私が世界の料理のレシピ化において気をつけていることの1つに、「多くのご家庭で作れるレシピにすること」と、「高額になりすぎないように一般家庭向けにコストを考えること」と、「しかしその料理の本質を失わず下手に日本人向けレシピにしないこと」というものがあります。
分かりやすく言えば、できるだけ本物を活かしながら日本で作れるようにするために、参考例として、日本に暮らす外国人が日本でどう調理するかを収集し、私もいつもその視点で材料を決めています。
そういう場合、規模としては、日本人の9割以上の人が自宅まわりの環境で作れるレシピにしたいと思うのです。そのほうが、絶対、優しさが込められたレシピになると思うからです。
そうですね、規模としては、人口5万人程度の市や町に住む人にも入手できる材料で、高額になりすぎずに世界の各国料理を作れるようにしたいとイメージを持っています。もちろんネットショッピングにあまり頼らずに、です。
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さて、タイ料理やベトナム料理を作るとき、しばしばぶつかる壁が、青パパイヤです。日本でも生産されていますが、そうそう出回らず、常時販売品目でもない。流通度が高いとは言い難い食材です。
でも、以前、日本に住んでいたタイ人とお話ししていたとき、そのタイ人主婦は「青首大根の首の部分が青パパイヤのかわりに良いわよ」と教えてくれました。
確かに!!
それ以来、私は、青パパイヤを少々必要とするくらいのレシピであって、青パパイヤが手元にないときは、大根の首の部分で代用しています。青パパイヤに酸味を加える料理のときは、大根の千切りにレモン果汁をかけておくと、不思議とシャッキリさも味わいも旨味も向上します。出来上がりが酸っぱい料理であれば先に大根にレモン果汁をかけておくことで出来上がりが美味しくなるのですね。
実例としては、ベトナム料理バンチャンチョンで紹介しています。
細切りライスペーパーのベトナム味の和え物。ライスペーパーや細切りの青パパイヤ(に見せかけた青首大根の首の部分)がね、「甘酸っぱ旨辛い」味と絡まって大絶品!
私も、在日外国人の友人や、それのみならずSNSを通じるなど多様な手段を使って、自分の理想の形態のレシピ化という信念が叶うよう「在日外国人が日本でどう代用するか」という情報を努めて収集しています。そして今後もまた、こういう情報を掲載していきたいと思います。