アーユルヴェーダを暮らしに取り入れたいと思った私は、
アーユルヴェーダ白湯(さゆ)
を毎日実践しています。素晴らしいことと実感できています。この「アーユルヴェーダ白湯」について、前回より3回に分けて執筆しています。今回は2回目。
一般に、飲み物には、カフェイン、糖分、脂肪分、食品添加物、冷却など、摂りすぎを控えるべきものが何かしら含まれるリスクが高い。私は健康のためにも、こういうリスクの心配がない白湯(さゆ、湯冷まし)を気に入って常飲しています。毎日、夕食後から就寝前までの間の飲み物は白湯(さゆ)です。健康のためには不健康の元になる余計なものは採りたくないし、冷たいものも熱すぎるものも控えたいので、白湯は極めて優秀な飲み物です! そこに、少しの風味と美味しさを足すために、スパイスやハーブを少し入れるのが習慣です。
<目的>
私の目的は、アーユルヴェーダの理論を知り、各スパイスが体調に及ぼす影響を知り、その日の体調に合ったスパイスを選んで「アーユルヴェーダ白湯」を楽しむことです。
普通、日本で暮らしているとアーユルヴェーダに一切縁がないので、アーユルヴェーダを学び始めると突然ものすごい量の異質な知識事項が降ってきて、結局は難しくて何もできなくなってしまいます。私は難しいものを難しく実践するのは高位段階と捉えますから、ビギナーとしては学んだ上で日常生活で取り扱えるように知識の軽量化を行い、要は覚えやすく忘れないレベルまで落とし込むという手法を取ります、何事も。落とし込むほど語弊も生じますが、落とし込まないと何もできなくなるので、私個人の実践としては膨大な知識を軽量化して頭に入れておき、気軽に楽しむようにしたいのです。ただ最初から簡単なものだけを拾ってもいけないので、私はスリランカでアーユルヴェーダ体験と勉強をして、日本でスパイス大使を務めながらスパイスやハーブを日々使い込み、日本ではインターネットのアーユルヴェーダ講座も受講し、そもそも薬剤師/医療人として日本の医学科学にそぐわない事項は排除できますので、ともあれ勉強をしました。
では、簡単に捉えるバージョンということで、よろしければお読みください♪
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アーユルヴェーダは古代インド圏で培われた医療法や教訓で、空・風、火、土・水の五行説に基づいて理解されています。それを生理的に3分類したものがドーシャで、ヴァータ(Vata、空+風)、ピッタ(Pitta、主に火)、カパ(Kapha、土+水)があります。
ヴァータ(Vata、空+風)
「空と風」のイメージがあれば、今日の体調はヴァータ系かな?と思える。
ヴァータが強いときの兆候は「軽さ、空気、冷たさ」
- 軽さのイメージで、肌の乾燥、体重が減る、活動性アップ、気分が不安定、慌ただしい
- 空気のイメージで、お腹にガスがたまる、その要因としての便秘
- 冷たさのイメージで、冷え性
ピッタ(Pitta、火)
「火と油」のイメージがあれば、今日の体調はピッタ系かな?と思える。
ピッタが強いときの兆候は「火・熱・油」
- 火のイメージで、火照る・のぼせる、怒りっぽい、胸焼け
- 熱のイメージで、頑張る、競争、体の部位の炎症、消化力→空腹
- 油のイメージで、皮膚が脂っぽい
カパ(Kapha、土・水)
「土と水」のイメージがあれば、今日の体調はカパ系かな?と思える。土と水は安定した土壌です。重力があります。
カパが強いときの兆候は「安定、重力、結合力」
- 安定のイメージで、穏やかな気質、頭を使わない、怠惰
- 重力のイメージで、体が重い、運動不足→太る
- 結合力のイメージで、ひとつのことに執着する、ため込む、皮膚が湿って冷たい、鼻づまり、むくみ
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なお、3つの状態は、複合することにより7つの体調を作ります。
- ヴァータが高い
- ピッタが高い
- カパが高い
- ヴァータとピッタが高い(ダブルドーシャ)
- ヴァータとカパが高い(ダブルドーシャ)
- ピッタとカパが高い(ダブルドーシャ)
- 3つとも高い(トリドーシャ)
まずは、少ないですがこのくらいのことを定着させ、頭の引き出しをスムースに開けられるようにします。その後より詳細な知識が欲しくなったら本やサイトで知識量を増やせばいいです。ただしサイトの情報収集でしたら英語で行うことが大事です。英語のほうが膨大な情報量から生き残る価値あるサイトが見つかりますから信憑性が高いです。
