ギリシャ料理

[last update 2016/06/29]

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基礎情報ギリシャ共和国Greece、首都アテネ、ISO3166-1国コードGR/GRC、独立国(1829年オスマン帝国より)、公用語ギリシャ語、通貨ユーロ

◆オリーブオイル香る、太陽の豊かな恵みが食卓に。

ギリシャは、大陸部分も島部分も広く、マケドニアやトルコの近くに位置しています。

今から4000年以上も前から文明を持っていたギリシャは、世界に受け継がれるギリシャ神話を創造し、古代よりソクラテスやプラトン、アルキメデス、ユークリッド、ヒポクラテス、ピタゴラスなど、偉大な哲学者や科学者を多数輩出しました。オリンピックの発祥国であり、数々の遺跡やエーゲ海の美しい島々など、観光資源にあふれる国です。山あり海あり、そして地中海性温暖気候。食材に恵まれたギリシャでは、オリーブオイルをふんだんに使い、素材の味を活かす調理で、美味しいものが食べられています。

ギリシャは、国民の98%がギリシャ人です。ラテン人でもスラブ人でもない、ギリシャ人による国です。トルコから独立したギリシャには以前はトルコ人も混住していましたが、トルコ敗戦後、ギリシャはトルコ領を奪い、トルコ人を排斥して今の単一民族に近い国を作りました。よって、宗教においても、国民の98%が正教徒(キリスト教)という単一性を見せています。また、海を渡ったその先はレバノン、パレスチナ、エジプトなどアラブ諸国やイスラエルです。そんな背景から、ギリシャ料理は、自前の山海の幸を使う料理に加え、トルコやアラブ、イスラエルと類似した料理が食べられています。

2010年に、ギリシャ料理は、イタリア料理、スペイン料理、モロッコ料理と共に「地中海の食事」としてユネスコ無形文化遺産に登録されたものの、上記のような歴史の混交による背景からか、イタリアやスペインの料理よりも、トルコ料理やレバノン他アラブ料理との共通点のほうが多い印象が持たれます。

主食はパンです。ギリシャのパンは、ヨーロッパによくある重くてずっしりしたパンですが、クルーリトルコのシミットと同じゴマパン)も有名です。「ピタ」と言うと、日本では中が空洞になっていて具を詰められる丸い薄パンを指しますが、ギリシャでは、中東のホブスのような薄パンからパイ料理各種を含めてピタと総称します。パイ料理はフィロ(直訳:葉)という紙のように薄い生地を使って作られ、他のバルカン半島の国のブレックと類似する料理もあります。スパナコピタ(ほうれん草のパイ)やティロピタ(チーズのパイ)が有名です。

ギリシャ料理では前菜が重要です。前菜のことを総じてオレクティカと呼びます。冷たいものや作り置きを少量ずつ提供するもので、ディップ類が多いのはトルコ料理やアラブ料理との共通点です。ディップ類はパンに合います。味は、ギリシャ料理全般にわたる傾向ですが、唐辛子、にんにく、香辛料を多用せず、エレオラド(オリーブオイル)の風味やレモンの酸味を利用して、素材の旨さを楽しむものばかりです。

前菜で有名なものを並べてみましょう。
ディップ状の前菜には、ザジキ(きゅうり入りにんにくヨーグルト)、タラモサラダ(ポテトまたはパン粉でとろみをつけた魚卵ディップ)、メリジャノサラタ(焼きなすディップ)、ティロカフテリ(チーズと唐辛子のディップ)、ファバ(黄色いエンドウマメのピューレ)などがあります。ファバ(φάβα)と言えばソラマメを指す国が多いところ、ソラマメはギリシャではクキ(κουκί)、複雑ですね。

そのほかの前菜には、ドルマスまたはドルマダキア(米や肉などの具のブドウの葉包み)、エリエス(オリーブ)、サガナキ(小さなフライパンの上で具を焼くもの。焼きチーズが一般的)などがあります。

ギリシャ料理はトルコ料理やアラブ料理と多々似ていますが、宗教による禁忌がない点が、食文化の決定的な違いです。トルコやアラブではイスラム教徒が多く豚肉やお酒を摂りませんが、ギリシャでは食べられないものが基本的にありません。また、山がちな本土とエーゲ海の島々といったように地理が多様で、海の魚も山の乳製品も、ギリシャ料理の主要食材です。

プサリカ(魚介類)の代表は、マリダ(数cmサイズの小魚)、オフタポディ(タコ)、カラマリ(またはカラマラキア、どちらもイカ)などがあります。シンプルに焼いてオリーブオイルとレモンで食べますが、カラマラキアティガニタ(イカフライ)のような揚げ物も一般的です。スープ類はスーパと言い、魚介類を入れたプサロスーパ(魚のスープ)も人気のギリシャ料理です。

ギリシャを旅して食べる肉料理といえば、ギロススブラキでしょう。どちらもギリシャのファストフード的な存在です。


ギロス屋。奥の肉を削ぎ切りにし、手前の具やザジキと共にピタに乗せて巻く。(撮影地アテネ)

