<スパイスアンバサダーの活動報告>
4月・5月のテーマは、いつもの料理がスパイスで新しい味わいになるという趣旨で、10回連載形式で、10通りのスパイスアレンジレシピをお届けしています☆
* * *
最終回は、南の島スリランカの、スパイスの国の濃厚ココナッツミルクプリン、『ワタラッパン』です。
そう、最後はデザートのレシピで♡ と思いまして。
スリランカの基礎背景として、北部州はタミル人、中南部はシンハラ人が主体であり、両者は民族が違い、言葉や主要宗教を含め文化が違うことが挙げられます。英領だったスリランカはやがて英国から独立するが、英国という「お上」がいなくなったら、シンハラ人とタミル人の摩擦が絶えず、それはそれは不穏で、ずーっと戦争してきました。旅行者どころか地元の人も行き来できない国内分断状態が続きました。南の都はコロンボであり、北の都はジャフナです。
でもね、そもそもそこは小さな島。似た気候、似た風土、似た作物のもとでは、民族が違っても、似たものを似たようにして食べるから、シンハラ人の料理とタミル人の料理は、分化した違いがあったとしても、根っこが一緒なのだと感じました。
そのような背景のもと、スリランカで大人気のデザートが「ワタラッパン」です。「ワタラッパン」はココナッツミルクとココナッツ砂糖を使い、カルダモンを素敵に利かせたスリランカの濃厚プリンです。牛乳で作る私たちのいつものプリンとは、味が違います。スリランカ料理の重要食材であるココナッツミルクがなんたって美味しいのだから、スリランカのワタラッパンの美味しさには、流石、南の国だなぁと、食べて唸るものがあります。
* * *
レシピは簡単です。
材料(10個分):
- ココナッツミルク(※1)
- 400 mL(※1)
- 水
- 170 mL
- ヤシ砂糖(※2)
- 250 g
- 卵
- 5個
- カルダモンパウダー
- 小1/3
- ナツメグパウダー
- 小1/4
- 塩
- 小1/4
- バニラエッセンス
- 2滴
※1:ココナッツミルク缶は400 mL入りが1缶分です。
※2:ヤシ砂糖はココナッツシュガーとして市販されているものがよいです。なければ推奨順に、パームシュガー、黒糖、上白糖、グラニュー糖で代用します。
作業工程:50 分(蒸す回数を1回とした場合)
- 中身が1 L以上入る鍋にココナッツミルクを入れ、水で洗い込み、ヤシ砂糖を入れ、ぬるま湯の温度程度に加熱して、砂糖を完全に溶かし、火を止めておく。
- ボウルに卵を割り入れ、カルダモンパウダー、ナツメグパウダー、塩、バニラエッセンスを加え、泡だて器で白身を完全にほぐす。
- 砂糖を溶かした鍋の中身が、指で触れるくらいに粗熱が取れていることを確認し、卵液とあわせ、泡だて器で静かによく混ぜる。
- 一度ザルで静かに濾す。
- 蒸し器に水を入れて沸騰させる。
- 沸かしている間に、液を小さいカップに注ぎ入れ、アルミホイルでフタをする。
- 蒸し器が沸いたらカップをセットし、フタをして、フタと本体の間に一か所スプーンを挟んで蒸気の逃げ口を作って、弱火にして22分間(20~25分間)加熱する。
- 中身が膨張せず、なおかつ傾けても表面があまり斜めにならない程度にしっかり固まっていることを確認したら、取り出す。
- Enjoy!
このレシピやブログ記事を気に入っていただけたら応援クリックお願いします(*^_^*)
カルダモンが美味しい!!
このお菓子なら、「スパイスがあるから子供には無理かも」という心配もなさそうです。もちろん人には味覚や好みの違いがあるから100%の人に喜ばれるレシピはないことは承知していますが、「スパイスは子供に難しい」という固定観念も一律にもつべきではないですよね?
塩こしょう味の野菜炒めって十分美味しいですよね。けれど、それが、塩炒めだと物足りなくなる、そんなイメージが近いと思います。こしょうもスパイスの代表だけど、「こしょうがあるから子供には無理かも」と思う人っていないと思うんです。
ワタラッパンもそれに似ています。砂糖だけでは物足りない。塩こしょうにおけるこしょうの役目、つまり、「砂糖カルダモン」で美味しさが完成するんです。フィンランドの、ムーミンのお菓子のパンヌカックだって、「砂糖カルダモン」で作るデザートですもの。フィンランドという北欧でも、スリランカという南アジアでも受け入れられる「砂糖カルダモン」味のデザートは、多くの人に受け入れられ、子供にも受け入れられる証明だとも思うんです。
私個人のことを考えても、「砂糖カルダモン」のコンビは、今後私のお菓子作りの幅を広げてくれそうです。おかずづくりの「塩こしょう」並みに定番になればいいなと思います。
ムーミンのお菓子のパンヌカックも本当に美味しいので、今回のワタラッパン同様、是非作ってみてください。
* * *
<スパイスアンバサダーの4月・5月の活動報告>として、スパイスで新しい味わいという趣旨の記事を10回連載形式でお届けしてしました。読んでいただき本当にありがとうございました。
【第1回】バルカン半島の美味ハンバーグ『グルマンスカ』
【第2回】モロッコの美味しいゆで卵の食べ方『カムンメハ』
【第3回】イラクは残ったパンの美味しい食べ方を持っている『タシュリーブ』
【第4回】アラブの焼きなすが世界的真価を発揮する『ムタバル』
【第5回】幸せ色のごはん、ターメリックでOK『サフランライス』
【第6回】中央アジアのシルクロード味の雑炊『スユクオシュ』
【第7回】オリエントに広まる感動の肉々ピザ『ラハムバジン』
【第8回】イベリア半島が受け継いだ世界の頂点文化『ピンチョモルノ』
【第9回】南米エクアドルの高Caミルクチーズスープ『ロクロデパパス』
【第10回】「砂糖カルダモン」の実力。スパイスの国のココナッツミルクプリン『ワタラッパン』
※本記事はハウス食品及びレシピブログが主催するスパイスアンバサダーに就任したことに基づき執筆するものです。