パラオ料理

[last update 2017/07/01]

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【基礎情報】

国名:パラオ共和国Republic of Palau、首都:マルキョク、最大都市:コロール、ISO3166-1国コード:PW/PLW、独立国(1994国連信託統治(米国)より)、公用語:英語、パラオ語。通貨:米ドル

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【地図】

パラオの近隣には、グアム、北マリアナ、ミクロネシア連邦、フィリピンがあり、すぐ北は台湾や日本です。

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◆エブリデイフィッシュ! そこは昔、日本でした。

パラオは南の小さな島。19世紀になってスペインやドイツの支配を受け、後に30年間日本の領土となり、日本敗戦後はアメリカの信託統治、そして1994年に独立した、とても新しい国です。ミクロネシアすなわち海の小島の文化と、日本の文化と、近代と、近隣のフィリピンとが入り混じる料理が、今のパラオ料理です。

ウミガメ
民家の庭ではウミガメを調理していました。(撮影地コロール郊外)

太平洋(オセアニア)の島々は、ポリネシア、メラネシア、ミクロネシアに大別され、パラオはミクロネシアに属します。パラオでは、伝統的には男は海へ漁に出て、女はタロイモ畑でイモを採っていました。タロイモは、イモをとったときに出る茎や葉を地面にさしておけば自然に次のイモが生えてくるので、大変に重宝する食材です。今もパラオ人の気質は「南の島の人々」、他のオセアニアの人々と共通点が多く、驚くほど働きません。万能植物ココナッツが育てば生きていける、お腹がすいたら魚やタロイモを獲って食べればいい、もちろん今は食べるものの種類も多くなりましたが、元来のそういう気質を受け継ぐ人々です。
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主食 Staple

タロ(タロイモ)は里芋の類似種で、伝統的な主食です。ゆでて皮をむいて2cm厚さに切って食べます。タピオカ(キャッサバ、木芋)はその次くらいによく食べられるイモです。中心に食べられない芯があるので、ゆでて皮をむいて食べやすい長さに切ったあと、縦割りにして食べます。

イモ類をひょっとしたら上回るほど食べられているように思うのが、ライス(ごはん)です。日本統治の影響が大きいのだと思いますし、魚のおかずに白いごはんが合うのはもちろんのこと。象印など日本製の炊飯器が普及しており、ごはんはふっくら美味しく炊かれています。

ウドンと呼ばれる料理がありますが、これは日本のうどんとは違い、ゆでたスパゲティーをスープに入れたものです。
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魚介のおかず Seafood

おかずの筆頭は、もちろんフィッシュ(魚)です。
魚には、実に細かく名前がついています。魚をあまり食べない国でその魚の名前を聞いても「魚は魚だ」と言いますが(例えばアラブ圏では「サマックはサマックだ」と言われてしまう)、その点で、パラオと魚には密接な関連があるのだと感じます。

魚を生で食べるとサシミ(刺身)、魚を調味料で煮つけるとニツケです。ここは後述の「日本」の項をお読みください(≫こちら)。

パラオの伝統的な魚料理には、ベルダックルがあります。ベルダックルは、パラオ語でスープを意味する言葉です。今は鶏肉のスープもあるのですけれど、本来魚で作るのがベルダックル。魚のブツ切りに柑橘の若い葉を入れて作るベルダックルは、私はパラオ筆頭の国民食だと思います。

ワスはパラオの伝統調味料の1つ。魚の頭や骨を味噌みたいになるまで煮詰めたものです。モルディブにもあり、海の島国には普遍的に存在するのかなと思います。ウカイブはおすすめです!!小さな蟹の甲羅に蟹肉のココナッツクリームを和えたものを詰めて冷やしたもので、絶品の美味しさです。

パラオ人は海の民なので、上のウカイブのように料理をココナッツミルクで味付けすることも多いです。ウミガメをココナッツミルクを使って煮た料理も美味しいです。
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野菜のおかず Vegetables

パラオ人は本質的に野菜を食べない民族。でも最近はカンクン(空芯菜)が出回るようになりました。ちなみにパラオ語で野菜は「ヤサイ」と言います。
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フィリピン Philippines

パラオの人口2万人の中には4~5千人にものぼる数のフィリピン人が含まれています。昔はほとんどいなかった出稼ぎフィリピン人が近年急増しています。それゆえパラオでお店に行ってもそこで働いているのはフィリピン人、物を作るのも調理をするのも道路工事も建設業もフィリピン人!!、という図式が多々あります。だから、パラオでお店に入っても、必ずしもパラオ人によるパラオ料理が食べられるわけではないんですね。ここは大事なポイントなのだと思うのですが、フィリピンはまたパラオから最も近い商業国であり、パラオ自体に著明な産業がないこともあり、食材や菓子、調味料や飲料など多種類のものがフィリピンから輸入され、お店で売られています(あとはグアム経由で米国からの輸入品と、日本や台湾からの輸入品が目立ちます)。
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日本 Japan

パラオ料理を語るのに、日本に触れないわけにはいきません。
パラオにおける日本の支配は、軍政時代(1914~1918)、民政時代(1918~1922)、南洋庁時代(1922~1945)の3つで、およそ30年にわたりました。パラオは日本が入る前はスペインやドイツに支配されていましたが、キャッシュクロップ(お金になる作物)の収奪、疫病の蔓延による人口激減など、それは過酷な時代だったそうです。しかし日本はそれらとは違い、道路や水道の整備、社会の仕組みや産業の構築、農園整備、そして教育などを施し、あくまで「パラオは日本」、つまり自国として発展させました。パラオ人を原住民・野蛮人・土人・・・の扱いをする欧州と違い、日本はパラオ人を同じ国民とした、そこが違うのです。なお、当時人口3万人のうち半分以上が日本人だったそうです。まさにパラオは日本だったのです。

