寒天からシーモスジェルを作ろう♪
実は、カリブ海の人気ドリンクであるシーモスを現地で飲んで、こういう体に良いドリンクを日本でも作りたいなと思ったことが発端でした。
現地のシーモスの原料はアイリッシュモスという大西洋の海藻類です。
主に棒寒天の原料であるテングサと似ていますね。
糸寒天や粉寒天の原料であるオゴノリも似ている。
つまり、後述する成分検証も含めて、アイリッシュモスは、寒天の2大原料であるテングサ・オゴノリと似ています。しかも日本国産寒天であっても、その原料となるテングサやオゴノリが中南米からの輸入もあるため、日本の寒天は中米カリブのシーモスを作るための十分な代用になると思います。
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ではまず、1)寒天の種類と、2)寒天の原料の種類と、3)寒天の成分の種類について事前勉強する必要がありました。寒天の知識は今後も役立つので、ここにまとめます(自分用メモ)。
◆テングサ寒天
- 天然の製法に則って、棒寒天または糸寒天に加工される。
- 糸寒天はテングサが、棒寒天はテングサ(大部分)とオゴノリ(少々)が原料。
- 中性ガラクトース多糖類であるアガロースを含む→凝固能・ゲル化能(+)、すなわち融点大。
- ガラクトースの水酸基がスルホン化された硫酸多糖類であるアガロペクチンを含む→ゲル化能(-)だが、一部胃酸分解されてアガロオリゴ糖↑→消化管吸収→血中コレステロール(Ch)↓等の生理活性(+)
- アガロースは保水力が高い。
◆オゴノリ寒天
- アガロペクチンを含む→固まる成分ではない。
- アガロペクチンには血中Ch↓作用がある。
- 工業的アルカリ処理により、粉寒天に加工される。※粉寒天の処理工程でアガロペクチン喪失
◆アガロースの凝固能のこと
- 凝固点:33~45℃、融点:85~93℃、ヒステリシスを示す(凝固温度と融解温度が異なる)
- 酸により凝固能↓
- 寄せ物作りでは濃度0.5~2%
まあ、こういうあたりまで勉強した限り、健康のために寒天を摂取するのであれば、アルカリ処理でアガロペクチンを失っている粉寒天はやめたほうがよいのだろうね。
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アイリッシュモス/シーモスの主要成分はカラギーナンで、基本骨格はガラクタン(ガラクトース多糖類)です。よって寒天の類似物と言ってよいでしょう。
*アガロース=ガラクトース、3,6-アンヒドロ-L-ガラクトースから構成。
*アガロペクチン=ガラクトース、3,6-アンヒドロ-L-ガラクトース、硫酸から構成。
*カラギーナン=ガラクトース、3,6-アンヒドロ-D-ガラクトース、硫酸から構成。
※構造式も書けますが割愛。DL異性体のハワース式での書き分けは結構難しかったよ(笑)
そして自宅でシーモスドリンクを作るにあたっては、結果を先に述べると、「棒寒天」を使うことに決めました。
棒寒天は、よく行くスーパーで上の商品1択でした。「無漂白」と書いてあるのが良かったです。棒寒天を選んだ理由は、テングサとオゴノリの両方を含み、アガロースとアガロペクチンの両方を含むこと、そして無漂白の材料を使いたかったからです。
*アガロースの良さ:保水力↑→少々食べるとお腹が膨らむ◎→食べすぎ防止◎、ダイエット効果も期待できるかな♪、食物繊維◎→整腸◎
*アガロペクチンの良さ:血中コレステロール低下作用が期待◎、食物繊維◎→整腸◎
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そして♪ シーモスジェルができました♪♪
簡単に言えば、棒寒天を1%レモン果汁水に1晩浸してから煮てミキサーがけしたものです。酸を若干加えることで、凝固能を落とし、丁度良いジェル化となっています。
これでスパイス&コンデンスミルクを使ったミルクセーキを作れば、現地のシーモス風ドリンクになります。
あと、シーモスジェルは便利な形状です。
スープやドリンクに加えるとトロミがつきますから、トロミがついた食べ物や飲み物は、そのテクスチャが美味しさになりますよね。ドレッシングやタレ類にも使えます。
このシーモスジェルをちょこっと炊飯器に入れてごはんを炊けば、健康白飯の出来上がり♪
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シーモスは、カリブ海のスーパーフード。シーモスが「海のもじゃもじゃした海藻」を意味するなら、テングサやオゴノリもシーモスです。だから、カリブ海現地のシーモスドリンクを作るには日本の寒天は良い代用になりました。しかもこの寒天の原料が中南米から輸入されていたら、より現地のシーモスに等しくなります。
いずれにしても、何ごとも勉強をした上で取り組むということが大事ですね。私自身、寒天は身近な食材であるのに、これまでよく知らずに過ごしてきてしまいましたが、今回のシーモス制作を機に、しっかりと勉強できたことも、とても大きな収穫でした。