きゃあ♡ 可愛い♡ 素敵な女性♡ イスラム教徒であることが伝わる素敵な姿ですね。
世界旅をする前は、東南アジアがこんなに中近東っぽいって思っていなかった。イスラム教を信仰し髪や肌を隠す女性のスタイルは、イエメンやオマーンやイランや、なんかそういう西アジアのもの、あるいはモロッコやアルジェリアなど北アフリカのものだとどこか思っていた。
でも、行ってみて分かる。東南アジアに初めて泊ったとき、夜明け前にお祈りの男性の声が拡張マイクで鳴り響いた。それはイスラム教のアザーンだった。パプアニューギニアからインドネシアへの変化の実体験は、その大きな拡張音声から始まった。
中世よりイスラム化し、交易の世界的要所の1つとして早くからマレー化が進んだ東南アジアにおいて、現在マレー人は7つの主権国(マレーシア、シンガポール、ブルネイ、タイ、インドネシア、東チモール、フィリピン)にまたがって居住/分布しています(更にここにココスとクリスマスも加わる)。
かつての英領マラヤに多数流入したインド人(労働者及び非労働者)はインドの料理を導入しました。インドには東インド会社という英国の貿易特権会社があったため、インド人が移住した先々の国は元英領国家が多い。つまり、西欧の植民地にならなかったタイ、英国以外の国の植民地だったフィリピン(スペイン領、米領)、東チモール(ポルトガル領)、インドネシア(オランダ領)は、インド人の多さを感じない。
インド人の影響をあちこちで感じるのは、マレーシア、マレー半島の先端の先にあるシンガポール、マレーシアに囲まれて存在するブルネイ(あとは少し離れてミャンマー)といったところで、これにはあまり異論はないだろう。
* * *
さて、マレーシアで「Tosai」や「Thosai」等とよく表現されるこの薄い紙のような料理は、何と発音するのでしょう。私の旅メモにはマレーシア現地の聞き取りメモとして「トシ」と書いてありますが、今回、マレーシア料理やシンガポール料理を特定しているのに「ドーサ」と表記するネット上のページが多くて「あれ?」と気になったので、検証し、結果をまとめました。
<結論を先に書くと>
「Tosai」や「Thosai」は、「トセイ」「トセ」「トシ」と読みます。これは主にマレーシアを中心にした発音です。よってシンガポールやブルネイにもこのように発音する人が多いことが推測されます。また、「ドーサ」は国際的一般通用表記であるという結論にも至りました。
* * *
◆How to make Plain Tosai in Malaysia | عمل التوسا الهنديي طريقة(≫こちら)
0:05 「トセ」と発音。
(※前後に英語ナレーターのトゥセが入っているが調理人の発音のみ採択。)
◆Thosai | Try Masak | iCookAsia(≫こちら)
0:07 「トセイ」ないし「トシー」と発音。
◆The Thosai Master(≫こちら)
1:43 「トセイ」ないし「トーシ」と発音。
◆A Malaysia Breakfast (Roti Telor Bawang & Tosai)(≫こちら)
0:18 「トセ」ないし「トシ」と発音。
以上4つをまとめると、「Tosai」や「Thosai」は、「トセイ」「トセ」「トシ」と読みます。私の聞き取りメモとも矛盾しません。
(なお、ブルネイで同じ料理を食べたとき、食堂のメニューには「Dosai」と書かれ店の人は「ドシ」と発音していました。)
* * *
次に、この料理の名称と発音を検証するために、Wikipediaを各国言語で見てみました。
◆Wikipediaマレー語版「Thosai」(≫こちら)
「Di Malaysia, thosai juga ditulis sebagai tosai.」すなわち「マレーシアではThosaiはTosaiとも書かれます」と書いてあります。
その他の表記として、Dosa、dosay、dose、dosai、dhosha、thosaiなどを挙げています。
◆Wikipedia日本語版「ドーサ」(≫こちら)
タミル語の表記として、「தோசை(Dosai)」としています。ここでインドの言語のうちタミル語に注目する理由は、マレー圏のインド人は大半がタミル人だからです。
※シンガポールではタミル語が公用語でもあるほどです。
◆Wikipediaドイツ語版「Dosa」(≫こちら)
ドイツ語表記も、次に示す英語と同じく「Dosa」。ここには示さないがフランス語表記も同じ。よって「Dosa」は国際的標準表記であることが示唆された。ドイツ語ページで役に立ったのは、「Tamil: தோசை、tōcai [d̪oːsɛi̯] 」という表記!!!つまり、単にドーサではない音が見えてきました!!(しかしこれは次の英語との不一致が生じています。)
