ポルトガル料理

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【基礎情報】

国名:ポルトガル共和国Portuguese Republic、首都:リスボン、ISO3166-1国コード:PT/PRT、独立国(1143年ポルトガル王国創設)、公用語:ポルトガル語、通貨:ユーロ

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【地図】

ポルトガルはイベリア半島西部にあります。北と東はスペインに接しています。また大西洋にマデイラ諸島やアゾレス諸島などの離島をもっています。

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◆名物は干しダラ料理各種。食材の旨味を味わう南欧の国

地中海料理は美味しい。これに異を唱える人はいないでしょう。太陽の陽射しをたっぷり受けた野菜類があり、オリーブオイルが海産物や酪農製品を極上に仕立てる。そもそも地中海地域は食材自体が美味しいから料理も美味しいのです。地中海料理というものは地中海に面した地域の料理というだけではありません。なぜならば地中海の文化はここポルトガルにも確実に根付いているからです。ポルトガルには、海あり山あり、肉も魚もあり、暖かい気候が育む作物に恵まれた料理が受け継がれています。隣国のスペインほど地理や民族の多様性がないので、ほどよく均一な食文化をもっていると言えます。

ポルトガル
ポルトガル料理の重要食材であるバカリャウ(干しタラ)(撮影地ポルト)

我が国ではポルトガルの料理と言えば、天ぷら、カステラ、コンペイトウなどの伝来品のイメージが持たれていますが、ポルトガル料理とは、どのようなものなのでしょう? そもそもなぜ日本にポルトガルからの伝来物があるのでしょう?

我が国が戦国時代の頃、「地球の全部の国がスペイン領かポルトガル領のどちらかになった」ことがあります。大航海時代に世界を席巻したスペインとポルトガルは、無茶苦茶な条約w(※)を布いて地球を2分割してそれぞれの領地としたのです。

※サラゴサ条約やトルデシリャス条約を参照。

ポルトガル圏となったのは、南米のブラジルから、アフリカ大陸・ユーラシア大陸を経て、日本西部までの区域です。今は独立国であるポルトガルの元植民地(カーボベルデ、ギニアビサウ、アンゴラ、モザンビーク、東チモール等)、それからインドのゴアやマカオも当時のポルトガル圏内です。日本の種子島に鉄砲が伝来したのも西日本がポルトガル圏だったためです。

ポルトガルは香辛料を求めアジアへ航海を続けましたが、意外なことに持ち帰った香辛料はイベリア半島ではあまり定着しませんでした。現在のポルトガル料理はあまりスパイシーではなく、辛くなく、むしろ「素材の味が口の中に広がる」ような、食材の旨味を楽しむ料理と言えます。

地理的に海産物に恵まれるため、伝統料理の食材にはペイシ(魚)、貝類、ポルボ(タコ)やルーラ(イカ)といった海産物が含まれます。タコを食べる国はヨーロッパでも少数派ですね。また、肉類もよく消費され、豚、牛、鶏肉はもとより、うさぎやアヒルの肉も食べられています。有名な「イベリコ豚」は「イベリア半島の豚」という意味で、スペインからポルトガルにかけて養豚されている、素晴らしい味の豚肉です。

素材が美味しいので調味料の種類は少なく、その分、油で旨味を追加し、どちらかというと味付けは濃いめかな?と思うのですが、異なる種類の複数の肉、あるいは肉と魚介をミックス、更にはソーセージやシュリソ(チョリソー)などの加工肉やバカリャウ(干タラ)の旨味も加えられ、オリーブオイルやにんにくの風味と塩は定番の味付け、さらに、レモン果汁やパクチーの香り、炭火焼きの香り、赤パプリカやトマトの赤、サフランの黄色などが組み合わさって、目にも美味しそうな、複合的な旨みのある料理が目白押しです。

ポルトガル料理に使われる代表的な魚がバカリャウ(タラ)である点は特筆すべき特徴です。バカリャウ漁は数百年の伝統をもつ北洋漁業で、数か月をかけてカナダ沖へ航海に出て、バカリャウを本土に持ち帰ります。そして塩漬けのバカリャウはカチカチに干されて絶好の保存食となります。ポルトガルには、数百とも数千とも言われるバカリャウ料理が存在します。

魚介類が豊富でお肉が美味しくて、素材の味わいを楽しむポルトガル料理は美味しいですよ。ポルトガルでごはんを食べると「ほっとする味」を感じて心が安らぐ気がします。それはかつてポルトガルが日本に料理を持ちこんだことで、日本人の味覚の根底の一部にポルトガルの味が根付いたのかもしれませんね。ポルトガルは中世日本の伝統食文化も発展させてくれて、その点では上の無茶苦茶な条約wにもむしろ感謝ですね!(笑)
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