なぜだろう、自分が海外旅行をあまりしていないうちから、中国西方の陸路国境越えに憧れを持っていた。
昔から憧れていたんです。

上の地図のピンは、新疆ウイグル自治区からカザフスタン東部へ抜ける国境で、国境の町はコルガスと言う。中国語表記で霍尔果斯、カザフ語ではҚорғас、英語アルファベット表記ではKorgas。
上の地図に「新疆维吾尔自治区」と書いてあるエリアが新疆ウイグル自治区で、そのど真ん中から少し北東に自治区首府の乌鲁木齐(ウルムチ)の街がある。
私は新疆ウイグル自治区ではトルファンやウルムチを観光したのち、カザフスタンの国境の街へ向かった。夜行バスでの移動だ。今回の記事は、そのときの旅の思い出として、ウルムチから西方国境の移動の夜間に出会った食の感動を記載する。
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わーすごい!こんなの初めて!
なんと寝台バスが走っていましたよ。

当時夫に「世界で中国にしかない乗り物、乗る?」と言われて「うん!」と速攻返事をしたもの、それが寝台バスです(※)。
※後日談ですが、中国から緩やかに世界に進出したようで、インドでも見かけたことがありますが、寝台バスと言えば中国という図式は確かにありました。
バス車内に3列になって2段ベッドが並びます。私は窓側の2階をゲット☆ これ一番快適なパターンでしょ。
バスは中国の西の果てへ向けて出発します。
途中バスは休憩のため五工台站(ウーゴンタイジャン、五工台停留所)に停車。そこでは夜であっても軽食を売る人もいて、電熱鍋にわくわくする煮卵発見!

こういう味付きの煮卵は中国語で茶蛋(チャーダン)と言います。ゆで卵の殻にヒビを入れてから茶葉と醤油の調味液に浸けるもので、中国や台湾ではあちこちでこうして電熱鍋にたっぷり入る光景を見かけますね。
でもね、私にとって、電熱鍋にたっぷりの、いい香りが漂う茶蛋(チャーダン)を見たのはこの日が初めてで、「いいなあ、こういうゆで卵、いいなあ」と、素直に喜びを感じたのでした。ちょっと感動。
二度目の休憩はもう深夜。

店の看板には「原鸟市回族人餐庁」(ユェンニャオシーフイズーレンツァンティン)と書かれており、意味は「ウルムチ本場の回族料理レストラン」。
回族は、イスラム教徒のうち漢語以外の言語を母語とする民族(ウイグル人など)を除外した人という「定義に基づく民族」であり、簡単に言うと「漢語を母語とするイスラム教徒」を指します。ここで皆さん食事をするようなので、私も、深夜ではありますが、食事をとることにしました。
カウンターで注文します。

おや、回族はイスラム教徒でも、その回族の看板を掲げる店の中ではビールが販売されていましたっけ(受付女性の左後方、画面右)。
よく私が、どこそこ(ムスリムの国や町や店や家)でお酒や豚肉を見かけた(あるいは厳然たる事実として喫食もした)体験を語ると、それに対して鬼の首を取ったかのように興奮して反撃というか攻撃(WEB上とかで)してくる人がいるんですけど、何なんでしょうね。「そうあるべき」や「そうであってはならぬべき」という「べき論」はあってもいいけど、体験した事実を否定するか? 今どき宗教の信仰が薄れている風土はいくらでもあるっちゅーの。今これだけ漢民族(食に禁忌がない民族)がすみずみまで定着している中国ですから食文化だって漢化してきているんだ。戒律に薄い若者もいるんだ。そういう現実の体験談は受け入れてほしいし、外野(日本)にいる日本人が世界の現実を、行ってもいないのにべき論だけで語るもんじゃないと思うけどな。私としては「自分で現地を見てきてごらん」と言いたくなりますが、そういう反論はこっちの体験や現実が正しい以上論破になっちゃう。私は「論破はよくないよ」という持論の持ち主なので結局のところ反撃はしませんね。つまり、穏やかでいいわー、私。ということで。
話がそれて長くなりました。ところでこの店、中国ではあまり見ない食券制ですね。バス客が多いから一気に大勢来ることを想定した体制なのでしょう。

食券の左側(ピンクの紙)のものを注文しました。丸子汤(ワンズタン、肉団子スープ)です!
美味しそー♡♡♡

ここに来るまでも中国の料理をいろいろ食べているのだけど、この丸子汤(ワンズタン)には大感激! 丸子(ワンズ)=肉団子、汤(タン)=スープなので、丸子汤(ワンズタン)は「肉団子スープ」の意味です。肉団子は揚げてから入れてあり美味。その他、ネギ、まいたけ、豆腐、春雨、チンゲン菜など、野菜類もたっぷり入った醤油ベースの美味しいスープだったのです。横には花卷(フアジュエン、発酵した小麦粉生地を蒸した主食)が添えてあります。
とってもとってもとってもとっても美味しくて、まだ日本を離れて長旅を開始したばかりなのに、「日本に帰ったら絶対作ろう」と思ったのでした。
また下の写真は、食事休憩で停車した場所の光景です。多くのバスが停車しており、夜も暗いのに賑わいがありました。

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バス車内で就寝。朝6時、ふと目が覚めると息を呑むほど美しい湖「サイラム湖」(賽里木湖)が見えました。

風景は、北も南も険しい雪山です。

そうしていよいよ霍尔果斯(コルガス)に到着。
中国の西の果ての街です。


霍尔果斯(コルガス)では何も観光しないので、食事をとったらすぐにカザフスタンへ抜けました。
憧れの陸路国境越えは、分からないことばかりだったけど、パスポートを持って、カメラをしまって、おとなしく進む方向に進むだけの、機械仕掛けの通行でした。
でも、この霍尔果斯(コルガス)国境に来るまでの最後の大移動 -烏魯木斉(ウルムチ)からの夜行バス移動- が、憧れていた「秘境へ向かう夢」を叶えてくれる、忘れられない思い出となる旅だったのでした。
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☆後日談☆
美味しくて「日本に帰ったら絶対に作りたい」と思っていた丸子汤(ワンズタン)を、本当に作りました♪
