スウェーデン国民食のミートボール「Köttbullar」の発音について

スウェーデン料理「Köttbullar」の発音を検証し、日本語カタカナ表記で「ショットブラー」と書くことにしました。このページではそのスウェーデン語アルファベットの検証と発音確認の過程と考察についてまとめました。

ショットブラー

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1)いきさつ
北欧の、フィンランドとスウェーデンの間に、オーランドという国があります。地図で見るとひたすら無数の点々々、島が海にちりばめられてかのような美しさ。しかしそこはスウェーデン人が住むのに国土はフィンランド領という、大国ロシアが関わってしまったために生じた複雑な土地でもあります。

私は、そのオーランドからスウェーデン行きの船に乗りました。船の中で出会ったおじさん家族とお話ししているとき、「是非肉団子を食べてきなさい」と言われました。

その肉団子とは、スウェーデン国民食である「Köttbullar」です。当時私の耳には「シュットブラー」と聞こえましたが、日本語カタカナ表記をするにあたり、最も適切なカタカナ表記は何でしょうか。そこで、「Köttbullar」のスウェーデン語アルファベットと発音を検証することにしました。

2)大阪大学言語文化研究科言語社会専攻「スウェーデン語独習コンテンツ」(≫こちら
このページでは、「スウェーデン語は文字と発音が比較的よく一致している」と述べた上で、母音や子音の発音を解説しています。このうち「Köttbullar」の読み方に関連があるものを抜粋しました。

  • その母音の後に子音がゼロもしくは1個のみ続く場合は長母音。その母音の後に子音が2個以上続く場合は短母音
  • 母音には硬母音 (a, å, o, u) と軟母音 (e, ä, i, y, ö) がある。
  • 軟母音は舌の前の方で調音される前舌母音である。
  • 「ö」が短母音のときの発音記号は「ø」
  • スウェーデン語本来の単語は原則として第1音節が強く発音される。
  • 強勢のある母音の前では k は帯気音となり、口の前の紙が揺れるようになる。
  • k に強勢のある軟母音が続く場合、「ɕ」(日本語のシュのような無声歯茎硬口蓋摩擦音)になる。

これらのことより、「Köttbullar」の「Kö」は「ショ」のような音になると思われます。

3)「Köttbullar」の発音を動画で確認する。
◆How to Pronounce “Köttbullar”: Swedish Meatballs(≫こちら

Köttbullar発音

0:06「ショットブラー(ル)」

◆Så gör du köttbullar(≫こちら

Köttbullar発音

0:02「ショッ(ト)ブラー(ル)」
0:04「ショッブラー」

◆Mitt kök: Jennie och Tommy lagar köttbullar med potatismos och lingon(≫こちら

Köttbullar発音

0:18 「ショットブラー」
しかも随分口を尖らせて、口の前方から音を出しているのが見てとれます。

4)スウェーデン語を知る(と思われる)日本人の記述を確認する。
◆インガおばあちゃんの肉団子の作り方|スウェーデンの森・森のグレンタ(≫こちら
→ショットブッラ

◆スウェーデン流お母さんの味Köttbullar/ ショットブッラル|mjuk(≫こちら
→ショットブッラル

その他、私の手持ちの日本語レシピ本にもショットブッラと記述されています。気になるのは、もうひとつの候補である、私が実際にスウェーデン人から聞いた冒頭の「シュットブラー」です。

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5)「Ö」の音だけを動画で再確認する。

◆SPEAKING SWEDISH: Vowels Å Ä Ö(≫こちら)

Köttbullar発音

この動画は英語堪能なスウェーデン人がスウェーデン語の発音を英語で解説しています。これにより私は「長いÖ」と「短いÖ」があり、発音が違うことを知りました

1:56 「短い Å」 は英語の o の発音と似ていて、舌を後ろに引いて下に下げて「オ」と発音すること、英語の「hot」のオに似ていることを解説しています。日本語のオと音の出し方がとても似ています。

ということは、「Å」が「オ」そのもの(に近い)なら、「Ö」は日本語のオとは違うということ。

4:55 「短い Ö 」は、英語のhurt?heart?のような感じで、あいまいな音になると解説しています。舌をやや下げ、口を開けすぎず閉めすぎず、そして大事なことは口の先っぽから音を出す。よって日本語のオとは違う音が出てきます。オにアやウや、あいまいな音が混ざってあいまいなオが尖って出てくる感じです。「ア」にも聞こえるし「ウ」にも聞こえます。

◆The Swedish Alphabet – Det svenska alfabetet(≫こちら

Köttbullar発音

3:40-3:51 「短い母音」について、次の9つの文字を並べて、発音しています。
「E I Y Ä Ö A O U Å」の順に「エ イ イ エァ ア ア ウ ウ オ」。だけど2つのイは違うし、2つのアも2つのウも違う音。
ここでは「 Ö 」はあいまいなアに近い音を出しています。

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<まとめと結論>

スウェーデン料理「Köttbullar」は、日本語カタカナ表記で「ショットブラー」とすることにしました。

理由は、

  • K:「シ」のような空気の抜け方をする。
  • ö:口をとがらせてあいまいな音を出す。オ、ア、ウ、どの要素も混ざり、「å」が日本語のオである以上「ö」はオではないが、3)の「Köttbullar」の発音確認の結果から、最も近い日本語母音として「オ」を置くことにする。
  • tt:「ッ」を伴うtの音。
  • bulla:ブラ。lが2つあるのでブッラと表記するのも可だと思えるが、日本語はそもそも1音1音が明確に区切れるので、「ッ」を入れずにブラとしても大いに区切れるために問題ないと判断した。
  • ar:rにウの文字を伴わないので、日本語で「アル」と書くときつすぎる。「アー」にとどめるのがよいだろう。

これらを総合すると「ショットゥブラー」になるが、「トゥ」は日本語には本来ない音で表記がやや煩雑なので、最終的なカタカナ表記として「ショットブラー」とする

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スウェーデン行きの船の中で出会ったおじさん家族とお話ししているとき、「是非肉団子を食べてきなさい」と言われました。その肉団子とは、スウェーデン国民食である「ショットブラー」(Köttbullar)です。コケモモの赤いジャム(リンゴンジルト)をかけるのが定番だと言われ、肉にジャムとは初体験だったが、これは実に美味しかった。

ショットブラー

写真は、スウェーデンの首都ストックホルムのキャンプサイトで作ったショットブラーです。国民的人気料理なので、ショットブラー味にまるめた肉団子の冷凍が売っていました。スーパーでは塊肉よりもひき肉のほうが多く売っているという話も聞くほど、スウェーデン人が愛する料理です。

帰国してからも作っています。
ただ、記事更新するために、もう一度作りたくて。
上手に作るコツを含めて、近々、レシピを掲載しますので、記事更新しましたら、ここからリンクで飛べるようにもします。是非ご覧くださるよう、宜しくお願いします。

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