フランス料理には、ポタージュクレシーという美味しいにんじんポタージュがあります。私の菜園では美味しいにんじんが採れるのが自慢で、そのときは夫も好物のポタージュクレシーを作ります。
美味しさが伝わるといいな。にんじんの美味しさ、甘さ、クリームの美味しさが優しく交わってできる、にんじんのクリーミーポタージュです。
料理名はポタージュクレシー。それはつまりクレシーのポタージュ。・・・そこから疑問を抱くのは当然でしょう、この瞬間「クレシーって何?」という疑問が生じました。
クレシーって何?
この記事では、その疑問から解決に至るまでの過程を載せ、最後に「クレシーとは何か」についてここで得た結論を記載しようと思います。
* * *
◆Cook’s info(≫こちら)
「クレシーはフランス料理に関する名称であり、にんじんと共に出される料理か、にんじんを使用した料理を指す。」(À la Crécy is a French cooking term that describes a dish that is served with carrots, or that has carrots in it.)と書いてある。
「クレシーはフランス北部のピカルディ地域圏のことであり、フランスではにんじんの産地として知られる。」(Crécy is in the Picardie area in northern France; it is famous in France for its carrot production.)と書いてある。
◆Williams-Sonoma Collection: French|Google books(≫こちら)
「クレシーはフランス北部の町で、素晴らしいにんじんが採れる。」(Crécy, a town in northern France that produces some of the country’s best carrots,)と書いてある。
◆Google Map「クレシー フランス」
やった♪あった♪
・・・あれー、でもクレシーの綴りが違うよ!? ここはお目当てのCrécyではなく、Clécyという街のようです。
◆フランス語Wikipedia「Crécy」(≫こちら)
うわー、フランスにはクレシーがいっぱいあることが分かりました。
◆Google Map「France Crécy」
「Crécy」という街は、さっきの「Clécy」とは違う位置にあった。
クレシー=アン=ポンティユー(Crécy-en-Ponthieu)という街が出てきた。
世界史に出てくるクレシーの戦いの地。百年戦争初期の争い(14世紀)。
そうか、そう言われれば歴史的に有名な場所だな。でもこの街のツーリストインフォメーションサイトを見ても、その他関連する何を見ても、この町がにんじんの産地とかにんじんスープが名物といった記述が、(ごく少数の個人サイトを除き)出て来ません。
◆Crécy|Gastronomiac(≫こちら)
おや?
にんじんポタージュの解説に違うクレシーの街が出ているよ?
Crécy-la-Chapelle(クレシーラシャペル)と書いてある。
「クレシーの土地では太古の昔からにんじんが栽培されています。そしてここは1972年にクレシーラシャペルという街になりました。」(Depuis des temps immémoriaux, on cultive des carottes sur les terres autour de Crécy, qui devient Crécy-la-Chapelle en 1972.)
「クレシーラシャペルはセーヌ・エ・マルヌに位置し、ブリーヴェネツィアとも呼ばれる地域です。より北部には、1346年の戦場(百年戦争の初期を象徴する有名なクレシーの戦い)で有名となった別のクレシー(クレシーアンポンティユー)があります。そのとき英国軍を養う食事としてポタージュクレシーが作られたという説を支持する歴史家もいる。」(Une localité située en Seine et Marne et souvent surnommée la Venise briarde. Mais il existe un autre Crécy dans le Nord, Crécy-en-Ponthieu, célèbre par la bataille qui y a été livrée en 1346 et qui marque le début de la Guerre de Cent Ans. Certains historiens fixent la création du potage Crécy à cette date, car il aurait nourri l’armée britannique.)
