マルタ料理

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【基礎情報】

国名:マルタ共和国Republic of Malta、首都:バレッタ、ISO3166-1国コード:MT/MLT、独立国(1964年英国より)、公用語:マルタ語、英語。通貨:ユーロ

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【地図】

マルタは、まるでイタリアの離島のようです。イタリアにはごく近く、また北アフリカのチュニジアやリビアにも近いところにあります。

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◆強烈なイタリアンフュージョンの中にアラブの料理を垣間見る。

アラブの国々を旅したあとにマルタを旅すると、今ここはヨーロッパにいるはずなのに、人の言葉がアラブっぽく、人の顔がアラブっぽいということに驚きます。もっと言うと、イタリア人の顔立ちと思える人もたくさんいるので、ここにはきっと異なる系統の血が入っているのだと思わされます。マルタ料理がイタリア料理によく似ているのは、イタリア(特にシチリア島)に極めて接近していますから、理解しやすいです。でも、味はイタリア料理よりも薄めで、酒のつまみになるほど濃くはないと思います。地中海の国らしく、料理にはトマトやチーズの旨味やオリーブオイルの風味を多く感じます。そして島国ですから、魚介類の料理も多くあります。

マルタ
マルタの伝統的な窯焼きパン、ホブズ。(撮影地マルサシュロック)

マルタは地中海に浮かぶ西表島ほどのサイズしかない小さな島国です。地理的にはイタリアの離島と言える場所に位置しており、北アフリカのチュニジアにも比較的近い位置にあります。古代国家カルタゴ(今のチュニジア)に支配され、のちにローマに支配され、やがてアラブに支配され、アラブに支配されながらもキリスト教の信仰の継続が許される過程で、個性的な文化の形成を遂げました。それは食文化も同様で、イタリア料理と共通項が多いのがマルタ料理の第一の特徴ですが、そればかりでなく、見れば見るほど、マルタ料理には、北アフリカのアラブの料理が混ざっていることが見えてきます。マルタ料理は地中海料理であり、南欧と北アフリカの文化の融合こそが地中海料理なのだと実感させられます。

マルタの神殿遺跡は紀元前4000年前。エジプトのピラミッド群より1000年以上も古いことは、マルタが地中海文明の源流であるという一説が真実かもしれないと思わさせられます。旅の魅力が多いだけでなく、ここは欧州で筆頭クラスの物価の安い国ですから、マルタに行けばヨーロッパの他国よりも食事の探究を楽しめるのが良いところです。それではマルタ料理について、見ていきましょう。
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主食 Staple

マルタ料理の主食は、ホブズ(パン)です。一般的には、高さのある山型のパンをホブズと呼び、ホブズタルマルティ(直訳してマルタのパン)と称されることもあります。アラブ圏でホブズといえば円盤状の平たいパンなのに、マルタのホブズは山型ですから驚きました。そして表面を焦がして作るので、焦げた部分がぽろぽろ落ちてくるのにも驚きました。

ホブズビズゼイト(直訳して、オイルを塗ったパン)は、厚くスライスしたパンにオリーブ、トマト、ケイパー、オリーブオイルでサンドイッチ風です。

パスタ類も日常的に食べられています。パスタはイタリアからの輸入品が取り揃うラインナップで、スパゲティー、ペンネ、ファルファッレ、リガトーリ、フジッリなどなどがスーパーの一角を占めています。

北アフリカでよく食べられるコスクス(クスクス、粒状パスタ)も食べられています。これらパスタ類はたくさん食べれば軽い主食の1つですがコース料理の中ではプリモピアット(軽いおかず)です。コスクスは、炊いておかずと一緒に食べるほか、コスクスビルフール(豆とクスクスのトマト煮)として食べたりもします。ロス(米、ごはん)も時折見かけ、パスタ類の位置づけで食べられます。

パスタ類の1つに、ラビュールという小さく平らな麺2枚に具を挟んで閉じてゆでたもの(いわゆるラビオリ)もあります。リコッタチーズを詰めてトマトソースで和えるのがマルタ流。リコッタチーズはマルタ国内でも多く生産されているので、リコッタチーズ入りのラビュールはマルタ国民食の1つと言えます。
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肉のおかず Meat

