゚・*美味しさは、香りで作る。*・゚【スパイスアンバサダー2023】
使用スパイス:ジンジャー、ローズマリー、オレガノ、バジル、クミン、ガーリック、レッドペパー、ベイリーフ、オールスパイス、粒こしょう
津和野町は、山間の小さな盆地に広がる、町並みが小京都の代表格として知られる島根県南西部の町です。最近、津和野町にお住いの方がご自宅付近で獲れたイノシシのお肉を分けてくださいました。いただいたお肉は、肩まわりと前脚の3650 gです(重量は脚の骨を含む)。そのお肉を使いつくすまで世界の料理を作り、レシピを掲載します。
* * *
第2回、チェコ料理「ペチェナーベプショバー」
お肉使用量:700 g(全量3650 g中累計1100 g)。
チェコ名物料理の筆頭といえば大きな豚肉グリルではないでしょうか。肉用シーズニングスパイスやはちみつを含む漬け汁でマリネされた豚肉のローストは、複雑で究極の旨味でいっぱいです。マリネのタレには黒ビールを使うレシピが多いので、このレシピでも、黒ビールとはちみつとシーズニングスパイスを使った複雑な美味しさをもつタレを使い、チェコ料理を再現しました。
材料(2~3人分):
- 骨付き豚肉(※1)
- 700 g(※1)
- 水
- 1.5 L(※2)
- 塩
- 小1(※2)
- ベイリーフ
- 2枚(※2)
- オールスパイス
- 5粒(※2)
- ジュニパーベリー
- 5粒(※2)
- 黒こしょう粒
- 5粒(※2)
- にんにく
- 2かけ
- 黒ビール
- 120 mL
- はちみつ
- 20 g(※3)
- マスタード(※4)
- 小1
- 醤油
- 小1
- ウスターソース(※5)
- 小1
- ケチャップ
- 小1
- コジェニーギロス(※6)
- 小1
※1:骨付きの肉は、切り離していないスペアリブがあるとよいです。ない場合はもも肉の塊などがあるとよいです。写真ではイノシシの前脚を使っています。700 gは骨ごとの重さで、骨が半分以下なら2~3人分になります。
※2:水1.5 Lは肉がかぶる量の目安です。増減する場合は、それにあわせて調味料も増減します。
※3:はちみつ20 gはおよそ大さじ1杯ですが、大さじで正確に計量するのが難しいので重量で量りとっています。
※4:マスタードはディジョンやホットドッグ用などつぶつぶがないものがよいですが、なければ粒マスタードでもよいです。日本の和辛子は辛味が強いかもしれないので、味見をして使用量を減らします。
※5:ウスターソースがない場合は中濃ソースなどで代用します。
※6:下の文章の組成を参考にして、手元にあるスパイスを選んで使ってもよいです。
作業工程:3 時間(ゆで時間を2時間とした場合)(マリネする時間を除く)
- 骨付き豚肉を鍋に入れ、水、塩、ベイリーフ、オールスパイス粒、ジュニパーベリー粒、黒こしょう粒を入れて強火で熱し、沸騰後はフタをしてごく弱火にし、途中で上下を返しながら骨まで火が通るまで加熱する(脚の肉の場合で2時間が目安)。
- ゆで終わったら皿に取り出して冷ます。
- (脚の肉の場合、骨に垂直に包丁をあてて2 cm間隔でぐるりと一周切れ込みを入れる。スペアリブの場合は切れ込み不要。)
- にんにくをクラッシュするか包丁でごく細かいみじん切りにする。
- ビニール袋ににんにく、黒ビール、はちみつ、マスタード、醤油、ウスターソース、ケチャップ、コジェニーギロスを入れ、外から揉んではちみつを溶かし、骨付き豚肉を入れ、空気を抜いて口をしばり、途中で上下をひっくり返しながら冷蔵庫で1晩マリネする。
- <翌日>オーブンに入れる頃に室温に戻るよう、あらかじめ冷蔵庫から出しておく。
- オーブンを180℃に予熱し、天板にクッキングシートを敷き、肉を乗せ、180℃のオーブンで焼く。肉の漬け汁は小さな容器に入れておく。
- 肉の漬け汁をスプーンでこまめにかけ、少し乾いたらまたかけ、を繰り返しながら、焼く。
- (もし味見をしたい場合は、天板に落ちて煮えた漬け汁を味見し、塩加減や甘さ加減などを好みに調える)。
- 途中で肉の上下をひっくり返し、肉の漬け汁をこまめにかけ、クッキングシートに落ちた肉の漬け汁も再度肉にかけ、最後は肉の漬け汁の大半が肉に絡むように、肉がタレで黒ずむように、ただし肉やタレを焦がさないように焼く(オーブンの焼き時間は40分くらい)。
- オーブンから取り出し、粗熱が取れたら切り分けていただきます。
- Enjoy!
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このレシピではチェコの肉用ハーブスパイスミックスを事前に作っています。
ジンジャーパウダー大さじ1、乾燥ローズマリー大さじ1、乾燥オレガノ小さじ1、乾燥バジル小さじ1、クミンパウダー小さじ1、ガーリックパウダー小さじ1、レッドペパー小さじ1/2、味の素小さじ1/4、塩大さじ1を、ミルサーにかけるだけです。
そして黒ビールとはちみつメインの、黒いタレで焼くローストポーク。
黒いタレがうまうま! 美味しいー♡♡
1989年。ベルリンの壁が崩壊。そのドイツの影響を多大に受けてチェコスロバキアでは無血の民主化達成。もともとチェック人とスロバキア人で1つの国を作っていましたが、「やっぱり違う民族だし別れようぜ」と民族主義が台頭して1993年にチェコとスロバキアに分離し、別の国となりました。ま、分離も無難で妥当ですかね。チェコ人が田舎モンの別民族に経済獲得の利益を取られててチェコ側が不満だったって言うしね。
とまあ、この「チェコ味のローストポーク」を食べながら、チェコで食べたのと同じ味に作れた喜びと、チェコスロバキアの近代史を思い浮かべていたのでした。世界の料理を食べる食卓は、ほんと世界の学びになりますね。ちなみにチェコは森深い国なのでイノシシもよく出ると聞きます。
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「地域活性化のために地域の資源を活用しよう」というコンセプトが是であるなら、ジビエは最高の地域活性化ツールの1つと確信しています。このような新しい料理への活用が地域のジビエ振興のツールになれれば嬉しいですし、子どもたちの教育にも「チェコ料理を食べて東西冷戦時代終了時の歴史を学ぼう」みたいな取組みにもなるし、地元の皆さんと美味しい料理でわいわい盛り上がるのも立派な地域貢献。世界の料理はこういうポテンシャルに溢れているから、私もわくわくして活動に取り組んでいられます。
次回は「身近な豚肉カントリー」といえばここ。フィリピンの料理を掲載します。