家。


+++新着+++
・甘い飲み物には、スブマリーノという、潜水艦という意味の、ホットミルクにチョコレートを「沈めた」ドリンクがあります。(本文記載済み)


基礎情報アルゼンチン共和国Argentine Republic、首都ブエノスアイレス、ISO3166-1国コードAR/ARG、独立国(1816年独立宣言、スペイン国より)、公用語スペイン語。通貨ペソ

アルゼンチンは広大なパンパの大地を持っています。

日本から見て地球の裏側にあるアルゼンチンは、日本の明治維新と同時期(1860年代)に誕生した国で、19世紀末~20世紀初頭には、欧州化政策のもと世界有数の高度成長を遂げ、農牧産品(穀物と食肉)の輸出やそれに係わる産業(鉄道や港)が急速に発達しました。移民法の制定と借地農制度の整備化から、イタリアその他ヨーロッパからの移民が多数流入し、開拓と、農業及び牧畜業が拡大していきました。アルゼンチンは世界有数の富裕国となり、港町ブエノスアイレスは「南米のパリ」とまで呼ばれる近代的な街並みを築き、国民は先住民や黒人がほとんどいない「白人国家」(欧州系が97%、うちイタリア・スペイン系がおよそ80%)となりました。大畜産国として発展の基礎を築いただけあって、とにかく肉料理を食べる国。1人あたりの肉の消費量は世界でもトップクラスです。・・・極端な話、この数行の歴史紹介で、アルゼンチン料理の大筋が理解できてしまうのです!

アルゼンチンを知る人に、代表的なアルゼンチン料理を尋ねると、殆どの人が「肉」と答えるのではないかと思います。アサードという、肉をパリージャと呼ばれる金網の上で炭火焼きにする料理が大変に有名です。一般的にはバカ(牛肉)が食べられますが、南部のパタゴニアではコルデロ(羊肉)やチビート(ヤギ肉)のアサードも食べられます。

アサードは「焼く」という意味のスペイン語に由来するので、パリージャ(金網)の上で焼いた肉は、アサードともパリジャーダとも同義語で呼ばれます。アサードと言う場合は肉が1種類でも複数でもよいのですが、パリジャーダと言う場合、いろいろな種類のお肉をミックスでいただきます。チョリソー(スパイシーソーセージ)、モルシージャ(血のソーセージ)、ロモ(ヒレ肉)、リニョン(腎臓)、チンチュリン(小腸)、モレハ(日本語でシビレ、胸腺)、コスティージャ(アバラの肉)、バシオ(赤身)などなど。どんな小さな町にもパリージャ(アサード/パリジャーダを食べさせてくれるレストランのこと)はありますし、ホームパーティーなど人が集まる家庭料理としてもアサードは定番です。ちなみにアサードを焼くのは男性という決まりがあります。


アサードパーティーに招待していただきました。(撮影地ゲメス)

アサードは、基本は塩で食べますが、チミチュリという、ガーリックとビネガーとハーブのミックスソースもまたお肉をさっぱりと食べさせてくれます。チミチュリは他のスペイン語圏の国にもありますが、アルゼンチン版は唐辛子を入れません。また、アサードの付け合わせには、ごく簡単なエンサラダ(サラダ)がつく程度で、彼らはあまり野菜を食べません。

その他の肉料理には、イタリアの都市ミラノの名を冠したミラネッサ(薄く作る牛カツ)、ミラネッサナポリターナ(ミラネッサにトマトソースやチーズをのせたもの)、スプレーマ(鶏肉で作るミラネッサ)、マタンブレ(牛のバラ肉。ステーキにしたりほかの具を包み込んで焼いてスライスしたり)などがあります。

アルゼンチン人の大半はイタリア(次いでスペイン)からの移民の子孫なので、イタリアの食べ物は、彼らの生活の基盤でもあります。アルゼンチンでは、お肉にひけを取らないくらい、ピッツァとパスタが食べられています。フィデオは麺類全般(普通のスパゲティー含む)、タジャリンはタリアテッレ(平たい麺)、ニョキは小麦粉とじゃがいものすいとん風(イタリアのニョッキと同じ)です。アルゼンチンには「ニョキ29」(Ñoquis del 29)という日があり、毎月29日にお皿の下にお金を置いてニョキを食べます。

