北マリアナ料理

[last update 2017/07/01]

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【基礎情報】

国名:北マリアナ諸島自治連邦区Northern Mariana Islands(Commonwealth of the Northern Mariana Islands)、首都:サイパン、ISO3166-1国コード:MP/MNP、非独立国(米国自治領)、公用語:英語、チャモロ語、カロリン語、通貨:USドル

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【地図】

南北に連なるマリアナ諸島のうち南端の島であるグアムを除いた部分が北マリアナです。北は日本である硫黄諸島、小笠原諸島、伊豆諸島へと続き、グアムより更に南にはカロリン諸島(ミクロネシア連邦やパラオを含む島々)があります。

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◆フィエスタ料理の素晴らしい国

北マリアナならびにグアムに古くから住んでいたのはチャモロ人です。料理は支配者や外国人労働者により変化するもので、チャモロ人本来の料理も、今は、スペイン、日本、米国、フィリピンの料理の要素が混合しています。地元の人でにぎわうローカル食堂も調理人や店員がフィリピン人で、メニューもフィリピン料理が多いという図式ですから、チャモロ人の料理を食べたいなら、それは「フィエスタ」です。日本語ではお祭りと訳される言葉ですが、フィエスタ料理とは、お祭りのほか、人をもてなす料理、家庭のお祝いの料理、宴会料理であり、チャモロ人の誇る料理なのです。シンプルですが絶品ですよ。ほくほくに焼いたパンの木の実、ヤシガニやロブスターをココナッツミルクで煮て、獲れたての生の魚や生の肉を柑橘の果汁でシメて、タロイモを鹿肉ととろとろに煮て・・・。どうですか、チャモロ料理は、実に美味しそうでしょう!

*北マリアナは米国領ですが、高い自治権を有するコモンウェルス(北マリアナ諸島米国自治連邦区、CNMI)に該当し、ISO3166国コード、独自の政府と自治権をもつ「国」として機能しています。よってこのサイトでは、北マリアナを米国本土と分けてそれぞれ1か国とし、食文化を記載していきます。

北マリアナ料理
タロイモ、ヤシガニ、パンの木の実、生の魚など、伝統的チャモロ料理の数々(撮影地ソンソン)

「北マリアナ」と言っても日本人にはピンときにくいかもしれませんが、「小笠原の更に南に、まだまだ島が続いている、そこです。」と言うと分かりやすそうです。北マリアナで人が居住する島はサイパン島、テニアン島、ロタ島の3つで、最も南にあるロタ島はグアムと飛行機で30分もかからないほど近くて、先住民もどちらもチャモロ人。「マリアナ諸島をグアムだけ分離しなくても、みんな同じ国で良かったんじゃない?」と最初は思ってしまいましたが、北マリアナは日本領を経験しているがグアムはそうでないとか、グアムは米国軍事基地だが北マリアナはそうではないなど、両者は決定的に歴史が違います。

北マリアナはチャモロ人(ならびに数は少ないがカロリン人)の国・・・と思って現地に行くと驚きます。なんたって、一番多く人口を占めるのがフィリピン人(!)なんです。彼らは特に飲食店業やサービス業に就いていますから、食堂で食べる食事や、お手伝いさんが作る家庭料理もフィリピン料理が多いという図式になります。事実、私がサイパン島でヒッチハイクをして「北マリアナの料理、サイパンの料理を食べたい」と伝え、チャモロ人のおばさんが「OK!」と喜んで連れて行ってくれたお店は、地元のチャモロ人で賑わう、フィリピン料理が自由に選べるローカル食堂でした。

その後、ロタ島の祭りの会場や、下院議員をお迎えする料理会場や、チャモロ人ご夫婦の家でのおもてなし料理など、様々な規模と場所での「フィエスタ料理」を頂く機会に恵まれ、チャモロ料理の真髄は「フィエスタ」にあると確信することができました。

このようなことを参考にし、北マリアナ料理の構成要素としては、以下のことを把握しておくと良いと思います。

  1. ココナッツ、魚、エビ、カニ、柑橘、タロイモなどを使う伝統的なチャモロ人(やカロリン人)の料理は今も残っている。これらチャモロ料理は特に祭りやお祝いの席で並ぶ。
  2. チャモロ人の本来の料理は素材が少なくシンプル。味付けは、塩、柑橘、ココナッツミルクなど。
  3. 日本の食材や調理法、そして現在の米中心の食習慣といった日本の影響。醤油は毎日欠かせないというチャモロ人は多い。
  4. フィリピンの料理の浸透が強い。特に外食では際立ってフィリピン色が強くなる(フィリピン料理と僕らの料理は同じだ、と言う北マリアナ人すらいる)。
  5. スペインがチャモロ人を虐殺して人口が激減したとき労働者としてメキシコ人を移住させた。メキシコのトルティーヤなど中米料理が今も残る。
  6. 米国(グアム経由)の輸入品。
  7. 魚や肉を生で食べる習慣がある。

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主食 Staple

北マリアナの主食は米やイモ類です。16世紀にフィリピンから稲作が導入されたそうで、中世から祝事には米を炊いていたことが遺跡の出土から分かっています。今も、お祝いやお祭りのときにはレッドライス(またはチャモロ語でイネクサアギギまたはイネクサバレンシャナ)と呼ばれる、ベニノキの種子の色素で赤く炊くごはんがつきものです。普段よく食べるのは白いごはん、すなわちライス(チャモロ語でイネクサ)です。「イネクサ」ってすごく興味をそそる単語ですよね!! 日本語の「稲草」が語源に違いない!!

