ピラフのトルコ語は「ピラウ」か「ピラヴ」か。「Pilav」と「Pilavı」の違いを知る。

トルコ料理の、ブルグルのピラフを作りました♪

ブルグルピラウ

料理名は「Bulgur pilavı」です。さて、この料理名は、何と日本語カタカナ表記すると良いのでしょう? ピラウ?ピラフ?ピラヴ?・・・しかもピラフって通常トルコ語だと「Pilav」。

私にとって、「世界の料理」に取り組むことは多言語の学習でもあります。今日は、「ピラフ」のトルコ語は「ピラウ」か「ピラヴ」か。それから、「Pilav」と「Pilavı」の違いについて知りたいと思い、取り組みました。

大前提として、日本語カタカナ化というのは、不正確は覚悟の上で行うべきこと、あくまでその言語が不慣れな者の利便にすぎないことは分かっています。でも私の場合はレシピを掲載するにあたり、料理名が日本の文字で表記できないと意味がないので、その目的のためにカタカナ化を行っています。

* * *

1)Wiktionary「pilav」(≫こちら

ピラウ発音

「Pilav」か「Pilavı」か。そういった語尾変化でつい連想するのは、単数形・複数形です。いわゆるピロシキが、ロシア語単数形ではピラジョク(пирожок)、複数形ではピラシキ(пирожки)になるような。

でも、「pilav」も「Pilavı」も単数形でした。

「pilav」はNominative、すなわち主格と書いてあります。
「Pilavı」はDefinite accusative、すなわち対格と書いてあります。
主格は「私は」みたいな。対格は「私を」みたいな。

でも、今回の場合、ピラフ全般の「Pilav」とブルグルのピラフ「Bulgur pilavı」の差だから、単語の格は変わっていないと思います。

2)ケバプとケバブの違いをまとめました-トルコ語の「ABという表現」(複合名詞)(≫こちら
これは私の昔の日記。以前、トルコ料理の「ケバプ」について、トルコ語で「Kebap」(ケバプ)だったり「Kebabı」(ケバブ)だったりする、属格語尾を勉強したときの記憶です。

属格語尾変化。語尾が変化するという話です。

3)Google Books「ゼロから話せるトルコ語」(≫こちら

ピラウ発音

トルコ語名詞の属格語尾について見つけました。画像の見出しのような「何々の何々」という表現です。まさに「ブルグルのピラウ」の謎を解くキーが見つかりそうです!
例が良く、
お医者さん=doktor(ドクトル)
かばん=çanta(チャンタ)
お医者さんかばん=doktor çantası(ドクトルチャンタス)

「お医者さんかばん」という一般的なものを指すのなら「ドクトルチャンタス」。もし「そのお医者さんが持っているかばん」のようにお医者さん側を特定する意味をなすなら「ドクトルンチャンタス」(doktorun çantası)になる。だから、「ブルグルを使ったピラフ」(Bulgur pilavı)の場合は、ブルグルは一般名として使うのでブルグル自体は語尾変化しないことになります。

つまり、「ブルグルのピラフ」(Bulgur pilavı)の「pilavı」は、「ブルグルの」ピラフということで、「pilav」が「pilavı」に語尾変化したものです。

4)発音
「Pilav」や「Pilavı」の「Pi」はピ。「la」はラ。

「v」の音は、ここでは「ウ」としようと思います。
理由1)私が実際にトルコ現地で聞いたとき「Pilav」を「ピラウ」と言っていた。
理由2)「東外大言語モジュール」>トルコ語f, v(≫こちら

ピラウ発音

ここには、要は、唇の摩擦音(ブやヴ)ではなく、接近音(フやウのような音)になるということ。
(抜粋引用:「vは有声唇歯摩擦音[v]あるいは有声唇歯接近音[ʋ]で実現します。音素はそれぞれ/f/と/v/になります。vが有声唇歯摩擦音[v]で実現する音環境は、語中におけるşあるいはtの直後かつ音節頭といった環境です。それ以外の音環境では基本的に有声唇歯接近音[ʋ]で実現します。有声唇歯接近音[ʋ]が実現する環境では、自由異音として有声両唇軟口蓋接近音[w]で実現する場合があります。」)

ネットで生の発音(の録音)を聞ける場所で幾つか聞くと、トルコ語の「v」の音には揺らぎがあることが伺えます。ヴっぽかったりフっぽかったりウにしか聞こえなかったり。揺らぎがあると断言している記述もあります。

5)Google Books「ゼロから話せるトルコ語」(≫こちら

ピラウ発音

この巻末辞書にも「Pilav」を「ピラウ」と書いているので、揺らぎがあることは大前提としても、ピラウと表記することに問題はないように思います。

なお、「Pilavı」の「ı」はウです。

ではここで新たな疑問が。「Pilavı」と「Pilav」で、「v」の音は変化するのでしょうか?

6)Youtube「Bulgur Pilavı Tarifi #mucizelezzetler」(≫こちら

ピラウ発音

0:43 ブルグルピラウ
ピラウは、「Pilavı」になってもピラウ。

7)Youtuve「Tavuklu Tereyağlı Bulgur Pilavı Tarifi / Ustadan Al Tarifi」(≫こちら

ピラウ発音

0:10 ピラウ
1:33 ブルグルピラウ

ピラウは、「Pilavı」になってもピラウ。

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【結論】
日本語で「ピラフ」と表記される穀類に味をつけて炊く料理は、トルコ語では「Pilav」(ピラウ)。これが材料名を前につけて「ブルグルのピラフ」といった名称になるときは、ピラフの語尾に「ı」(ウ)がついて「Bulgur Pilavı」(ブルグルピラウ)という名称になる。ピラウの「ウ」は日本語の「ウ」とは必ずしも同一ではないが、「ウ」と表記して差し支えない。

* * *

ブルグルは一般に「挽き割り小麦」と呼ばれる、中東料理でよく見る食材です。日本で一般的に売られる食材ではなく、これを初めて使うまでは、とても特別な食材だったこともあって、調理になかなか手が出ません。でも作ってみると、早く火は通るし、お米のほうがはるかに調理に失敗しやすい。つまりブルグルを使うと料理が失敗が少なく、しかも美味しい料理が作れると思いました。日本人はお米好きなので、粉モノもいいけれど、穀物の粒が感じられる料理は日本人の味覚に合っていると思います。

「ブルグルピラウ」は、砕けた麦を使う炊き込みご飯です。私のレシピでは羊肉を使って美味しさがパワフル♪♪ 美味しいので是非作ってみてください。

ブルグルピラウ

本記事、レシピ内容及び写真の著作権はすべて管理人:松本あづさ(プロフィールは≫こちら、連絡方法は≫こちら)にあります。読んでくれた方が実際に作って下されば嬉しいですし、料理の背景やTipsなど、世界の料理情報の共有を目的として、大事に作成しています。
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