フランス語料理名における「au」は短母音の「オ」

2025/01/29

フランス語の料理名にはよく「au」がつきます。

コックオヴァン

「au」(オ)は方向性を指す単語である「à」(ア)と男性名詞の定冠詞である「le」(ル)の縮約形で、例えば「au vin」(オヴァン)なら「ワイン仕立ての」といった意味になります。ここで失敗。私は複数箇所に出てくる「au」を「オ」とも「オー」とも表現してしまったのです。「発音を確認しながら」やってきたために、基本が定まらないままぶれた記載をしてきてしまいました。発音確認だと短母音の「オ」もゆっくり話せば「オー」に聞こえちゃいますしね…。

フランス語の「au」が「オ」か「オー」かの認識を混乱させる因子の1つが「Sauce」や「Australia」など日本語では「オー」と呼ばれる馴染みある用語の存在です。「Sauce」は日本語では「ソース」ですが、フランスやその周辺国、アフリカ、カリブ海、北米、太平洋などなどに残る元フランス領や現フランス海外領土などでフランス語話者と会話しても、彼ら、「Sauce」を「ソス」と言うんですね。

今回「au」がフランス語では「オ」の短母音となることを確認し、「Sauce」以外の料理用語事例も挙げて今後の正しい日本語カタカナ表記ができるよう勉強しましたので、ここではその検証を記事にします。

* * *

Youtube【フランス語読み方の決まり】o, au, eau(≫こちら
0:47 「auでオと読みます」

フランス語の母音発音ガイド:綴りと記号の基本(≫こちら
saucisse [sosis][ソシス]

外国語学習の難点とその克服-フランス語発音覚書-(≫こちら
「フランス語には二重母音や長母音がなく、すべて短母音である」
[o]がauあるいはeauで表される。

フランス語Wiktionary「Sauce」(≫こちら
発音記号は、[sos]

【結論】
フランス語でソースの綴りは「Sauce」で発音は「ソス」。


* * *

しかしですね!?

フランス語圏を旅して、宿(auberge)を「オーベルジュ」、なす(aubergine)を「オーベルジン」と言って会話してきたのは何だったんだろう?

フランス語Wictionary「aubergine」(≫こちら
発音記号[o.bɛʁ.ʒin] やっぱり記号上は短母音の「オ」なのか。

aubergine の発音の仕方|forvo(≫こちら
英語話者もフランス語話者も「オ」にアクセントを入れて読んでおり、アクセントがつくから耳には「オー」にも聞こえる。

オーベルジュ(Auberge)もそういうことだったんだね。「au」は短母音の「オ」でもアクセントがつくから「オー」にも聞こえていたんだね。

日本人は「Australia」がオーストラリアとか「august」(8月)が「オーガスト」だから、そういう習慣に引っ張られて「au」を「オー」と言ってしまいがちだ。でもフランス語の基本ではあくまで「au」は「オ」。アクセントがつくときは「オー」にも聞こえがちだが、基本は「オ」としていくほうがいい。

* * *

日本語化したフランス語の「au」はどうでしょう? 料理用語で探してみました。

  • 「Cafe au Lait」=カフェオレ
  • 「Pot-au-feu」=ポトフ

日本に定着した用語から見ても、「au」は「オ」でいい。

すぐ使える!短いフランス語表現2050(ヴィンセント・フロッテ監修、コミュニケーションズ ・リサーチ21編、実務教育出版)(≫こちら

私がフランス語を勉強し始めたときに数冊買った書籍のうちの1つです。フランスやアフリカを旅したかったのでこういう本も買いました。この書籍では「au」や「aux」はすべて「オ」の読み仮名がつけられています。

* * *

プレオビネグル

このように、料理名に「au」が入るフランス料理はたくさんあります。今まで「au」の日本語カタカナ表記として「オー」と「オ」を混在してきてしまいましたが、基本姿勢としては今後短母音の「オ」で記載していくよう改めます。

【結論】
フランス語の「au」のカタカナ表記は「オ」。強アクセントの存在や現地発音に合わせる事情があれば「オー」の表記も生じうるが、基本は短母音の「オ」とする。

ということで、オルボワー!(Au revoir、じゃね、またね、さようならのような言葉)←これも「au」が「オ」ですね♪



* * *

本記事、レシピ内容及び写真の著作権はすべて管理人:松本あづさ(プロフィールは≫こちら、連絡方法は≫こちら)にあります。読んでくれた方が実際に作って下されば嬉しいですし、料理の背景やTipsなど、世界の料理情報の共有を目的として、大事に作成しています。
出典URL付記リンクを貼れば小規模な範囲でOKなこと】
・ご自身のサイト、ブログ、FacebookやTwitterにおける情報の小規模な引用や紹介。
事前連絡出典明記をお願いします】
・個人、団体、企業等の活動や出版等で、当サイトおよび当管理人のもつ料理レシピや写真を活用・使用したい場合(料金は≫こちら)。
事後連絡でもよいのでお寄せ下さい(楽しみにしています)】
・学校や大学の宿題や課題で当サイトを活用してくれた児童・生徒・学生さん。
ご遠慮ください】
・大々的なコピペや読み込み、出版物への無断転載。
・商用非商用ならびに営利非営利を問わず、個人、団体、企業等の活動や出版等での無断使用。
※免責事項:上記の引用に基づいて万が一損失・損害がありましても、対応はユーザーご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。