肉類は、豚肉や牛肉がよく食べられています。フェネック(ウサギ)は伝統的に狩猟犬で捕獲する歴史の長い食材で、フェネック(ウサギ)料理はマルタ名物の筆頭です(どちらかというとウサギ肉を提供するのは観光客が入るレストランという感じがします)。ストゥファットタルフェネック(ウサギのシチュー)がポピュラーで、トマト仕立でウサギ肉を煮込んで作るのが一般的です。牛肉を使った名物料理はブラジオリと言い、ひき肉を薄切り肉で巻いてトマト仕立てで煮込みます。また、そのほかの肉料理として、ツァルツェット(スパイシーなソーセージ)も好まれています。
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魚介のおかず Seafood

マルタは地中海の島国で、周囲は美しい海に囲まれ、フートゥ(魚)に恵まれています。毎週日曜朝には、島南部のマルサシュロック(Marsaxlokk)で市が開かれ、その魚売り場に行けば、マルタ人がどれだけ多種類の魚介類を食べているかを見ることができます。肉を食べないレント(四旬節、復活祭の前日までの46日間)の期間は特に魚の消費が増えます。アルニータ(タコ)も、カラマリ(イカ)も食べるし、トゥナ(マグロ)の養殖も盛んです。日本はマルタからもマグロを輸入しています。

マルタの魚料理で有名なものは、ランプーキ(シイラ)です。白身の魚で、焼いたり煮たり、トルタタルフートゥ(フィッシュパイ)として作るランプーキパイ(シイラのパイ)もあります(トルタタルランプーキ)。

国民食的なスープは、アリョッタ(魚介のスープ)です。また、魚介類とはちょっと違うかもしれませんが、ベッブーシュ(カタツムリ)もマルタで食べられています。フランス料理にエスカルゴ、に通じる文化です。
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豆のおかず Beans

代表的な豆料理には、ビギッラ(ソラマメのなめらかディップ)があります。豆のディップというあたりに、アラブの伝統を感じます。
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軽食 Quick Eats

軽食の代表はパスティッチ。独特のスジが入るパイ生地にリコッタチーズやマッシーピー(エンドウ豆のマッシュ)が包まれています。
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料理名一覧 Food & Drink Glossary

【炭水化物類】
  • コスクス(Kosksu)・・・クスクス、粒状パスタ
    • コスクスビルフール(Kosksu bil-Ful)・・・豆とクスクスのトマト煮
  • ホブズ(Ħobż)・・・パン
    • ホブズタルマルティ(Ħobż tal-Malti)・・・直訳してマルタのパン、ローフパン
    • ホブズビズゼイト(Ħobż biż-żejt)・・・スライスしたパンにトマトやケイパー、オリーブオイルを乗せる
  • ラビュール(Ravjul)・・・小さく平らな麺2枚に具を挟んで閉じてゆでたもの
  • ロス(Ross)・・・米、ごはん
【肉のおかず】
  • ツァルツェット(Zalzett)・・・スパイシーなソーセージ
  • フェネック(Fenek)・・・ウサギ
    • ストゥファットタルフェネック(Stuffat tal-fenek)・・・ウサギのシチュー
  • ブラジオリ(Braġoli)・・・ひき肉を薄切り肉で巻いて煮込む
【魚のおかず】
  • アリョッタ(Aljotta)・・・トマトとお米が入った魚介のスープ
  • アルニータ(Qarnita)・・・タコ
  • カラマリ(Klamar)・・・イカ
  • トゥナ(Tuna)・・・マグロ
  • フートゥ(Ħut)・・・魚の総称
    • トルタタルフートゥ(Torta tal-ħut)・・・フィッシュパイ
  • ランプーキ(Lampuki)・・・シイラ
    • トルタタルランプーキ(Torta tal-lampuki)・・・シイラのパイ
    • ランプーキパイ(Lampuki Pie)・・・シイラのパイ
【豆のおかず】
  • ビギッラ(Bigilla)・・・ソラマメのなめらかディップ

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