キリバス料理

+++新着+++


【基礎情報】

国名:キリバス共和国Republic of Kiribati、首都:タラワ、ISO3166-1国コード:KI/KIR、独立国(1979年英国より)、公用語:英語、キリバス語、通貨:オーストラリアドル

▲目次に戻る


【地図】

キリバスは太平洋の広範囲を海域としてもつ国です。海域は、北から時計回りに、ハワイ(米国)、仏領ポリネシア、クック、トケラウ、ツバル、ナウル、ミクロネシア連邦、マーシャルと接しています。

▲目次に戻る


◆伝統料理をたくさん残した国。国民食はフィッシュライス。

キリバスへ旅し、上空から首都タラワが見えてくると、海の色の美しさに感激し、そして国土のなさ(あまりの細長さ)に驚き、作物も育たなさそうな土地に人が住んできたことに感動すら覚えます。キリバスは首都でさえ、葉っぱの屋根の壁のない家屋に、裸足で歩く人々に、庭先で火を起こす屋外キッチンといった伝統風景が広がります。スーパーや商店は物資が少なくてキリバスのもつ海域は非常に広い。つまり彼らは自分たちで魚を獲っていて、今も魚をよく食べているのです。キリバスは、本来太平洋の民が培ってきた魚文化が一番残っている国かもしれません。

キリバス
キリバスの主島。美しい楽園。見れば見るほど食文化が理解できます。(撮影地タラワ上空)

「ミクロネシア」という範囲は、大雑把に言うと太平洋の島々の北半分(アジアや米国の島を除く)で、ミクロネシアの東の端に位置するキリバスは、日本から最も遠いミクロネシアの島国です。ユーラシア大陸からも遠い上、その東には延々と島すらない大海が続くため、北米大陸からも遠い。その隔離性、さらにキリバス国内にも離島が数多くあるため、キリバスは英領時代は核実験場でした。日本もキリバスをスペースシャトル実験場として利用したことがあります。それほどに、地理的に「隔絶された島々」であることが、キリバスを理解するための前提となります。

ミクロネシア7か国のうち5か国(パラオ、グアム、北マリアナ、ミクロネシア連邦、マーシャル)が米国つながり(米領または元米国信託統治領)で、残り2者(ナウルとキリバス)が英国つながり(英連邦)。ここが結構ポイントで、キリバスはオーストラリアフィジー(どちらも英連邦)との経済的つながりが大きいことが、食文化にも反映されています。キリバスの通貨はオーストラリアドルですし、輸入食料はオーストラリアフィジーから運ばれるものが多い。一方でキリバスでは中国人経営の飲食店が目立ち、中国人がミクロネシア人の好む料理(フィッシュライスなど)を作っています。これらの点から、キリバスの食文化はナウルの食文化に近いと言えます。隣国かつ英連邦同士で民族はどちらもミクロネシアン。似ていて不思議はありません。

キリバスもナウルも不便な場所にある田舎の国。日本だってそうですよね、山間部や離島など不便な場所の村落では物を買う場所も取り扱い商品も少なく、交通も物流も不便であることは否めません。ナウルはリン鉱石産業でかつて世界一豊かな国になることができましたが、対照的にキリバスは今も伝統生活が強く残っています。

キリバスの地元の人の生活用水は多くが井戸水と雨水で、雨水タンクを持っている人は「いい水よ」と自慢してくれます。そして庭先などでココナッツを燃やして火を起こして調理する光景をよく見かけます。キリバス人のことをキリバス語で「イキリバス」と言うのですが、「イキリバスフードといえば何?」と聞くと皆さん即答でフィッシュ(魚)と答えてくれます。

この国はローフィッシュ(生の魚)が国民食。私はこれだけローフィッシュがあちこちにあふれる国を、世界240か国目の渡航にして初めて見た。「え?」と思うところでローフィッシュ登場。日本じゃ衛生上許可が出ないような、路上の惣菜売りとか、屋台とか、南国で暑いのに、しかも氷なんて用意していないのに、そんなところで普通に生魚の軽食や弁当を売っていたりするのです。またナウル同様、中国人経営の飲食店が多いのだけど、中国人の店でも魚メニューが主体で、注文すると「クックハーフ?」(さっと炒めるだけにして魚は半生で食べるかい?)とよく聞かれます。何でも火を通して食べる中国人には普通ない発想です。このようにキリバス人が魚を愛し、魚を知り尽くす民族だから、キリバスの魚料理は生あるいは半生でも、冷蔵設備があってもなくても、安全で美味しく魚料理が食べられるのだと思うのです。

私個人によるリサーチ結果ですが、イキリバスの人気料理第一位はローフィッシュライス(あるいはそのクックハーフ)、第二位はフライフィッシュ、第三位はフィッシュスープでした。要は、味付け刺身丼(あるいは魚の半生炒め丼)、揚げ魚、魚汁です。美味しそうでしょ。それらが主食の米(ごはん)と共に、ココナッツミルク味だったり中国の影響の味付けで出てくるので、日本人好みの味の料理にたくさん出会えます。

どうでしょう、食文化が、ナウルに似ていませんか? そして何より、伝統の残る楽園キリバスへ旅したくなりませんか?
▲目次に戻る

ココナッツ Coconuts

キリバスではココナッツの木(ココヤシ)が至る所に生えており、キリバス食文化は「ココナッツありき」で発展してきました。ココナッツの各部位を細かく呼び分けるのも、ココナッツを重要な食材としてきた民族の証しです。

若いココナッツはモイモト。若いココナッツの殻の中にあるジュースもモイモト。若いココナッツの殻の内側のゼリーはメライまたはテメライ。若くないココナッツはペンまたはテペン。コプラ(ココナッツの殻の内側の白く硬い部分)もペンまたはテペン。ココナッツミルク(コプラをフレークにして絞って得られる液体)はランニペンまたはテラニペン(※誰も英語でココナッツミルクとは言わない)。ココナッツの中の黄色いボール(スカスカスポンジリンゴ状のもの)の部分はぺぺまたは、テペペ、あるいはテリキタカタカとも。このボール状の部位は諸外国では好まれないのだけどキリバス人は割と多くの人が美味しいと言い小さく刻んで食べます。赤くなるまで待つとソフトでフレーバーも良くて美味しいと言っていました。
▲目次に戻る


料理名一覧 Food & Drink Glossary

【ココナッツ類】
  • タカタカ(Taka taka)・・・ココナッツの中の黄色いボール状のもの
  • テペペ(Te bebe)・・・ココナッツの中の黄色いボール状のもの
  • テペン(Te ben)・・・若くないココナッツまたはそのコプラ
  • テメライ(Te marai)・・・若いココナッツの殻の内側のゼリー
  • テラニペン(Te ra ni ben)・・・ココナッツミルク
  • テリキ(Te riki)・・・ココナッツの中の黄色いボール状のもの
  • ぺぺ(Bebe)・・・ココナッツの中の黄色いボール状のもの
  • ペン(Ben)・・・若くないココナッツまたはそのコプラ
  • モイモト(Moimoto)・・・若いココナッツ
  • モイモト(Moimoto)・・・若いココナッツの殻の中にあるジュース
  • メライ(Marai)・・・若いココナッツの殻の内側のゼリー
  • ランニペン(Ran ni ben)・・・ココナッツミルク

▲目次に戻る


Link

▲目次に戻る