なるほど。発祥はクレシーラシャペルなのに、歴史家の中にはクレシーアンポンティユーをポタージュクレシーの発祥とする人も出てきてしまったのね。
先ほどの◆フランス語Wikipedia「Crécy」(≫こちら)
あった。セーヌ・エ・マルヌはクレシーアンブリー。今はクレシーラシャペルという街。
◆Google Map「クレシー=ラ=シャペル」
あった。クレシーラシャペル。パリの40kmくらい東。モー地域にある。
◆Un Tour de France des differentes variétés de carottes(≫こちら)
モーのにんじんです。美味しそうだね。
ポタージュクレシーに使うと書いてあります。
◆Wikipedia「イル=ド=フランス地域圏」(≫こちら)
「イル=ド=フランス地域圏」にはセーヌ・エ・マルヌ県が含まれ、モーもあることを確認しました。
やっぱり、最初のクレシーや、百年戦争のクレシーや、ピカルディは違うとみてよさそうね。
◆フランス語Wikipedia「Tourisme en Seine-et-Marne」(≫こちら)
セーヌ・エ・マルヌ県の観光情報に、ポタージュクレシー発見!
「ポタージュクレシーは、クレシーアンブリーで栽培されたにんじんの名前に由来するにんじんスープです。」(Le potage Crécy est un potage aux carottes qui doit son nom à la culture de carottes venant de Crécy-en-Brie.)
私の好物のブリーチーズの産地でもあるんですね。
◆フランス語Wikipedia「Crécy-en-Brie」(≫こちら)
クレシーアンブリーは旧自治体。今はシャペルスルクレシー(Chapelle-sur-Crécy)と合併してクレシーアンシャペルです。
(Crécy-en-Brie est une ancienne commune de Seine-et-Marne, en France, qui a fusionné le 1er octobre 1972 avec La Chapelle-sur-Crécy pour former la commune de Crécy-la-Chapelle.)
◆英語版Wikipedia「Crécy-la-Chapelle」(≫こちら)
住民はクレシー人と呼ばれる。(The inhabitants are called Créçois.)
◆Crécy-la-Chapelle(≫こちら)
クレシーラシャペルの観光情報サイトです。
ここに「le pays créçois」と書いてある。
「クレシーの国」と。
◆フランス語Wikipedia「Communauté de communes du Pays Créçois」(≫こちら)
ここを読んで、
・クレシーの国は19の自治体からなる連合自治会であり、セーヌエマルヌの小さな一部を占めること。
・自治体の本部はクレシーラシャペルにあること。
・モントリー(Montry)地区の住民はモンテリクルトワ(Montéricultois)であるといったように、19の自治体にはそれぞれの住民の呼称(Gentilé)をもつこと。
・クレシーラシャペルの住民の呼称がクレソワ(Créçois)すなわちクレシー人であること。
などが分かりました。
* * *
ポタージュクレシーの「クレシー」の由来は、パリ東部近郊にあります。イルドフランス地域圏内のセーヌ・エ・マルヌ県には「クレシーの国」という連合自治会があり、その中心部のクレシーラシャペルの住民は狭義にクレシー人と呼ばれます。クレシーラシャペルやその周辺は、旧名のクレシーアンブリーやシャペルスルクレシーといった、クレシーという地名がつくところがたくさんあります。そのクレシー地方で栽培されたにんじんの名前に由来する料理が、ポタージュクレシーです。今ではにんじんを使うフランス料理の技法もクレシーと呼ばれるほどになっています。
* * *
ポタージュクレシーという美味しいにんじんポタージュがあります。私の菜園では美味しいにんじんが採れるのが自慢で、そのときは夫も好物のポタージュクレシーを作ります。
見て!!掘りたてにんじんの、このサイズ!!
いい具合に育つと、本当に大きく甘く美味しくなってくれます。
ポタージュクレシーは、にんじんの美味しさ、甘さ、クリームの美味しさが優しく交わってできる、にんじんのクリーミーポタージュです。
今日の調べ物はさすがにいつも以上に時間がかかりましたが、やり始めたことに対して頓挫せず、ちゃんと実行し終えて、満足しています。達成はいつも喜びです。
中途半端になりがちなことは日常の暮らしにたくさんありますが、これからの暮らしの中、今回の喜びを忘れず、もっともっと前向きに様々な経験と知識を増やしていくように頑張ります。
作り方は簡単です。レシピは、≫こちら。