カドンピカ?カドゥンピカ?チャモロ料理のアドボはカドゥンピカ。

北マリアナって、日本人には位置がピンときにくいですよね。その上「グアム」って、名前は超有名でも、太平洋上の場所をちゃんと指せる人は少ないかもしれません。

そもそも、北マリアナとグアムが異なる国でもグアムはマリアナ諸島に含まれるとか、北マリアナとグアムが異なる国でも先住民は共にチャモロ人であるとか、・・・日本と近い国なのに、なかなか知られないこともきっといっぱいあるものです。

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今日は、折角日本に近い国の位置も気になったので、島の位置を描いて頭に入れようと思い、半日を費やして作図を頑張っていました。

1)日本と南の海です。

ミクロネシア

2)島を入れました。

ミクロネシア

伊豆や小笠原、それからマリアナ諸島はなるべくすべての島を入れました。ミクロネシアの他の国は昔日本(南洋庁)だった主島を描いています。

3)島の名前を書きました。

ミクロネシア

グアムを除いてすべて第二次世界大戦までの日本/日本統治領です。

4)現在の国家区分を書きました(※)。

ミクロネシア

※ピンク直線はこの図画の範囲内における便宜的なものであり実際の海域を示すものではありません。

面白いですね。伊豆からパラオまでの一連の縦並びが、ヤップだけ横つながりでミクロネシア連邦(FSM)になっています(米国のせい)。

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では、チャモロ料理の話を追うための基礎を、再掲載します。

4)現在の国家区分です。

ミクロネシア

伊豆、小笠原に続く島々は、北マリアナからグアムへと続きます。

5)マリアナ諸島は以下の通りです。

ミクロネシア

つまり、小笠原の南にまだまだ島が続いていて、それをマリアナ諸島と言います。このマリアナ諸島の先住民がチャモロ人です。で、4)と5)を見比べると分かるように、マリアナ諸島のうちグアムだけ別の国として分離されています。グアムだけ分離されている理由は、北マリアナは日本領を経験しているがグアムはそうでないとか、グアムは米国軍事基地だが北マリアナはそうではないなど、決定的に歴史が違うことに拠ります。

で、そのチャモロ人の作る現地の料理の「Kaddon pika」という料理が私の好物なのですが、Google検索結果(日本語)でカタカナ表記を見ていると、「カドンピカ」「カドゥンピカ」があり、表記が異なっています。・・・うーん・・・。

今回の記事は、今後自分自身がこの料理をサイトに掲載するにあたり、前もって「Kaddon pika」の適切な日本語カタカナ表記を決めたいと思い、検証しましたので、その過程と結論を記載します。

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英語版Wikipedia「Chamorro language」(≫こちら

カドゥンピカ

チャモロ語で「o」の音は「オ」と発音するようだ。
ということは、「Kaddon pika」は「カドンピカ」なのだろうか?
・・・でも、ちゃんと生の音を聞かないとね。こんなんで判断しちゃいけないよね。

Youtube「Guam Food: Kaddon Pika Spicy Chicken in Coconut Milk Recipe」(≫こちら

カドゥンピカ

綴り「Kaddon」に対し、
0:08 カドゥンピカ

Youtube「What’s Tina’s secret recipe for Kadun Pika?」(≫こちら

カドゥンピカ

綴り「Kadun」に対し、
0:48 カドゥンピカ

Youtube「Island Palate: Kadon Pika」(≫こちら

カドゥンピカ

綴り「Kadon」に対し、
0:33 カドゥンピカ

ここまで、綴りは揺らいでいる(Kaddon、Kadun、Kadon)のに対し、発音はすべて「カドゥン」だ

Youtube「KADUN PIKA: Spicy Chicken Stew」(≫こちら

カドゥンピカ

キター!! さっき見た文字だ!!
綴りが「Kådun」だっ!!

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英語版Wikipedia「Chamorro language」(≫こちら

カドゥンピカ

図は上の再掲載。
チャモロ語には「A」と「Å」があります。
どちらも日本語カタカナ表記にすると「ア」と置けるものなのだが、「A」は「æ」の音(エとアが混ざる)、「Å」は「ɑ」(ア)の音とのこと。

だから、先ほどの「Kådun」は、「カドゥン」だ。

もうちょっと正確なことを言うと、スープを意味するのは「Kådu」または「Kå’du」(カドゥ)で、後ろに言葉が置かれて修飾語句になると「Kådun」(カドゥン)。

現代では「Å」は単に「A」と記されることも多くなっているらしい。だから「Kadu」(カドゥ)または「Kadun」(カドゥン)にもなる。

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おそらくこのケースは最初に発音ありきなのだ。だから、音声はすべて「カドゥンピカ」だったが、綴りがゆらぐので、数例を見ただけでも「Kådun、Kaddon、Kadun、Kadon」とブレが大きかったのだと思う。

しかし、「Kadon」や「Kaddon」を見てしまった日本語話者が、音声を尊重せずに単語を見た目でカタカナにしてしまったために「カドン」となり、それがステレオタイプで拡散されてネットで散見されてしまわれているのではないかと思う。

綴りのブレは地域差なのか。ひょっとしてもっといろんな地域で肉声を集めたらカドンもあるのか。それは今は分からないが、私は上のように仮説を立てるようになり、一応の自己解決を見ている。少なくとも冒頭の命題である「Kaddon pikaの適切なカタカナ表記は?」に対して「カドゥンピカ」という答えが導けたので、成果はあったように思う。

【結論】
チャモロ人の作る料理には「カドゥンピカ」がある。カドゥンの表記は「Kådun、Kaddon、Kadun、Kadon」などの揺らぎが見いだされたが、確認した範囲では発音はすべて「カドゥン」であり、たとえ表記を「Kaddon」や「Kadon」とするものでも「カドン」と読む者はなかった。よって、当サイトでは、日本語カタカナ表記は「カドゥンピカ」とし、チャモロ語表記にはオリジナル表記である「Å」を使用する「Kådun」を第一候補に使用する予定である。

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なお、「カドゥンピカ」(Kådun pika)は、チャモロ人の作るアドボです。よくあるレシピとしては、骨付きの鶏肉を使い、ココナッツミルクと唐辛子で、「ピリ辛・ほの甘・旨辛♪」に作ります。

更に言うと、もともと煮物や煮汁を意味する「カドゥ」(KåduまたはKå’du)は、スペイン語のカルド(Caldo、スープ類のこと)に由来するのでしょうね、きっと!!



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