パン類の軽食も人気です。エンパナーダは、餃子の皮がパン生地になったような包み焼きで、具には、肉、ハム、野菜などいろいろあり、南米のどこにでもある軽食です。北部サルタ地方のエンパナーダは、お肉と肉汁たっぷり、その美味しさで有名で、その国境を越えた先にあるボリビアではサルテーニャスという名(サルタの意味)で売られているほどです。チョリパンはチョリソー(スパイシーソーセージ)をパンに挟んだもの、モルシパンはモルシージャ(血のソーセージ)をパンにはさんだもの、ミガはハムとチーズなどを耳なしの薄切りパンにはさんだサンドイッチ、トスターダはミガを両面焼きにしたホットサンド、パンチョはホットドッグ、ロミートはロモ(柔らかい牛ステーキ)のサンドイッチ(ウルグアイのチビートに似ている)、という具合に、パン類の軽食のバリエーションが豊富です。

このように、アルゼンチン人の食生活は、肉料理と、ピザやパスタ、パン類が多いのですが、残念ながら先住民の伝統料理は殆ど残っていません。先住民の料理として残っているものとしては、ボリビアの国境に近い北部の料理である、ロクロやプチェロ(どちらもシチューのような煮込み)などがあります。

アルゼンチン料理を語るにあたり外せないのが、ドゥルセデレチェ(直訳して甘いミルク)という、アルゼンチン人が強大に誇る、コンデンスミルクと重曹と黒砂糖を煮詰めたクリームです(チリのマンハールと同じ)。更に、アルファホルという、ドゥルセデレチェと甘いクッキーを重ね甘いチョコレートがけした甘甘スウィーツも、アルゼンチン人が大好きなお菓子です。

アルゼンチンは、食べるもののバリエーションがあまり多くないのですが、ここまでいろいろと書いてきて、野菜料理が実に少ないことに気付くかもしれません。彼らは「マテMate(地元のお茶)を飲んでいれば野菜を食べなくてもいいのよ」と信じています。このマテを飲む習慣は、白人国家で移民国家のアルゼンチンにおいて、ヨーロッパ系の人々が最も先住民の伝統を受け継いだ例かもしれません。ジェルバ(マテの茶葉)をマテーロ(マテ専用カップ)に入れ、お湯を注ぎ、ボンビージャ(ろ過器つき金属ストロー)で茶葉を濾しながらお茶を飲みます。冷水で作ればテレレと呼ばれます。お湯または冷水で、伝統通りにマテを飲む人も多いのですが、甘いものが大好きなアルゼンチン人には、ハチミツやファンタやスプライトを入れて、かなりジャンクな甘さにしてマテを飲む人も多く見かけ、驚きました。

そのほか、甘い飲み物には、スブマリーノという、潜水艦という意味の、ホットミルクにチョコレートを「沈めた」ドリンクがあります。

アルゼンチンのお酒はビノ(ワイン)とセルベッサ(ビール)とカーニャ(サトウキビから作ったお酒)など。お肉好きのアルゼンチン人の、アサード(焼肉)の友です。アルゼンチンは世界有数のワイン生産国で、特にメンドーサにはワイナリーがたくさんあります。

アルゼンチンでは、夕食の時間が遅く、夜10時頃に食べます。アルゼンチンに旅行に行かれても、夜6時や7時ではまだ営業準備中ですので要注意。従って、美味しくて安いお肉料理とお酒を楽しんでしまうと夜が本当に遅くなってしまいます。アルゼンチンは都市部であるほど治安が悪く危険なので、旅の際にはどうかお気をつけてください。あと、肉食が続くと体が野菜不足を訴え、地球の裏側ゆえ、時差も大きくて体が疲弊しやすいので体調管理もアルゼンチンの旅の大事なポイントかと思います。

それでは、“お肉お肉お肉”の食文化を、是非楽しんできてくださいねー!