お米のほかには、スニ(タロイモ)、英語でブレッドフルーツ、チャモロ語でレマイ(どちらもパンの木の実、ただし種を取らない場合はドクドクと呼び分けている)やスウィートポテト(白いさつまいも)などがあります。フィリピン料理を出す店では、フライドライス(焼き飯)やパンシット(焼きそば)も主食になります。
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魚介類のおかず Seafood

フィエスタ料理(お祭り料理やおもてなし料理)では豪華な食材をたっぷり使うものの、北マリアナの人たちの普段の食事は質素で、ライスイネクサ)を炊いて、おかずが1品。家庭では魚料理をよく食べるそうです。

魚は英語でフィッシュ、チャモロ語でウイハンです。生で醤油をつけるとサシミ、柑橘の果汁でシメるとケラグエン、その他、焼き魚や揚げ魚などの食べ方があります。日本と同じですね。刺身、〆鯖のような調理、焼き魚、から揚げ。

甲殻類も美味しいです。英語でココナッツクラブ(チャモロ語でアズズ)は日本語でヤシガニというココナッツを食べて育つカニで、その身の美味しさは濃厚で豊潤で絶品です。ロタ島の狩猟家の話では、狩猟期間は年に3か月かつ10匹までしか獲ることができないそうです。そのほか、日本でも知る人ぞ知る超高級食材のウチワエビはチャモロ語でパパンパンと呼ばれ、これも極めて美味しいです。
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フィナデニ Fina’denne’

フィナデニは、フィリピンではサウサワンと呼ばれる、肉にも魚にも野菜にもごはんにも合うまさに「万能のタレ」です。醤油に柑橘の風味と酸味が加わり、「フィナ」(たっぷり)「デニ」(唐辛子)という名前の通り、生の唐辛子のキックが利いています。炒め物の味付けに使うと料理はチャモロ味になりますし、豚肉や鶏肉、牛肉を焼く前に漬けておくことで、バーベキューも焼肉もぐっと美味しくなります。フィナデニこそ、現在の北マリアナ料理やグアム料理を語る主要な料理だと思います。
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料理名一覧 Food & Drink Glossary

※英:英語、チ:チャモロ語、フ:フィリピン語(タガログ語)。

【主食類】
  • イネクサ(チ:Hineksa’)・・・米を炊いたもの、ごはん
    • イネクサアギギ(チ:Hineksa’agigi)・・・ベニノキの種子の色素で赤く炊くごはん
    • イネクサバレンシャナ(チ:Hinekusa’balenshana)・・・ベニノキの種子の色素で赤く炊くごはん
  • スウィートポテト(英:Sweet potatoes)・・・白いさつまいも
  • スニ(チ:Suni)・・・タロイモ
  • ドクドク(チ:Dokdok)・・・パンの木の実(種つき)
  • フライドライス(英:Fried rice)・・・焼き飯
  • ブレッドフルーツ(英:Breadfruit)・・・パンの木の実
  • パンシット(フ:Pancit)・・・焼きそば
  • ライス(英:Rice)・・・米を炊いたもの、ごはん
  • レッドライス(英:Red rice)・・・ベニノキの種子の色素で赤く炊くごはん
  • レマイ(チ:Lemmai)・・・パンの木の実(種を取ったもの)
【魚介類のおかず】
  • アズズ(チ:Ayuyu)・・・ヤシガニ
  • ウイハン(チ:Guihan)・・・魚
  • ケラグエン(チ:Kelaguin)・・・生の魚や肉を柑橘果汁でシメる料理
  • ココナッツクラブ(英:Coconut crab)・・・ヤシガニ
  • サシミ(チ:Sashimi)・・・生の魚や肉をスライスして食べる料理
  • パパンパン(チ:Papangpang)・・・ウチワエビ
  • フィッシュ(英:Fish)・・・魚
【肉類のおかず】
  • ケラグエン(チ:Kelaguin)・・・生の魚や肉を柑橘果汁でシメる料理
  • サシミ(チ:Sashimi)・・・生の魚や肉をスライスして食べる料理
【調味料】
  • フィナデニ(チ:Fina’denne’)・・・柑橘の酸味と唐辛子の辛味のついた醤油ダレ

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