モロッコ料理

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【基礎情報】

国名:モロッコ王国Kingdom of Morocco、首都:ラバト、ISO3166-1国コード:MA/MAR、独立国(1956年フランスより)、公用語:アラビア語、ベルベル語、通貨:ディルハム

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【地図】

モロッコはアフリカ大陸の北西端にあります。南には(実効支配をしている)西サハラ、東にはアルジェリア、国内にはセウタとメリリャがあります。

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◆タジンとクスクスで有名なモロッコ料理

モロッコは素敵です。メディナ(旧市街)に入れば何百年もタイムスリップしたかのような光景に出合え、まるで街がアンティークです。アラブにはカフェの文化が根付き、モロッコも例外ではありません。どのカフェも店の外まで椅子とテーブルが出ていて、カフェに入って行き交う人の様を見るだけでも、素晴らしく旅している気分になれるものです。旅行記を見ると「人がうざい」と書かれることも多い国なのですが、それはモロッコ人が、人がよくてお世話好きであることの表われではないでしょうか。

クスクス作り
クスクスは3度蒸す」と教えてくれた田舎町のおばさん(撮影地ホリブガ)

モロッコ料理といえばクスクスタジンが有名ですね。これはマグレブ地方(モロッコやアルジェリアなどの西方北アフリカ)に伝わる、アマジグ(ベルベル人)の伝統的な料理です。

モロッコ料理は、主にはマグレブの料理にアラブ人の食文化が混ざって形成されました。アラブ人は、1000年以上前の東方からの侵略者のほか、イベリア半島(現在のスペイン)を駆逐されたアラブ人もあり、事実、モロッコ料理はイラク料理やスペインアンダルシア料理との共通点が見いだされています。なお、ラバト、カサブランカ、マラケシュ、フェズといった主要都市は軒並みアラブ人の居住地域であり、アマジグは主に南部や内陸に多く居住しています。

北は地中海に、西は大西洋に面し、国の中央にはアトラス山脈が走り、南はサハラ砂漠と、国土は多様ですが、意外と食べるものの種類が少ないという印象のモロッコ料理です。
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主食 Staple

モロッコではパンがよく食べられています。都市のみならず、小さな村にもパン屋があり、どこでも焼き立てのパンが食べられています。一般的なパンはホブス(生地を円盤状にして焼いたもの)で、自宅でホブスを焼く家庭も多くあります。その他、ムセメン(生地を薄くして層状に作るパン)やバゲット(フランスパン)もよく食べられています。元フランス領の国にはよくあることなのですが、ベーシックなパンは政府公定価格で安く買うことができます。

パスタに分類できる主食には、世界最小のパスタと言われるクスクスが有名です。地中海に古くから伝わる加工穀物で、イタリアの島や、チュニジア、アルジェリア、そしてモロッコがアラブ化される前からの先住民であるアマジグの料理で、海今ではモロッコ料理の代表ともいえる存在になりました。クスクスとは対照的な、シトバ(大きな帯状のパスタ)もあります。これもアマジグの料理で、煮込みきしめんのように食べます。

アフリカ大陸には、フフやウガリやアシといったもち状の主食が広域に根付いていますが、モロッコにも、練りもの系の主食にはタグラ(穀物の粉を練って作るもち状の主食)があります。
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クスクス Couscous

クスクスについて、もう少し記載します。
一般的に普及しているクスクスはセモリナ粉が原料ですが(日本で市販されているクスクスと同じもの)、粒状のものをパラパラに炊いたら、原料が麦でもとうもろこしでも、クスクスと称されます。例えばとうもろこしの中挽きの粉で作るクスクスと同様の主食はベデスと呼ばれたりもします。

クスクスは、普段は乾燥させて保存し、調理するときは、2段鍋の下段で肉や野菜の煮込みを作りながら、その蒸気をクスクスにあてて、3度にわたって蒸して作ります。そして、ふかし終わったクスクスを大皿に入れ、煮込み料理をかけてみんなで大皿を囲んでいただくのです。

イスラム教徒が大多数を占めるモロッコでは、イスラム教の休日である金曜日は、伝統的にクスクスを作って食する日です。モロッコの昼食は2時くらいと遅く、それはちょうど、金曜日の礼拝が終わったあと、クスクスをみんなでお腹いっぱいに食べるのです。
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肉のおかず Meat

肉類で一般的に売られているものは、牛、羊、鶏肉。そのほか、ヤギやラクダや七面鳥の肉も売られています。羊肉は大変好まれますが価格が高いこともあり、最も一般的に消費される肉は牛肉と鶏肉です。

鶏肉をまるごと炙ったり、ぶつ切りの鶏肉をタジン(フタつき鍋の蒸し物)の具に。ひき肉を団子にしたコフタタジンの具やケバブまたはブロシェット(どちらも串焼きのこと)に。塊肉はケバブブロシェットに。

なお、キリスト教徒のお店では、豚肉、ソーセージやベーコンなどの豚肉加工品を売るところもあります。こういうお店は営業時間がイスラムの習慣に左右されないものの、日曜日が閉店となることが多いようです。
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スープ類 Soup

ハレーラハリーラ)は、モロッコの夕方のスープ、具沢山とろみスープです。国中に浸透している伝統スープで、3cm長さパスタ、ひよこ豆やレンズ豆、かきたま、香菜等が入り、小麦粉でとろみがついたターメリック色のスープです。トマトが少ないと黄色いハレーラ、トマトが多いと赤いハレーラになります。ハレーラはラマダン(断食月)において日没後に食べられる定番料理でもあります。
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料理名一覧 Food & Drink Glossary

モロッコで主に話されている言葉はアラビア語(とベルベル語)ですが、食堂のメニューがフランス語で表記されることもあります。アラビア語が分かればアラビア語で料理名を付記しますが、フランス語のほうが情報源の量として多く、アラビア語表記がない場合は、フランス語表記を付記していることもあります。

【主食】
  • クスクス(كسكس)・・・粒状のパスタ
  • シトバ(shetba)・・・大きな帯状のパスタ
  • タグラ(tagoula)・・・穀物の粉を練って作るもち状の主食
  • バゲット(baguette)・・・フランスパン
  • ベデス(baddaz)・・・とうもろこしの中挽きの粉で作るクスクス
  • ホブス(خبز)・・・生地を円盤状にして焼いたもの
  • ムセメン(مسمن)・・・生地を薄くして作る層状のパン
【料理名】
  • タジン・・・フタつき鍋の蒸し物
【スープ類】

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