◆アルゼンチンに行ったら、これ食べよ♪

【焼肉系】
・アサード(Asado)・・・肉を焼く料理の総称。
・コスティージャ(Costilla)・・・アバラの肉。
・コルデロ(Cordero)・・・羊肉。
・チビート(Chivito)・・・ヤギ肉。
・チョリソー(Chorizo)・・・ポークソーセージ。
・チンチュリン(Chinchulín)・・・小腸。
・バカ(Vaca)・・・牛肉。
・バシオ(Vacio)・・・赤身。
・パリジャーダ(Parrillada)・・・網で肉を焼く。通常複数の肉のミックスが出される。
・モルシージャ(Morcilla)・・・血のソーセージ。
・モレハ(Molleja)・・・日本語でシビレ、胸腺。
・リニョン(Riñón)・・・腎臓。
・ロモ(Lomo)・・・ヒレ肉。

【その他の肉料理】
・スプレーマ(Suprema)・・・鶏肉で作るミラネッサ。
・マタンブレ(Matambre)・・・牛のバラ肉。ステーキにしたりほかの具を包み込んで焼いてスライス。
・ミラネッサ(Milanesas)・・・薄く作る牛カツ。
 ┗ミラネッサナポリターナ(Milanesa Napolitana)・・・トマトソースやチーズを乗せたミラネッサ。

【パスタ類】
・タジャリン(Tallarine)・・・タリアテッレ(平たい麺)。
・ニョキ(Ñoquis)・・・小麦粉とじゃがいものすいとん風。
・パスタ(Pasta)・・・パスタ類の総称。
・フィデオ(Fideo)・・・麺類全般(普通のスパゲティー含む)。

【軽食】
・エンパナーダ(Empanada)・・・餃子の皮がパン生地になったような包み焼き。
・チョリパン(Choripán)・・・チョリソー(スパイシーソーセージ)をパンに挟んだもの。
・トスターダ(Tostada)・・・ミガを両面焼きにしたホットサンド。
・パンチョ(Pancho)・・・ホットドッグ。
・ピッツァ(Pizza)・・・ピザ。
・ミガ(Miga)・・・耳なしの薄切りパンで作るサンドイッチ。
・モルシパン(Morcipán)・・・モルシージャ(血のソーセージ)をパンにはさんだもの。
・ロミート(Lomito)・・・ロモ(柔らかい牛ステーキ)のサンドイッチ。

【その他の料理】
・エンサラダ(Ensalada)・・・サラダの総称。
・チミチュリ(Chimichurri)・・・ガーリックとビネガーとハーブのミックスソース。
・プチェロ(Puchero)・・・シチューのような煮込み。
・ロクロ(Locro)・・・シチューのような煮込み。

【甘いおやつ類】
・アルファホル(Alfajor)・・・ドゥルセデレチェと甘いクッキーを重ねチョコレートがけした甘甘。
・ドゥルセデレチェ(Dulce de leche)・・・コンデンスミルクと重曹と黒砂糖を煮詰めたクリーム。

【お茶、飲み物】
・ジェルバ(Yerba)・・・マテの茶葉。
スブマリーノ(Submarino)・・・ホットミルクにチョコレートを沈めたもの。
・テレレ(Terere)・・・ジェルバを冷水で出したお茶。
・マテ(Mate)・・・ジェルバを使って淹れたお茶。

【酒類】
・カーニャ(Caña)・・・サトウキビのお酒。
・セルベッサ(Cerveza)・・・ビール。
・ビノ(Vino)・・・ワイン。


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アルゼンチン世界のお金

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アルゼンチン料理」への4件のフィードバック

  1. Sig Ohta より:

    nhkの番組でアルゼンチンの家庭で一般的なお菓子か
    何かで「テンパナータ」と言うものがあると知ったので、
    検索してみたが、何も出なかった。
    これは簡単に作れるものか、どんなものか、知っている
    人は教えてくださいな・・・・・

  2. 学校の宿題で使わせていただきました。
    238か国を旅するなんてすごいと思いました‼️
    ありがとうございました。

  3. すごいですな

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