マーシャル料理

[last update 2018/10/08]

+++新着+++

  • 主食(米)」、「料理名一覧」の項を新規掲載しました(今後の投稿は、魚のおかず、ココナッツなどを予定しています)。
  • キリバスに国リンク挿入!

【基礎情報】

国名:マーシャル諸島共和国Republic of the Marshall Islands、首都:マジュロ、ISO3166-1国コード:MH/MHL、独立国(1986年米国の国連信託統治より)、公用語:英語、マーシャル語、通貨:米ドル

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【地図】

マーシャル諸島は29の環礁(1000以上の島)を領域とする広い地域です。西は北マリアナ、南西はミクロネシア連邦、南はキリバスと海域を接しています。

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◆日本に多大に影響されたミクロネシアの食文化、そして米国コンパクトの結果。

皆さんは「ミクロネシア」の範囲をご存知でしょうか。現在の国家体制では、パラオ、ミクロネシア連邦、グアム、北マリアナナウル、マーシャル、キリバスの7か国で、「太平洋の小さな島々の北半分(アジアと米国の島を除く)」と言うとイメージしやすそうです。大日本帝国時代は多くが日本の領土(南洋庁)であり、イモと魚とココナッツを軸とするミクロネシアの伝統食文化は、日本が入ったことで歴史的変遷を迎えることになります。それは米です。貯蔵が効き、簡単に炊ける米は、タロイモなどよりも遥かに手軽で尚且つ美味しくて、ミクロネシアの多くの地域で主食が米に置き換わりました。そしてマーシャルの場合は、もう一つ、米国の核実験の舞台となった歴史も食文化に影響を与えています。

サシミ
食堂でサシミを注文したら内臓と皮を取った新鮮な魚(骨つき)でした。(撮影地マジュロ)

「マーシャル料理をアメリカナイズと言う人もいるけれど、いやこれは何より日本ナイズでしょ?」と、マーシャルに行って料理を食べ地元の人の話を聞くと、新しく確信する思いがありました。

現在の国家体制を ”取り払って” ミクロネシアの島を並べると、ざっと、パラオ、ヤップ、グアム、北マリアナ、チューク、ポンペイ、コスラエ、マーシャル、ナウル、キリバス、のように並びます。このうち日本の南洋庁(国連の信託で日本の施政下に入り統治された島々)が、パラオ、ヤップ、北マリアナ、チューク、ポンペイ(コスラエ含む)、マーシャルの6つです。日本敗戦後は信託統治の受任国が米国へ移管し、時代は東西冷戦へ。6つのうちマーシャルだけが米国の核実験場になりました。第五福竜丸(日本のマグロ漁船)の被曝は有名な話です。

マーシャルは、米国からの被曝補償金を他地域と分配するのは嫌なので、単独で独立国になっていきました。マーシャルは米国の操り人形、パラオはそうなりたくなくて独立が遅れた。FSM(ミクロネシア連邦という独立国)はいいやって早く独立した。今、ヤップ、チューク、ポンペイ、コスラエがFSMですが、核実験がなかったらマーシャルもFSMになっていたかもしれません。マーシャルの文化はミクロネシアの文化なのですから。

人と食の話をしましょう。マーシャル人(マーシャリーズ)は、2000年前にポンペイ経由で南から北上(東南アジアからの移動も含む?)してきたカロリン人です。北マリアナやグアムの主要民族であるチャモロ人とは肌の色から違い、マーシャル人がチャモロ人と違うことは旅行者の目からも肌の黒さから見てとれます。

ミクロネシアの食文化はイモと魚とココナッツが軸であり、日本統治の前は食文化を変えるような宗主国の支配はありません。しかし今や米や醤油が手放せない。日本の発明であるインスタントラーメンは米を凌ぐ勢いの彼らの主食となる。大好物のツナ缶は日本の商社が持ち込んでいる。結局のところ、主食が米とインスタントラーメンになったことは、決定的に日本が彼らの文化を変えた証です。

米国の影響はというと、マーシャルに物資やインフラが豊かとは言い難く、ハワイやグアムのような高層ビルや近代的イメージもありません。食文化においても、マーシャルは作物栽培に適さない土壌のちっぽけな島なので、米国のような農業大国と比べること自体が話にならない。「アメリカナイズ」という言葉は、マーシャルの首都のマジュロでレストランのメニューに「Beef steak」を見たり、ドーナッツとコーヒーが人気軽食、アメリカ人駐在員が集まりそうな冷えたビールが置いてあるナイトバーがあり、地元の人と割と英語が通じること、通貨が米ドルであること、料理名が英語で表記されることなど程度で、あまり感じません。

