フィンランドはどんな国?
まるで妖精が現れてきそうな、森と湖の国です。
フィンランドには、「カラクッコ」(kalakukko)と呼ばれる、黒パンの生地に魚肉を詰めてオーブンで焼いた料理があります。東部サヴォ地方の郷土料理で、サヴォの中心都市であるクオピオにはたくさんのカラクッコベーカリーがあり、また盛大なカラクッココンテストも開催されるのだそうです。
「カラ」(kala)はフィンランド料理名によく登場する「魚」という意味の単語です。
では、「クッコ」(kukko)は?
辞書的な意味は、雄鶏です(英語でrooster)。
そこで、英語も堪能なフィンランド在住フィンランド人の友人に、クッコの語源を聞いてみました。
会話の抜粋ですけれど、こう言っていました。
「Yes, actually “kukko” means “rooster”, but in Eastern Finland it also means a kind of bread (loaf) filled with e.g. fish or root vegetables. There is also a “lanttukukko” (lanttu is swede/rutabaga).」
(確かにクッコは雄鶏という意味だ。だけれども、フィンランド東部ではクッコは、例えば魚や根菜を内包したパン料理を意味する。ラントゥクッコというものもあるね(ラントゥはカブ)。)
なるほど。すでに、語源を考えるまでもなく「クッコ」は料理名になっている。
うん、私もそれでいこう。
例えば、「椅子」の語源って、椅子があまりに日常的すぎて、「椅(よりかかる)子(もの)」という由来を踏まえなくても、「椅子は椅子」でよい。
日本料理だと、天ぷらもそれに近い。天ぷらが日常的すぎて、「ポルトガル語のtemperar」という由来を踏まえなくても、「天ぷらは天ぷら」でよい。
もっと言えば、「梅雨」は6月あたりの多雨を言う言葉であって、その語源として「梅」を考える人は稀であるのだ。「梅雨とは何か」と外国人に聞かれたら、誰だって「日本の雨季」と答えるであろう。
フィンランド人のクッコの話を聞いたら、クッコはクッコでいいのだと思いました。そして「クッコとは何か」と聞かれたら、「生地で魚や根菜を包んで焼いた料理」と答える。これでいいのだと思いました。