ウクライナ料理

[last update 2015/01/05]
基礎情報ウクライナUkraine、首都キエフ、ISO3166-1国コードUA/UKR、独立国(1991年ソ連崩壊)、公用語ウクライナ語、通貨フリヴニャ(グリブナ)

◆大国ロシアの料理の礎。典型的なスラブの料理。

ウクライナは、ロシア、ベラルーシ、モルドバなどと接する東スラブの国です。

ウクライナの首都キエフは、スラブにおける最も古い都市の1つです。9世紀にはここに成立したキエフ公国があり、キエフが都として栄え、それがモンゴルにより弾圧され、やがて名もない地方都市モスクワが栄えはじめて、大公国へと台頭していき、それが今のロシアの礎です。そのように歴史を追うと、ロシアの礎がウクライナであるという見方もできるでしょう。それくらいウクライナは偉大なのです。しかしこの地域は争いは絶えず、領土・領域は変わってばかり。だから、ウクライナの料理は、隣接するポーランドやベラルーシやロシアの料理と区別しにくいものがあり、要は「東スラブの料理は一緒くた」と言えるものがあります。

ウクライナは、世界で一番肥沃な国土だと言われます。肥沃な黒土からは豊かな穀物がとれ「ヨーロッパのパンかご」とも呼ばれました。ビーツの栽培も盛んでソ連の砂糖生産の半分以上を占め、「ソビエトの砂糖壺」とも呼ばれました。地中海へ抜ける黒海にも面し、暖かく、ウクライナ料理はロシア料理と比べて遥かに変化に富んだ材料を使います。肉をミンチにして料理する手法はドイツから伝わり、肉の使い方も上手です。

有名な話ですが、ウクライナのボルシュツは、代表的なロシア料理であるボルシュの起源です。ボルシュツは基本的にはビーツを使う赤いスープですが、まるで日本のお雑煮のように、そのレシピには地域の多様さがあります。人気が高いのは、キエフのボルシュツ、リビウのボルシュツ、ポルタバのボルシュツです。ボルシュツザラニーという、緑の野菜が散りばめられた白いボルシュツもあります。

スープ類は、ボルシュツのほかに、ウハー(魚のスープ)、ユシュカ(肉のブイヨンスープ)、オクロシュカ(クワス仕立てのスープ)などがあります。クワス(クバス)というのは古くなったパンや、パンの材料となる麦の粉を水に浸して酵母で発酵させた、歴史の長いドリンクです。糖分を高くして作ればアルコールになり、糖分が低ければ炭酸飲料として楽しむような飲み物です。

その他、代表的なウクライナ料理を紹介します。
穀物の料理には、カーシャ(キビ、ソバ、麦、米などで作るお粥)、バヌーシュ(沸騰クリームにとうもろこし粉を入れて練ったもの)、ワレニキ(中国の餃子やポーランドのピエロギに類似)、ムリンツィ(クレープ、おかずになるものをまいたりデザートになったり)、リース(米)など。リースはピラフだったりリゾット状だったりしますが、米は主食ではなく肉料理の付け合わせです(これは東欧に広く共通します)。


ワレニキには果物がよく入る。甘いが男性も食事としてもりもり食べる。(撮影地キエフ)

肉や魚の料理には、オセレデツピドゥシューボイ(酢漬けや塩漬けにしんのサラダ)、ホロデッツ(肉や魚の煮こごりあるいはゼリー寄せ)、ホルプツィ(ロールキャベツ)、サーロ(豚の脂身の塩漬け)、コウバサ(ソーセージ)、ペチェニャ(ローストした肉)、コトレタ(本来は骨付き肉の骨周りをさばいて作るカツ、今はトンカツ状からハンバーグ状まで多様)などがあります。特に、「キエフ風カツレツ」として名高いコトレタポキエフスキー(中にバターたっぷりのチキンカツ)はおすすめです。

じゃがいもや野菜の料理には、デルニー(すりおろしじゃがいものパンケーキ、ベラルーシのドラニキと同じ)、オリビエ(オリビエサラトとも、鶏肉(伝統的にはライチョウの肉)が入るじゃがいもその他具沢山のサラダ)、サラートドゥニュシュタ(直訳してドニエストル風サラダ、キャベツエンドウ豆とソーセージのサラダ)、ビネグレット(ビーツその他野菜角切りの酢あえサラダ)、クワシェニオボチ(トマト、キュウリ、キャベツ、ニンニクなどの野菜の酢漬け)などがあります。東欧でサラダと言うと葉っぱではなく角切り野菜の和え物が主流になります。前菜として、ウォッカなどのお酒のつまみによく合います。