マーシャルは、魚を食べて生きる人々であるはずなのに、魚は放射能、つまり、米国の実験で文化が壊された。米国が支払うコンパクト(補償金)と軍事島レンタル料(年間約180億円!)で生きていけるので、もともと怠け者の南の島の気質、働かないマーシャリーズ(最小限のみ。無駄な労力は使わない)に拍車がかかり、産業が潰れた。魚を獲らなくなってツナ缶に。米が便利で美味しくて楽だからタロイモを作らない。ココナッツを採れば中の美味しいジュースが飲めるのにペットボトルのジュースを買う・・・、ミクロネシア食文化の三大作物はこうして薄れています。それらが米国のコンパクトマネーの結果なのだから、食文化にもたらした米国の影響は、やはり大きいんだろうなぁ。

なお、米国のコンパクト額は減っており、2023年に打ち切りらしいです(※)。

※クワジェリンの軍事島貸し出しの打ち切り予定はまだありません。

でも、コンパクトマネーが入らなくなることに、意外とマーシャリーズは危機感を持っていない。この危機感の薄さがまたマーシャル。もともと大海を渡って大移動を経た人々の子孫ですから、生きる底力は強いのでしょう。食べるものがなくなったら海に入ればいい、ダメになったら他所へ移動すればいいと思っているという話も耳にしました。そんな彼らの強さを垣間見るマーシャルの旅は、なかなか楽しいですよ。

以上、序章は長くなりましたが、ミクロネシア地域の日本と密接な歴史、中でもマーシャルの被曝の歴史、米国なしにはマーシャルという独立国すらなかったことなど、マーシャルとマーシャル料理を理解するための基礎を書きました。これらを理解した上で料理各論を見ると、マーシャル料理の理解度が違ってくると思うのです。今後の投稿予定として、以下に主食から順に料理の各論を記載していく予定です。
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主食(米) Staple (Rice)

マーシャルの主食はライス(米)です。太平洋の民は伝統的にはタロイモなどを主食としてきたはずなのに・・・、米は精米したものを買えば簡単に炊ける一方で、イモは食べるまでに時間と手間がかかる。日本領になって米が普及したことを機に、今やマーシャル人はすごい量の米を食べます。マーシャルでは米は採れないため、オーストラリア、タイやカリフォルニア(米国)から輸入しており(カリフォルニア米は高価)、ロング種もジャポニカ種もあります。

ミクロネシア各国でよく見る、ごはん(酢飯ではない)に焼いたスパムを乗せて細いのりで巻いたものは、ムスビと言います。一方で海苔巻きはスシまたはチュジと言います。英語がきれいに話せる人はSushiをスシと言うものの、マーシャル語バリバリの会話の中ではチュジと発音されます。スシないしチュジ(寿司)は海苔にごはん(酢飯ではない)を広げてツナを具にして巻いたもので、たくあんが入ることもあります。ただマーシャルはごはんの炊き方がどこに行ってもイマイチですね。日本人が期待する寿司にはなかなか出会えません。

マーシャル独自の米料理には、パンケーライス(パンプキンライス)、ライスカラーイ(ココナッツオイルライス)、ボーボーバーまたはボーボーライス(ごはんを水と少しの砂糖で炊いてボールにしてココナッツフレークをまぶすもの)があります。

日本の影響でしょうか、弁当のような文化があります。紙箱に例えばライスチキンとちょいとサラダが入っている場合、チキンアンドライスのように呼び、小さな商店でも買い求めることができます。箱に入っていてもプレートと表現されることもあります(もっといろいろと詰め合わせになるとベントーと呼ぶようにもなります)。マーシャリーズの作るプレートは米が多く、おかずはちょこっとです。

スープは、スープという名でも日本語に訳せば粥という実態です。例えばフィッシュスープはツナ缶や冷凍ミックスベジタブル入りの塩粥です。
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料理名一覧 Food & Drink Glossary

【主食】
  • スシ(Sushi)・・・海苔巻き
  • チュジ(Sushi)・・・海苔巻き
  • ムスビ(Musubi)・・・ごはんとスパムミートを重ねて細い海苔で巻く
  • ライス(Rice)・・・米
    • パンケーライス(Banke rice)・・・パンプキンライス
    • ボーボーバー(Bo bo ba)・・・甘いごはんをボールにしてココナッツフレークをまぶす
    • ボーボーライス(Bo bo rice)・・・甘いごはんをボールにしてココナッツフレークをまぶす
    • ライスカラーイ(Rice kalaai)・・・ココナッツオイルライス
  • スープ(Soup)・・・粥
    • フィッシュスープ(Fish soup)・・・ツナ缶入り粥
【盛り合わせ】
  • チキンアンドライス(Chicken and rice)・・・ごはんと鶏料理のセット
  • プレート(Plate)・・・ごはんとおかず少しが入ったボックス
  • ベントー(Bento)・・・ごはんとおかず複数が入ったボックス

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