゚・*美味しさは、香りで作る。*・゚【スパイスアンバサダー2023】
使用スパイス:こしょう、ハバネロペパー
最近、島根県津和野町にお住いの方がご自宅付近で獲れたイノシシのお肉を分けてくださいました。いただいたお肉は、肩まわりと前脚の3650 gです(重量は脚の骨を含む)。そのお肉を大事に使い切り、下さった方への御礼の気持ちと、お肉に感謝の気持ちを込めて、いただいたお肉で作った世界の料理のレシピを掲載しようと思います。
* * *
第4回、ガンビア料理「ドモダー」
お肉使用量:300 g(全量3650 g中累計1650 g)。
ガンビアと言われてもなかなか位置がピンとこないけれど、アフリカ西部の川沿いにある小さな国です。西アフリカはピーナッツ(落花生)の生産地で、まるで日本人が何にでも味噌を使うのに似て、西アフリカの料理では頻繁にピーナッツバターが使われます。そしてアフリカの肉料理は押し並べて美味しい。すなわち、このピーナッツバター煮は、アフリカ味を代表する美食です。今回こだわったのは「その美味しさを日本の材料で再現すること」でした。
材料(4人分):
- 無糖ピーナッツバター
- 90 g
- 熱湯(※1)
- 400 mL
- 玉ねぎ
- 1個
- 塊肉(※2)
- 300 g
- サラダ油
- 大3(※3)
- 塩
- 小1/2
- 唐辛子(※4)
- 1個
- コンソメ顆粒(※5)
- 小1/2
- こしょう
- 小1/4
- トマトペースト(※6)
- 大1.5
- 老抽(※7)
- 小1
- 醤油(※7)
- 小1
- 味の素(※7)
- 小1/8
- ハバネロペパー
- ごく少量(※8)
※1:市販の瓶詰めの無糖ピーナッツバターは水に溶けにくいので、事前にお湯でゆるめておきます。
※2:肉の種類は問いません。基本的には獣の肉で作ることが多い料理なので、鶏肉は避けて牛肉あたりを使うほうが味わいが現地に近くなります。
※3:サラダ油の量は現地レシピから見ると控えめですが、好みで加減してよいです。
※4:唐辛子はあればシネンセ種のピマンを1個、なければ鷹の爪1本(切っていないもの)を使います。
やっと会えた。アフリカのあのすごい香りの「ピマン」栽培成功!
※5:コンソメ顆粒は現地のMaggi(マギー)調味料の代用です。よって、あれば日本製でもよいのでマギーコンソメを使うとよいです。
※6:トマトペーストはトマト缶から手作りできます。また使うものによってトマトの濃さがまちまちなので使用量を加減します。
トマト缶からトマトペーストを作る方法
※7:「老抽(ラオチョウ)+醤油+味の素」の組み合わせは現地のMaggi arome(マギーアロマ、西アフリカ定番の醤油風旨味調味料)の代用です。老抽(ラオチョウ)は黒色が濃くて塩分が低い中国の醤油ですが、ない場合はオイスターソース少々で代用するか、塩分に気をつけながら日本の醤油を増やします。
※8:ハバネロペパーパウダーは辛さの好みによって、味見しながら好みの量を加えます。
作業工程:40 分
- 耐熱容器に無糖ピーナッツバターを入れ、熱湯を注いで混ぜておく。完全に溶けなくてもよいが出来るだけゆるめておく。
- 玉ねぎをみじん切りにし、肉を2 cm角くらいに切る。
- シチュー用の鍋にサラダ油を入れて中火で熱し、肉を入れ、肉の上に塩をふりかけ、よく炒める。
- お肉がよく炒められたら肉を鍋の隅によけて玉ねぎを入れ、よく炒める。
- 玉ねぎがくたくたにしんなりしたら、ピーナッツバター湯、唐辛子、コンソメ顆粒、こしょうを入れ、ピーナッツバターが均一に混ざるように混ぜる。
- トマトペーストを、様子を見ながら、赤い色が強くなりすぎない程度に加える。
- (辛いのが苦手ならこのへんで唐辛子を取り出す。)
- 老抽(ラオチョウ)と醤油を、様子を見ながら、黒い色が強くなりすぎず、しょっぱくなりすぎない程度に加える。
- 味の素を加える。
- 味見をして、ピーナッツバターの濃さ、塩加減、旨味加減などを好みに調え、好みの辛さになるようにハバネロペパーパウダーを加えて混ぜる。
- Enjoy!
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この味!西アフリカ味! 美味しいー♡♡
最近、辛味のブームがゆるく長く続いており、ハバネロペパーの乾燥品が市販されています。これが独特の香気、鼻をすく素晴らしい香りを持っています。西アフリカではピリピリとかピマンとか呼ばれるのですけれど、入れると、一瞬で「アフリカ味」になる。私が市販スパイスで感動したのはいつぶりでしょう。感動的スパイスです。
今回ドモダーを津和野のイノシシ肉で作りましたが、参考情報として、地球のイノシシ分布はユーラシア大陸がメインで、西アフリカにイノシシは分布しません。現地ではヤギ肉や牛肉などで作られることが多い料理です。しかし私が重視したのは、アフリカ料理の再現にあたり、日本のスーパーのお肉よりも力強くて旨味が濃い肉を使いたかった。あのアフリカの肉に近い肉を使いたかった。その目的ならばイノシシ肉は適すると思いました。アフリカで各国を旅すると分かりますが、よく遭遇するんです、野生の旨い肉に。もちろんアフリカにも高齢者や幼児がいますから、アフリカ人は、その力強い肉を、柔らかく美味しく噛みやすく素晴らしい味わいにする調理法を持っているのです。ピーナッツバターにはそういう働きがあるのかもしれませんね。今回のドモダーも、とにかく「肉が旨ーい」と唸りながらパクパク食べられる美味しさだったのです。
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「地域活性化のために地域の資源を活用しよう」というコンセプトが是であるなら、ジビエは最高の地域活性化ツールの1つと確信しています。このような新しい料理への活用が地域のジビエ振興のツールになれれば嬉しいですし、子どもたちの教育にも「21世紀はアフリカの時代。アフリカ料理を食べてアフリカを知ろう学ぼう」みたいな取組みにもなるし、地元の皆さんと美味しい料理でわいわい盛り上がるのも立派な地域貢献。世界の料理はこういうポテンシャルに溢れているから、私もわくわくして活動に取り組んでいられます。
次回は「お隣」、韓国の料理を掲載します。津和野に一番近い外国なんですよ。気候が似ていて育つ作物も生える雑草もかなり同じ。「同じ食材で異国の味」体験をしてみましょう。