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<状態を調える原則>
- 基本的に、ヴァータ(空+風)、ピッタ(火)、カパ(土+水)の突出を減らす。
- 足し算ではなく引き算を優先して対応する
- 例としては、寒いからピッタ(火)を足すためにホットなスパイスを積極的に取り入れるのはよくない(有害作用が出やすくなる)。ピッタが足りないということはヴァータとカパが優勢なダブルドーシャなので、冷えや怠惰を作っているヴァータとカパを下げることを軸に考える。例えばローズマリー白湯を飲むなど
みたいな。でもまあ、手軽に「ヴァータ(軽さ)を増やしたいからレモンバーム白湯にしちゃおうっと♪」みたいな、楽しいコントロールは現実的にやっちゃいますけどね(笑) じっくりとリストを見て選ぶなら「ヴァータ↑、ピッタ↓、カパ↓」を確認した上でレモンバーム白湯を作れます。リストは次回(3)で解説します。
<なぜアーユルヴェーダ白湯が効くか>
いつも思うのですが、スパイスをひとふり飲み物に加えたところで、影響の元になるのはそのスパイスの効能ではなく「スパイスを入れることによるプラセボ効果」と思うことにしています。薬学部の一年生でまず習うのは薬じゃないんですよ。私も大学一年生でプラセボを習いました。プラセボとは、飲んだ錠剤が薬を含んでいないのに薬が効いたかのような変化が現れることです(要は ”病は気から” の逆が起こっている )。プラセボは確かに実在する現象です。
実際、体が重いのに気ばかりが焦っちゃうようなときに、カパとヴァータを下げるスパイスを選んでヒハツとセージの白湯を飲んだら、なんか目の前がすっきりしてきて翌日はふっきれて回復したことも事実としてありました。とはいえひとふりのスパイスが覚醒剤だとは思わない。Cinii(≫こちら)などで成分の機能性の報告はいくらでも見かけますが、機能性は効能効果ではないのだからね。法制上日本では食品は効能効果を持たないので、その立場は崩したくないのです。そうでないと薬剤師としての私と両立できませんし、日本の医療とインドのアーユルヴェーダの両立もできないからです。でも日本の医療にインドのアーユルヴェーダが加わるのは非常に良いことだと思う。その理論として、日本の医療は科学的メカニズム(例:”エベロリムスはmTOR阻害薬”、”セレコキシブは選択的COX-2阻害薬” みたいな)、アーユルヴェーダは食品としての利用範囲内ではプラセボメイン。
でも私は、「自分がアーユルヴェーダを学んで、選べたことが嬉しくて、その嬉しさが気分を回復させてくれた」と、それが一番嬉しいのです。その実感がアーユルヴェーダの知識と一致するときは感激ですし、いずれどこかの機関が「実感」を科学的に検証した結果「レモンバームの成分のABCDEFが細胞内伝達システムSTUとの関連」が検証され、「世界初のヒト化抗STUモノクローナル抗体製剤としてのABCDEF誘導体」みたいに医薬品化されるかもしれない。それを想像するのも楽しいことです(楽しいんか?楽しいぞ笑)
そう。とりあえず今は、自分の何かを変えたいとき、アーユルヴェーダ理論を少し分かって「自分が選んで」取り入れるほうが、より「楽しさが増す」んです。選ぶって楽しいですから。それが現時点でのアーユルヴェーダ白湯の作用機序です!!!
バランスを調えたい。
楽しくやりたい。
こうしてバランスをとっていくことで、幸せになる。
これが私の思い描く目的です。
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暮らしのどこかにアーユルヴェーダを取り入れるなら白湯が一番簡単です! お湯を沸かして、お湯が沸くまでの間に今の自分の体調をアーユルヴェーダ理論で「今日は慌ただしく動いたな、ヴァータだな、ヴァータ減らそうっと♪」みたいに考えてメモを見てヴァータを減らすスパイスやハーブを選んでカップに入れて沸いたお湯を注ぐ。こんな感じですから。
この「アーユルヴェーダ白湯」の記事は3回に分けて執筆します。前回は(1)として「アーユルヴェーダ白湯」の取り組みと利点を、今回は(2)としてドーシャの解説と理解について書きました。次回は(3)としてスパイスやハーブごとの各ドーシャの影響をリスト化します。