マフェはセネガル料理だと単純に思ってはいけないということを学びました。

「マフェ」と聞くと、セネガル料理を思い出します。あの美味しいピーナッツソースシチューは確かにセネガルの国民食なのですが、ある日、本を読んでいたら、「マフェはマリからやってきた」という記述を見つけました。そこで、マフェの由来、拡がり方、地域や民族による呼称の違いの有無などを検証しました。

写真は、セネガル南部で私にマフェの作り方を教えてくれた女性です(マフェを作っています)。

マフェを作る女性

1)「Culture and Customs of Gambia」
マフェはマリからやってきた、と書いてあった本です。

Culture and Customs of Gambia

「ガンビアで「ドモダー」やセネガンビアで広く「マフェ」と呼ばれる料理は、ピーナッツ(落花生)は西アフリカ一帯で採れることを背景に、古い時代にマリから入ってきたものである。そういった背景により、バンバラ語に由来する「マフェ」という言葉が広く使われている。「ドモダー」はマンディンカ語である(ウォロフ人も使う)。」

2)英語Wikiの見出しと仏語Wikiの見出し
「マフェ」は、英語Wikiでは「Maafe」、仏語Wikiでは「Mafé」という見出しになっています。
なお、「é」(eのアクサンテギュ)は上がり調子で読むという指示ではなく、「ハッキリとエと発音する」ことを示します。
ベルギーのサラダから、フランス語料理名におけるアクサン(éやè)が分かる。

3)仏語Wikiの記述
Il viendrait du bambara manfi qui signifie « sauce »
「マフェは、バンバラ語で「ソス」(汁気が多くとろみのあるおかず)を意味する「manfi」が語源である。」
※訳者解説:日本語でソースというとトンカツやお好み焼きにかける黒いタレを指しますが、西アフリカで「ソス」は、シチューなどの煮込み類であり、更には、主食をちぎってつける「汁気が多くとろみのあるおかず」を指します。

4)英語Wikiの記述
The dish originated with the Mandinka and Bambara people of Mali. The proper name for it in the Mandinka language is domodah or tigadegena (lit. ‘peanut butter sauce,’ where tige is ‘peanut,’ dege is ‘paste,’ and na is ‘sauce’) in Bamanankan. Domodah is also used by Gambians, having been borrowed from the Mandinka language.
「マフェはマリのマンディンカ族やバンバラ族の料理を起源とする。現在のマンディンカ語では「ドモダー」と呼ばれ、バンバラ語では「ティガデゲナ」と呼ばれている(ティガ=ピーナッツ、デゲ=ペースト、ナ=液状、ティガデゲ=ピーナッツバター、ティガデゲナ=ピーナッツバター煮込み)。ドモダーはガンビアで使われる料理名で、マンディンカ語の借用語である。」

5)マンディング諸語の分布(≫こちら
マンディング諸語は相互理解が可能な言語群で、ここにバンバラ語やマンディンカ語が含まれています。つまり、彼らの言葉が通じる範囲は西アフリカの広域に分布するということになります。
◆西部マンディングManding-West
--Kassonke – Western Maninka(マリ、セネガル
--Mandinka(セネガルガンビア, ギニアビサウ)
--Kita Maninka(マリ)
--Jahanka(ギニア、セネガルガンビア、マリ)
◆東部マンディングManding-East
--Marka ガンビアブルキナファソ、マリ)
--Bambara–Dyula(マリ、ブルキナファソ、コートジボワール
--Eastern Maninka(マリ、ギニア、コートジボワール
--Bolon(ブルキナファソ)

Mandinka_people

<推測される結論>
「マフェ」というピーナッツスープは、元は古代マリ(1、4)から広まった(1)料理である。その起源となる名称は、主食をちぎってつけるおかずの総称(3)である「マフィン(mafin)」(3)というバンバラ語(3)である。バンバラ語はマンディンカ語と共にマンディング諸語群の1つであり(5)、バンバラ語とマンディンカ語は意思疎通が可能な言語関係にある(5)。現在ピーナッツスープは、バンバラ語(マリ他)では「ティガデゲナ」(4)と呼ばれ、マンディンカ語(ガンビア他)では「ドモダー」と呼ばれる。セネガルないしセネガンビアでは広く「マフェ」と呼ばれる(1)。

つまり、もともと「マフェっぽい名称」だったピーナッツスープは西アフリカ広域に広まったものの、現在ではドモダーとかティガデゲナなど「マフェっぽくない名称」で定着したところも多い。そんな中、セネガルでは「マフェ」の名を残している。

<総括>
マフェはセネガル料理だと単純に思ってはいけない、
ということを学びました~(*^ ^*)

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