フランス語の料理名にはよく「au」がつきます。
「au」(オ)は方向性を指す単語である「à」(ア)と男性名詞の定冠詞である「le」(ル)の縮約形で、例えば「au vin」(オヴァン)なら「ワイン仕立ての」といった意味になります。ここで失敗。私は複数箇所に出てくる「au」を「オ」とも「オー」とも表現してしまったのです。「発音を確認しながら」やってきたために、基本が定まらないままぶれた記載をしてきてしまいました。発音確認だと短母音の「オ」もゆっくり話せば「オー」に聞こえちゃいますしね…。
フランス語の「au」が「オ」か「オー」かの認識を混乱させる因子の1つが「Sauce」や「Australia」など日本語では「オー」と呼ばれる馴染みある用語の存在です。「Sauce」は日本語では「ソース」ですが、フランスやその周辺国、アフリカ、カリブ海、北米、太平洋などなどに残る元フランス領や現フランス海外領土などでフランス語話者と会話しても、彼ら、「Sauce」を「ソス」と言うんですね。
今回「au」がフランス語では「オ」の短母音となることを確認し、「Sauce」以外の料理用語事例も挙げて今後の正しい日本語カタカナ表記ができるよう勉強しましたので、ここではその検証を記事にします。
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◆Youtube【フランス語読み方の決まり】o, au, eau(≫こちら)
0:47 「auでオと読みます」
◆フランス語の母音発音ガイド:綴りと記号の基本(≫こちら)
saucisse [sosis][ソシス]
◆外国語学習の難点とその克服-フランス語発音覚書-(≫こちら)
「フランス語には二重母音や長母音がなく、すべて短母音である」
[o]がauあるいはeauで表される。
◆フランス語Wiktionary「Sauce」(≫こちら)
発音記号は、[sos]
フランス語でソースの綴りは「Sauce」で発音は「ソス」。
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しかしですね!?
フランス語圏を旅して、宿(auberge)を「オーベルジュ」、なす(aubergine)を「オーベルジン」と言って会話してきたのは何だったんだろう?
◆フランス語Wictionary「aubergine」(≫こちら)
発音記号[o.bɛʁ.ʒin] やっぱり記号上は短母音の「オ」なのか。
◆aubergine の発音の仕方|forvo(≫こちら)
英語話者もフランス語話者も「オ」にアクセントを入れて読んでおり、アクセントがつくから耳には「オー」にも聞こえる。
オーベルジュ(Auberge)もそういうことだったんだね。「au」は短母音の「オ」でもアクセントがつくから「オー」にも聞こえていたんだね。
日本人は「Australia」がオーストラリアとか「august」(8月)が「オーガスト」だから、そういう習慣に引っ張られて「au」を「オー」と言ってしまいがちだ。でもフランス語の基本ではあくまで「au」は「オ」。アクセントがつくときは「オー」にも聞こえがちだが、基本は「オ」としていくほうがいい。
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日本語化したフランス語の「au」はどうでしょう? 料理用語で探してみました。
- 「Cafe au Lait」=カフェオレ
- 「Pot-au-feu」=ポトフ
日本に定着した用語から見ても、「au」は「オ」でいい。
◆すぐ使える!短いフランス語表現2050(ヴィンセント・フロッテ監修、コミュニケーションズ ・リサーチ21編、実務教育出版)(≫こちら)
私がフランス語を勉強し始めたときに数冊買った書籍のうちの1つです。フランスやアフリカを旅したかったのでこういう本も買いました。この書籍では「au」や「aux」はすべて「オ」の読み仮名がつけられています。
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このように、料理名に「au」が入るフランス料理はたくさんあります。今まで「au」の日本語カタカナ表記として「オー」と「オ」を混在してきてしまいましたが、基本姿勢としては今後短母音の「オ」で記載していくよう改めます。
フランス語の「au」のカタカナ表記は「オ」。強アクセントの存在や現地発音に合わせる事情があれば「オー」の表記も生じうるが、基本は短母音の「オ」とする。
ということで、オルボワー!(Au revoir、じゃね、またね、さようならのような言葉)←これも「au」が「オ」ですね♪