中国の「一斤」の水餃子のレシピ化のために中国人に質問し、重量変化を自己測定しました

2016/03/11

水饺(シュイチャオ)

水饺(シュイチャオ)

中国の、特に揚子江あたりから北になると、小麦を主食とする文化が強くなります。日本だと餃子はごはんのおかずですが、中国では、皮が主食で具がおかずとなる、パーフェクトな一食です。

現地での注文の仕方は、「1皿でいくら」というメニュー表記もありますが、「イージン(一斤)」、「パンジン(半斤)」、「イーリャン(一两)」という単位で注文します。しかしイージン(一斤)が500 gということは知識で知っていても、それが、餃子の重さにしたら、とてもじゃないけれど500 gには見えないほどたくさん出されて驚いたことがあります。

<最初に結論>
イージン(一斤)は皮を作る前の小麦粉の重さとして500 gなので、具が入り、皮の生地をこねたりゆでることで水分が入ることで3倍の重量になる。
よってイージン(一斤)の餃子を注文した場合、伝統的な量としては1.5 kgの餃子が運ばれてくる。

そこで、「水饺(シュイチャオ)」をレシピ化するにあたり、「イージン(一斤)の餃子の重さ」をきちんと数値化するために、キッチンで実験をしました。

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山東省出身で日本語が完璧に堪能で(名前を聞くまで中国人だと思わなかったほど)、日本の大学に勤務される准教授の先生にメールで伺った返事が、以下の通りです。先生とは親しくさせていただいており、また、山東省は中国の中でもかなり餃子の本場です。
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中国で、よく「斤」「両」を重さの単位にします。グラムとキログラムも使うけど、民間特に田舎のところでは「斤」「両」を使うところが多いです。
1斤(イージン)=500グラム。
1斤(イージン)=10両(シーリャン)
「皮を作る粉の重さ」については、一般的に練る前の粉の重さです。即ち水分なし状態、乾いた粉の重さ。
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ちなみに、広東省に住む日本語が堪能な中国人友人(大学で日本学科専攻)に聞いたところ、「餃子の重さのルールはよく分からない」と言っていました。中国全土に餃子は広まってはいるものの、やはり米食文化圏の南方では、餃子文化へのなじみが薄いのだなと思いました。

さて、「イージン(一斤)は、皮を作る粉の重さで500 g」ということが確認できたので、次に、予備実験として、調理過程での重量の変化を記録しました。レシピは、≫こちらです。私は半斤(パンジン、餃子を作る前の小麦粉のみの重さとして250 g)でレシピ化しています。

①皮を作る生地の量
粉250 g+水115 g+塩3 g=理論上368 g
→実測で363 g(水分蒸散や器具に粉が付着してもっていかれたため減少)
②具の量
ひき肉+ニラ(洗ったあとの付着水分を含む)+調味料=実測で265 g
※この日はニラが少し多かったのですが、レシピどおりだと250~260 gくらいに収まると思います。
③成形する前の皮と具の重量
実測値①+実測値②=628 g
④打ち粉をして包んだあとの重量
生地と具を36等分にし、生地に打ち粉をして延ばして包みました→実測値633 g(打ち粉を含んだため増加)。
⑤ゆであがり
ゆでたら748 gでした。

<実験結果>
半斤(パンジン、250 g)の小麦粉を使い、中国現地の餃子に限りなくサイズや具の比率などを似せて餃子を作ったら、36個の餃子が出来、総量は748 gだった。
よってイージン(一斤)なら、1.5 kgの餃子が出来上がる。

覚えやすく言うと、粉が餃子になると3倍の重さになります。

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中国現地では、一两(イーリャン、一斤(イージン)の1/10=50 g)と注文すると小さめサイズの餃子で7個買えます。上の調理実験で半斤(パンジン)で36個だったのでこの1/5だから一两(イーリャン)で7個で合ってますね。ちょっと大きめだと6個です。

水分を含まない元の粉の重さを250 gにするレシピが、パンジン(半斤)の餃子レシピです。
上の場合では、
①→②→③:粉が水を吸って皮になって具を包んで餃子になると、重量は250 g→628 gすなわち2.5倍。
③→④:打ち粉をする過程で、重量は628 g→633 gすなわちほぼ変化なし(1.01倍)。
④→⑤:ゆでる過程で、重量は633 g→748 gすなわち1.2倍。

①→⑤:粉が餃子になる過程で、重量は250 g→748 gすなわち3.0倍。

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中国現地では、「パンジン(半斤)」と注文して2人でシェアして食べる光景をよく見かけます。

2人分の餃子が⑤748 gとすると、1人分の餃子が374 gです。

ゆでる過程で具に重量変化がないと仮定すると、2人分の具が265 gなので、2人分の皮が748-265=483 g。

つまり、パンジン(半斤)の餃子で、1人あたり主食の炭水化物部分を242 g、お肉と野菜のおかずを133 g食べることになります。

ちなみに主食の炭水化物242 gはごはん大盛りの量です。
おかずが多すぎずちょうどいいですね!

最後にもう一回書いておきます。

覚えやすく言うと、粉が餃子になると3倍の重さになります。

下の写真は7個なので一两(イーリャン)ですね(*^ ^*)

水饺(シュイチャオ)

中国一人旅で「餃子一斤(イージン)頼んで積んだ」的な失敗談をよく聞くのは、上の10倍の餃子が出てきたためです(お疲れさまでした)。


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本記事、レシピ内容及び写真の著作権はすべて管理人:松本あづさ(プロフィールは≫こちら、連絡方法は≫こちら)にあります。読んでくれた方が実際に作って下されば嬉しいですし、料理の背景やTipsなど、世界の料理情報の共有を目的として、大事に作成しています。
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