飲み物は、コンポート(ベリーのような小粒果物を沈めた甘いドリンク)、ケフィール(発酵乳)や上述のクワスなど。また、メド(メドゥーハ)はクワス並みに極めて歴史の長いハチミツ酒です。そのほかヴォドカ(ウォッカ)、ピーボ(ビール)、ビノ(ワイン)、などが人気のあるお酒です。

このように、ウクライナは美味しい料理の宝庫。食べてほっとする味の料理が多いように思います。何世紀にもわたって国境線が変わり続けてきたウクライナは、今も国境線が変わるほどの激動の真っ只中ですね。しかし首都キエフの、「街中宮殿だらけ!」と言える優雅な造りの連続や、黄金の屋根が連なる正教教会群の街の美しさは、筆舌に尽くしがたいものがあり、同時にここがスラブの都としての長い歴史を感じます。機会あらば、この美しすぎる街から黄金の屋根屋根を見上げ、「ヨーロッパのパンかご」「ソビエトの砂糖壺」とも称された、あの巨大なソ連の料理を支えたウクライナ料理を、是非体験してきていただければと思います。

余談ですが、ウクライナに来たからにはちょこっとずつでもいろんな種類が食べたい! という人には「Пузата Хата(プザタハタ)」のようなレストランがお勧めです。実際に目の前に並んでいる数多くの料理から、「これ、このくらいちょうだい」というオーダーができるのが良いのです。メニュー数は大変に多く、店内もウクライナらしさがいっぱい。チェーン店なのでキエフ市内だけでも何店舗かありますよ。

◆ウクライナに行ったら、これ食べよ♪

【スープ類】
・ウハー(Уха)・・・魚のスープ。
・オクロシュカ(Окрошка)・・・クワス仕立てのスープ。
・ボルシュツ(Борщ)・・・基本的にはビーツを使う赤いスープ。
 ┗ボルシュツザラニー(борщ Зелений)・・・緑の野菜が散りばめられた白いボルシュツ。
・ユシュカ(Юшка)・・・肉のブイヨンスープ。

【穀物】
・カーシャ(Каша)・・・キビ、ソバ、麦、米などで作るお粥。
・バヌーシュ・・・沸騰クリームにとうもろこし粉を入れて練ったもの。
・ムリンツィ(Млинці)・・・クレープ。おかずになるものをまいたりデザートになったり。
・リース(Рис)・・・米。ピラフだったりリゾット状だったり。付け合わせ。
・ワレニキ(Вареники)・・・中国の餃子やポーランドのピエロギと同じ。

【肉や魚】
・オセレデツピドゥシューボイ(Оселедець під шубою)・・・酢漬けや塩漬けにしんのサラダ。
・コウバサ(Ковбаса)・・・ソーセージ。
・コトレタ(Котлета)・・・本来は骨付き肉の骨周りをさばいて作るカツ、今はトンカツ状からハンバーグ状まで多様。
 ┗コトレタポキエフスキー(Котлета по-київськи)・・・「キエフ風カツレツ」。中にバターたっぷりチキンカツ。
・サーロ(Сало)・・・豚の脂身の塩漬け。
・ペチェニャ(Печеня)・・・ローストした肉。
・ホロデッツ(Холодець)・・・肉や魚の煮こごりあるいはゼリー寄せ。
・ホルプツィ(Голубці)・・・ロールキャベツ。

【じゃがいもや野菜】
・オリビエ(Олів’є)又はオリビエサラト(Олів’є салат)・・・鶏肉(伝統的にはライチョウの肉)も入るじゃがいもその他具沢山のサラダ。
・クワシェニオボチ(Квашені овочі)・・・トマト、キュウリ、キャベツ、ニンニクなど野菜の酢漬け。
・サラートドゥニュシュタ(Салат днiстер)・・・ドニエストル風サラダ、キャベツエンドウ豆とソーセージ。
・デルニー(Деруни)・・・すりおろしじゃがいものパンケーキ。
・ビネグレット(Вінегрет)・・・ビーツその他野菜角切りの酢あえサラダ。

【飲み物】
・ヴォドカ・・・ウォッカ。
・クバス・・・残り物のパンや麦の粉を発酵させた飲み物。
・クワス・・・クバスと同じ。
・ケフィール・・・発酵乳。
・コンポート(Компот)・・・ベリーのような小粒果物を沈めた甘いドリンク。
・ピーボ・・・ビール。
・ビノ・・・ワイン。
・メド(Мед)・・・歴史が長いハチミツ酒。
・メドゥーハ(Медуха)・・・メドと同じ。


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