オーストラリアのマンゴ国立公園でカンガルーから学んだ水の大切さ

2023/09/22

オーストラリアで、アウトバック(オーストラリア内陸の荒野)を進む旅。

カンガルーと水

レンタカーは小型車で、二駆での砂道はこわいが、浅いのでずっとまっすぐ走って行った。タイヤが砂にはまる。だけど砂が押し返してくれ、車はまっすぐ進む。

マンゴ国立公園の看板が見えた。ユネスコの世界遺産のマークがある。

カンガルーと水

オーストラリア固有種の珍鳥「エミュー」の大群にも遭遇。

カンガルーと水

この一帯を観光するため車を走らせるが、こんなにも乾燥したアウトバックを走っているのに、Google map上ではファンタスティックな湖上を走っていることになっている。

カンガルーと水

雨が降ると湿地帯にでもなるのだろうか。しかし今オーストラリアは異常気象で、このときもかつてない熱波に襲われている。旅したのは不幸にもそのようなときだったのだ。

オーストラリアのマンゴ国立公園内のキャンプサイトは無人だが事前にオンライン支払をするだけで宿泊することができる。

カンガルーと水

こういうところに車を停めてテントを張った。奥の建物が炊事場だ。

炊事場の近くに親子カンガルーがいた。授乳中だ。

カンガルーと水

カンガルーは有袋類でお腹にポケットがあり、乳首はポケットの中にある。子どもがママカンガルーのお腹のポケットに首を突っ込む。

カンガルーと水

カンガルーの授乳を見たのは生まれて初めてだ。子どもはしきりにミルクを飲んでいる。カンガルーのポケットって便利だなあ。「ごくごくごく、ぷはあ」っていう音が聞こえてきそうな感じ。

私は少しずつ、カンガルーに逃げられないように近づいた。ママカンガルーは -警戒心が強い動物のはずなのに- おや?逃げない。

カンガルーと水

きゃー♪カンガルーは可愛いねー♪。ママカンガルーは耳を横に動かしたりひねる動きをする。それを観察していると、心を許す動きがあるように思えた。私は自分で自分の耳は動かせないので、そのときの気持ちを表現するように首を動かした。カンガルーは逃げない。逃げないので私がカメラを構えて写真を何枚も撮った。だけど親カンガルーは「そうじゃないのよ!」「気付いて!」っていうそぶりで、二本足で立ちあがって背伸びポーズをしたり、ポーズを変えたりしている。私はちょっと下がって様子を見ることにした。

カンガルーと水

カンガルーは私の視線を雨水タンクに向けるように動いていたようだ。

カンガルーは何も言わないが、私から2 mくらい離れたところで観察していた夫が「水が欲しいんじゃない?」と言った。彼は観察して、観察の結果そう思った。私は立ち上がった。普通、そこまで大きくない野生動物は、しゃがんでいる人間が立ちあがったら警戒したり逃げるものだが逃げなかった。カンガルーも、私の夫が理解したことを分かったのだと思う。

そして私は雨水タンクの蛇口をひねった。カンガルーが飛びついてきた!!

カンガルーと水

カンガルーが私の手から水を飲んだ!!

カンガルーは警戒心が強い動物だと思っていたが、もう大丈夫。私が蛇口をひねると舌で私の手を舐めて、そして水を飲み始めた。

ヤギと違い、カンガルーはぺろぺろと舌でなめるようにしか水を飲めない。時間はかかるが、ママカンガルーはしばらくずっとぺろぺろと水を飲んでいた。ちなみにヤギは掃除機が空気を吸うように水をズゴゴゴゴと大量吸引して胃袋に入れるから大量の水を瞬時に飲むことができる(目の前で見たことがある。すごかった)。

時間をかけて水をたっぷり飲んだママカンガルー。ほっとしたかな。お、しっぽが上がったね♪ 目もキラキラして可愛いね。

カンガルーと水

しっぽと耳で、ありがとうって言ってくれているみたい。そう思うことにしておこう。ママカンガルーかわいいね。元気になって幸せいっぱい見つけて、幸せに暮らしてね。

渇水から復活して親子で夕陽を背に草原を跳ねるカンガルー。

カンガルーと水

本当にいい写真だよね。元気になってよかったー。

私は明日ここを発ってしまうけど、明日まではお水が飲めるように水を張っていてあげよう。

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お気に入りの写真。
「手飲みカンガルー」

カンガルーと水

この1枚の写真は、自分勝手な喜びだけど、カンガルーと気持ちが通じ合えた写真だと私は思っている。こういう「瞬間の切り取り」を上手にしてくれるカメラ上手な夫にも感謝している。

そして、この写真には、訴えるべき背景がいくつもある。野生動物が野生だけで生きていけなくなっている。その大きな要素は、近年オーストラリア大陸を何度も襲う干ばつだ。

地球にはかつて氷河期があって今は氷河期ではないといったように、地球の活動には長いスケールでの気候の変動の波がある。ヒトがそういうマクロな気象変化に抗うことはできないし、かつて恐竜がいて今は恐竜がいないといったように、気候が変われば生きていく生物も変わっていく。そのうち人間が住めない地球になるかもしれないし。

ただ、例えばフロンを作り出したのは人間だし、化石燃料を採掘しているのも人間だ。森林伐採や海洋投棄などの行為は環境破壊と確定したあともヒトは各種の破壊行為を行っているわけで。大体何なんだよ、第一種特定化学物質とか環境ホルモンとかいうおかしな地球現象は。そういえばむかし自動車をバンバン走らせる米国が京都議定書に批准しなかったとか初めて聞いたときはびっくりしたわあ。

ヒトが何かしたときの一方的な被害者は、ヒト以外の生態系・生物たち。

なおオーストラリアは地球最大の島ではない。地球最小の「大陸」である。「大陸」の定義の1つには内部に砂漠気候帯を有することがあり、そういう雨が降らない気候帯がヒトのせいで拡大して生物集団たちが渇水に直面しているのだとしたら・・・。

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カンガルーと水

この、「瞬間の切り取り」ができた写真は、私がこれまでオーストラリアを旅して撮影した写真の中でも筆頭のお気に入りである。

ただカンガルーが可愛いだけならほかに幾らでも写真はある。

だけどこれは、

ヒトが引き起こした環境問題が野生動物の生活を危うくしていることを示唆する写真だ。野生動物が野生だけで生きていけなくなっている。だってほら、さっき見た地図。ここは地図上では青々と水を湛えている土地なのに。

水は貴重なものであること、日本にいる日本人も水を大事にしなければならないこと。

私はこの日記を、このカンガルーに出会った次の日に書いている。切実に感じた水についての想いを、ここに記したいと思ったから。

ヒトも幸せになっていったほうがいいし、環境生物たちもみんな幸せになっていったほうがいい。自然の摂理の確率の不幸は仕方ないと思うけど、それを上回る不憫な不幸になっていく人や動物たちはいないのがいいなあ、と。

節水。節電。節エネ。ゴミを出さない暮らし。ゴミになるものを取り込まない暮らし。

私もできることをもっと増やしていこう。地球の70億人規模で、もっとこういう意識が広まれば、地球も絶対いい方向に変わっていく。それが希望です。

カンガルーと水

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なお、世界の料理サイトがなぜ環境問題の日記を書く? ということについての補足ですが、

エミューも、カンガルーも、

カンガルーと水カンガルーと水

オーストラリアでは美味しいお肉として売られている食材なのでした。エミュー肉はあまり見ないけどカンガルー肉はスーパーで頻繁に見かけます。



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