◆Wikipedia英語版「Dosa」(≫こちら)
英語ページでは「Tamil: தோசை、dōsai、t̪oːsʌj 」と書かれています。
あれ? ドイツ語ページでは、tōcai、d̪oːsɛi̯。トーサイ、ドーセイ。
英語ページでは、dōsai、t̪oːsʌj。ドーサイ、トーサイ。
なんか、不一致。
* * *
次に、日本人にはまるきり読むことすら困難な、難解なタミル語に挑戦することにしました。上のドイツ語ページでも英語ページでもタミル語表記は「தோசை」で一致しているので、この文字と音を検証しようと思います。
- 左から読みます。
- 子音は「த」と「ச」です。
- 英語Wikipedia「Tamil_script」(≫こちら)により、その子音は「 t 」(時に d )と「 c 」(トとサ)である。
- 「த」( t )の両脇につく「ோ」は「オー」という母音を示し、「தோ」は「トー」(時にドー)の音になる
- 「ச」( c )の左につく「ை」は「アイ」という二重母音を示し、「சை」は「サイ」の音になる。
- よって「தோசை」は「トーサイ」(ドーサイ、トサイ)の音になる。
* * *
南インドのタミル語において、「தோசை」は「トーサイ」(ドーサイ、トサイ)の音になることが分かりました。しかし上の4つの動画で検証した結果を再掲すると、表記は「Tosai」や「Thosai」で、読み方は「トセイ」「トセ」「トシ」なのです。次に、この差を検証することになります。
◆日本語論文「マレーシアの英語」(≫こちら)
ヤッター\(^o^)/ 腑に落ちる結論発見♪
ここではマレーシアでは本来発音される二重母音が短母音化することが指摘されています!!
例として、
mail→[mel](メル)
railway→[relwe](レルウェ)
上の2つに共通するのは、「ai」の文字が「エ」の発音になったこと。
つながった! これは「Tosai」や「Thosai」を「トセ」と読むようになった、マレーシア流の言語のクセなのだ。あるいは「トセイ」、その「セイ」が「シ」になって「トシ」になったり。
また、下のサイトはインドネシア語に関するものですが、二重母音が綴りと違って発音されることが書いてあります。インドネシア語もマレーシア語もマレー語なので、大いに共通することから、参考になります。
◆インドネシア語の発音について|JAYAランゲージセンター(≫こちら)
引用しますと、「【ai 】標準のインドネシア語では「アィ」ですが、日常会話ではよく「エ」または「エィ」と発音します。」
つまりタミル語「தோசை」(トサイ)→英語アルファベット化「Tosai」→「トセ」または「トセィ」(そしてトセィがトシにも聞こえる)。
タミル語の「தோசை」を「ドサイ」と発音する系統の場合→英語アルファベット化「Dosai」→「ドセ」または「ドセィ」(そしてドセィがドシにも聞こえる)。
このように、南インド本来のタミル語発音がマレー地域に来て変化した可能性が多いに見出されました。
* * *
<推論/結論、まとめ>
マレー地域のインド料理の代表的な料理は、「Tosai、Thosai、Dosai」等と表記されます。
「Tosai」「Thosai」→「トセイ、トセ、トシ」と読む。
「Dosai」→「ドセイ、ドセ、ドシ」と読む。
更に、「Dosa」は一般化された国際標準表記でもあり、国際一般的には「ドーサ」と読むことに問題はないと思われた。これが冒頭の「ドーサと表記するネット上のページが多くてあれ?と気になった」ことの解決です。つまり、例えばマレーシア料理を限定して「ドーサ」と表記している場合はマレー語発音・現地発音は考慮していないことが強く示唆されました。
当サイトでは、ちょっと表記が多くて一本化しにくいので、例えばマレーシア料理のページでは「トセイ(トセ、トシ)」のように複数を併記しました。
*今日は、この勉強のお蔭で、生まれて初めて紙とペンでタミル語を書く機会を得ました!!!タミル地域を旅したにも関わらず、インドは英語が通じてしまうため(特に南インドはよく通じる)、タミル語を書くことから逃げたことを思い出しました。でも次にインドに行ったらきっと違う意識が持て、行動が変わると思います。今日の、このような良い機会に、感謝しています♡
* * *
ドーサは、米粉や豆粉の溶液を発酵させたものを薄生地にしてパリっと焼く、美味しい薄パリクレープです♪ カレーソース、ココナッツソース、ミントソースなどをつけていただきます。南インドの本場のトーサ(ドーサ)も、マレーシアやブルネイで食べるトセイ(トセ、トシ)も、美味しい (^^)v これをいつか我が家で作りたい。作るぞ。そしたら必ずやレシピ化してサイトに掲載します!