日本敗戦後、パラオは米国の信託統治下に置かれます。けれど、米国はパラオの国の整備や発展は行わず、日本が作った橋や建物を壊してしまった(パラオは島が集まった国なので橋がないと交通が分断されてしまうのです)。その後韓国が橋を作ってもその橋は壊れてしまい、今あるきれいで丈夫な橋は結局後になって日本が作ったもの。という顛末もあります。

さて、話を料理に戻しましょう。
パラオが日本だった頃、日本は、パラオを日本として、共存共栄しました。それは、例えばフランスがアフリカのどこかの国をフランス領にすることや、イギリスが太平洋のどこかの国をイギリス領にすることとは比較にならないほどの強力な文化の伝播でした。それが日本とパラオには起こったわけです。

魚の身をスライスして生で食べる料理は、パラオ語で「サシミ」です。
サシミ」には「ショーユ」や「ワサビ」がつきます。でも、パラオレモンフィリピンのカラマンシーのような柑橘)をしぼって食べる「サシミ」も美味しいです。
魚を調味料で煮た料理は「ニツケ」です。
汁に入ったゆで麺は「ウドン」です(麺はスパゲティーを使っていますが)。
冠婚葬祭のように人が集まる場は「シューカン」と言い、仕出し弁当のように主食やおかずが何種類も入った「ベントー」が出されます。
具とごはんが一体化したものは「ムスビ」と言います。ごはんにスパム(コンビーフのような加工肉缶詰め食品)が乗ることが多いかな。
給食に出るようなパンがスーパーで売られており、その名は「コッペバン」です。
道端商店では揚げあんぱんが売られていて、「アブラバン」と言います。
赤い色素漬けのマンゴーの漬物は「オココ」(お香こ)です。若いマンゴーは酸っぱくて、きっと日本人がパラオの食材から梅干しのようなものを作りたくて、このオココが出来たのかもしれません。
インスタントヌードルは「サッポロイチバン」と言います(サッポロ以外の会社製でもサッポロイチバンと言います)。今やジャンクフード好きのパラオ人の大好物と聞きます。
沖縄のサーターアンダーギーにも似た丸い揚げパンは「タマ」と言います。大砲の玉が名の由来ですが、パラオ人男性は睾丸が「タマ」だと言うことも知っていて、愛嬌と悪ふざけで「タマ」を連呼することも(笑)。
パラオのお正月には「オシルコ」がかかせません。あんこの汁にたっぷりのおモチが入った食べ物です。

ビールを飲むことは、「ツカレナオース」(疲れを治す)。
「イッショニ、ツカレナオース」は、「飲みに行きませんか」。
アブナイ、ダイジョーブ、モンダイナイ。これみんな現代パラオ語。
美味しかったら、「アジ、ダイジョーブ!」と言えばいい。
もう一度言っておきますよ、これ、日本語として話しているんじゃないんですよ、パラオ人による現代パラオ語なんですよ・・・!
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料理名一覧 Food & Drink Glossary

【主食】
  • ウドン・・・ゆでたスパゲティーをスープに入れたもの
  • タピオカ・・・キャッサバ(木芋)
  • タロ・・・タロイモ
  • ムスビ・・・具とごはんが一体化したもの
  • ライス・・・ごはん
【野菜類】
  • カンクン・・・空心菜
  • ヤサイ・・・野菜
【魚介類】
  • ウカイブ・・・蟹の甲羅に蟹肉のココナッツクリーム和えを詰めて冷やしたもの
  • サシミ・・・お刺身
  • ニツケ・・・魚を調味料で煮たもの
  • フィッシュ・・・魚
  • ベルダックル・・・魚と柑橘の葉のスープ
【その他】
  • アブラバン・・・揚げあんぱん
  • オココ・・・酸っぱいマンゴーを赤色素で染めたもの
  • オシルコ・・・あんこの汁にたっぷりのおモチが入った食べ物
  • コッペバン・・・コッペパン
  • サッポロイチバン・・・インスタントヌードル
  • ショーユ・・・醤油
  • スパム・・・コンビーフのような加工肉缶詰め食品
  • タマ・・・丸い揚げパン
  • パラオレモン・・・小さな柑橘
  • ベントー・・・ごはんにおかず何種類かを詰め合わせたボックス
  • ワサビ・・・わさび
  • ワス・・・魚の骨を煮詰めて作る味噌状調味料

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パラオ料理」への2件のフィードバック

  1. うみ より:

    おしゃれな国に行きたいなぁ~と検索していたら、このページに着いて、パラオのイメージにびっくり!そんなに日本の言葉が蔓延しているって、学校で習うのでしょうか?みんな知るべきです。魚と柑橘の葉のスープが美味しそうなので作ってみたいです(^^)

  2. あづさ より:

    こんにちは。パラオ、海と自然がきれいな国っていうイメージだったけれど、私も行ってみて、日本と切って切れないつながりに、学ぶものが多かったです。あ、魚と柑橘の葉のスープ!!私も作ってみたかったんだった!!やってみます、ありがとう(作ったらレシピ載せますね)。

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