スパイスアンバサダーとして活動しています。今回の連載より、本タイトルの通り【葉野菜×スパイス×世界の料理】としてレシピを発信し、5回連載形式でスパイスアレンジレシピをお届けしています。
さて、葉野菜が嫌いな人がいるとのことで・・・
好き嫌いがあるよりはないほうがよいですよね。だから、嫌いな食材を好きにさせることはよいことですよね。そのためには様々な料理を食べさせてあげたい。料理Aで食べる意欲が増す子も、料理Bなら少し食べられたという子も、料理Cでやっと克服できたという子もいるでしょう。つまり、いつものキッチンで作る料理からレシピの幅を広げ、多様な料理を与えられるほうが成果を得やすいですね。その「たくさんの種」は、世界247か国の食文化を盛り込んだ「世界の料理」なら、新しい美味しさに出会える可能性が多大にあるのです。
・・・とちょっとこのように、「食育な」応援の視点から、私のレシピへ込める想いをお伝えしました。
* * *
連載第2回は、ニラで作るイラン料理、「アーシュレシュテ」です。
今の国名はイラン。でも、長い歴史の中でこの国は長く「ペルシャ」と呼ばれてきました。アーシュレシュテは農耕民族の野菜やハーブと遊牧民族の発酵乳製品の組み合わせで、まるでペルシャ/イランの文化の縮図のよう。イスラム教の断食月(ラマザン)に食べる料理ですが、家庭では日常的に作られる、滋養に良くて美味しいイランの代表料理の1つです。
レシピは簡単です。
材料(2人分):
<麺>
- 中力粉
- 100 g
- 塩
- 小1/3
- 水
- 40~50 mL
<スープ>
- 乾燥豆(※1)
- 1 C
- 玉ねぎ
- 1個
- にんにく
- 2かけ
- サラダ油
- 大2
- ターメリックパウダー
- 小1/3
- 塩
- 小1
- こしょう
- 少々
- 水
- 700 mL
- ほうれんそう(※2)
- 1束
- ニラ(※2)
- 1/2束
- コリアンダーの葉(※2)
- 1束
- イタリアンパセリ(※2)
- 1枝
- セロリ(※2)
- 葉をひとつかみ
- ディル(※2)
- 1枝
- フェヌグリークの葉(※2)
- 1/2 C
- ミント(※3)
- 刻んで大3
- サラダ油
- 大2
- 無糖ヨーグルト
- 1/2 C
※1:乾燥豆は、レンズマメとヒヨコマメとその他1種類といったように、3種類くらいをミックスするとよいです。
※2:緑の葉っぱ類は、合計で180~200 g(刻んでお茶碗山盛り3杯はある)を使います。4、5種類揃えばよいです。コリアンダーの葉はパクチーとも呼ばれるものです。フェヌグリークの葉はカスリメティとも呼ばれるものです。生のものは日本では出回っていないのですが、乾燥品であればイラン食材店ではもちろん、インドカレーの食材を売る店でよく取り扱っています。
※3:生のミントでも乾燥ミントでもよい。
作業工程:2 時間 30 分(豆を水に浸ける時間を除く)
- <豆の準備>乾燥豆を、前日からたっぷりの水に浸けておく。
- <麺づくり>中力粉と塩と水を混ぜ、力をかけてよくこねる。休ませてこねる作業を繰り返す。
- <スープ作り>玉ねぎを薄切りにし、にんにくをみじん切りにし、煮込みに使う鍋に入れ、サラダ油を入れて中火で加熱し、焦がさないように炒める。
- 玉ねぎとにんにくが茶色くなったら、仕上げのトッピングの分(スプーン2杯くらい)を取り出す。
- 豆をザルにあげて水気を切って鍋に加え、ターメリックパウダー、塩、こしょう、水を入れて火を強めて沸騰させる。
- 沸騰したらフタをして弱火で30分煮る。
- ほうれんそう、ニラ、コリアンダーの葉、イタリアンパセリ、セロリ、ディルなどの緑の野菜類を粗みじん切りにする。
- 豆が煮えて芯がなくなっていたら、粗みじん切りにした緑の野菜類とフェヌグリークの葉を鍋に加え、フタをして弱火で20分煮る。
- <麺をうつ>作業台に打ち粉(小麦粉、分量外)をまき、麺生地を乗せ、打ち粉を表面にまぶしつけながら麺棒で伸ばす。
- 厚さ2~3 mmになったら、幅4 mmくらいに切る。長さは15 cmくらいでよい。
- 味見をして、塩加減を調えてから、麺を鍋に加え、ときどき混ぜながら10分ほど煮る。
- <トッピング>ミントをみじん切りにし、小さなフライパンに入れ、サラダ油を入れ、中~弱火で煮るように加熱し、ミントオイルを作る。
- 麺を食べてみて、芯まで煮えていたら、器に麺と汁を入れ、ヨーグルトを放射状にかけ、玉ねぎにんにく炒めを乗せ、ミントオイルをかけてできあがり。
- Enjoy!
「美味しーい!」
この料理、緑だらけです。ニラもパクチーもほうれんそうもセロリも入っています。しかし複数種類混ぜる緑の美味しさは、ヨーグルトのもつ乳製品の強烈な旨味と合わさり、しかもそれが手打ちうどんにかかるのだから、中東ペルシャの料理の奥深さには目を見張るものがあります。長い歴史が育んだイラン/ペルシャ料理は、唐辛子をほとんど使わないので辛くなく、香辛料も控えめでスパイシーすぎず、ターメリックを多用するので黄色い料理が目立ちます。とにかく優しい味わいですし、一度作ってみてください。
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世界はそのスパイスの使い方を持っています。
多くの人にとって美味しいという保証つきの料理をレシピつきで紹介することで、「作る楽しみ」が芽生える一助になり、その結果として自分や家族の好みに合う新しいレシピが見つかっていくという形で誰かの役に立てるならばとても嬉しいです。次回もどうぞお楽しみに☆
【第1回】ケール編。ドイツ料理「グリュンコールミットカルトッフェルン」
【第2回】ニラ編。イラン料理「アーシュレシュテ」
【第3回】イタリアンパセリ編。レバノン料理「タブーリ」
【第4回】レタス編。トルコ料理「ラフマジュン」
【第5回】ほうれんそう編。インド料理「パラックパニール」
※本記事はハウス食品及びレシピブログが主催するスパイスアンバサダーに就任したことに基づき執筆するものです。