ギロス(ギロ)は薄切り肉を重ねてサイドから火を当てて焼いて削ぎ切りにしたもので、エジプトのシャワルマやトルコのドネルケバブと同じですが、ギリシャでは豚肉を使う点で味が決定的に違います。スブラキカラマキという人もいます)は豚や羊の角切り肉を炭火焼きにしたものです。ギロススブラキも、野菜各種、ザジキ(にんにくきゅうりヨーグルト)、フライドポテトなどをピタ(薄い円形パン)でくるんでいただきます。その他の肉料理には、スズカキャ(ミートボールのトマトソース煮)やティガニャ(豚肉を野菜の炒め煮)、ムサカ(なすチーズ挽肉ホワイトソースなどの重ね焼き)、パスティツィオ(マカロニとミートソースとホワイトソースのオーブン焼き)などがあります。

乳製品の代表は、上述のザジキ(きゅうり入りにんにくヨーグルト)のほか、フェタカセリを始めとするチーズ各種があります。フェタホリアティキ(トマトやきゅうりのフェタチーズ乗せサラダ、別名グリークサラダ)に乗る山羊の乳から作るしょっぱくて白いチーズです。ギリシャとデンマークの「フェタ戦争」(フェタの呼称権争い)は記憶にある人もいるのではないでしょうか。ギリシャの勝利により、デンマークの白チーズはフェタと呼べなくなってしまいました。

さて、ギリシャはキリスト教国で、復活祭(英語でイースター、ギリシャ語でパスハ)を重んじます。復活祭までのおよそ40日間(四旬節)はメガリサラスコティ(Μεγάλη Σαρακοστή)と呼ばれ、禁止食品(肉、魚、卵、乳製品)を控えます(食べない人は徹底的に食べません)。復活祭までの1週間(聖週間)はメガリエブドマーダ(Μεγάλη Εβδομάδα)と呼ばれ、店、学校、会社が休みになり、禁止食品を一層制限します。

その他にも正教では一年を通して禁止食品を食べない日が多く、豆料理や野菜料理に依存する日が必然的に多くなります。ファソラーダ(白インゲンのスープ)、レヴィスィアスーパ(ヒヨコマメのスープ)、ブルブル(ショートパスタと野菜のごった煮)、バミエス(オクラのトマト煮)など、書ききれないほどの豆や野菜の料理があります。

お酒は、普通のギリシャワインも多数ありますけれど、是非ここではウゾをど・うぞ! 無色透明なのに水で割ると白濁するのが面白いです。アニスの香りが強くて飲みにくいですけどね。もうひとつ、松ヤニの香りをつけた、薬局ないし消毒液の匂いがぷんぷんするレッツィーナというくさい白ワインも試す価値ありです。

ギリシャに行かれるときは、是非タベルナ(ταβέρνα、庶民の食堂)の看板を探してみてください。エスティアトリオ(Εστιατόριο、レストラン)よりも、人々の普段の食事が垣間見え、旅行者にはおすすめです。ただ、夕食の時間は午後10時以降が普通で、日本の感覚で夜6時とかにお店に行っても地元の人は誰もいなかったりしますので、要注意(笑)。

オリーブオイル香る太陽の豊かな恵みを、紺碧の青い海とともに感じられたら、それは1つの豊かな人生の財産になるはず。是非楽しんできてください。

◆ギリシャに行ったら、これ食べよ♪

【パンやパイ類】
・クルーリ・・・ゴマパン。
・ピタ・・・薄パンからパイ料理各種を含めてピタと総称。
 ┗スパナコピタ・・・ほうれん草のパイ。
 ┗ティロピタ・・・チーズのパイ。

【魚介類】
・プサリカ(Ψαρικα)・・・魚介類の総称。
・オフタポディ(Οχταπόδι)・・・タコ。
カラマラキア(Καλαμαράκια)・・・イカ。
 ┗カラマラキアティガニタ(Καλαμαράκια τηγανιτά)・・・イカフライ。
カラマリ(Καλαμάρι)・・・イカ。
・タラモサラダ(ταραμοσαλάτα)・・・ポテトまたはパン粉でとろみをつけた魚卵ディップ。
・プサロスーパ(Ψαρόσουπα)・・・魚のスープ。
・マリダ(Μαρίδα)・・・数cmサイズの小魚。

【肉類】
・カラマキ・・・豚や羊の角切り肉を炭火焼き。
・ギロス・・・薄切り肉を重ねてサイドから火を当てて焼いて削ぎ切りにしたもの。
・スズカキャ・・・ミートボールのトマトソース煮。
・スブラキ・・・豚や羊の角切り肉を炭火焼き。カラマキとほぼ同義語。
・ティガニャ・・・豚肉を野菜の炒め煮。
・パスティツィオ・・・マカロニとミートソースとホワイトソースのオーブン焼き。
・ムサカ・・・なすチーズ挽肉ホワイトソースなどの重ね焼き。

【野菜料理】
メリジャノサラタ(Μελιτζανοσαλάτα)・・・焼きなすディップ。
・ドルマス(Ντολμάς)・・・米や肉などの具のブドウの葉包み。
・ドルマダキア(Ντολμαδάκια)・・・米や肉などの具のブドウの葉包み。
・エリエス(Ελιές)・・・オリーブ。
・ホリアティキ(Χωριάτικη)・・・トマトやきゅうりのフェタチーズ乗せサラダ、別名グリークサラダ。
・ブルブル(μπούρου-μπούρου)・・・ショートパスタと野菜のごった煮
・バミエス・・・オクラのトマト煮。

【豆料理】
・ファソラーダ・・・白インゲンのスープ。
・ファバ(φάβα)・・・黄色いエンドウマメのピューレ。
・レヴィスィアスーパ(Ρεβίθιασούπα)・・・ヒヨコマメのスープ。

【乳製品】
・サガナキ(σαγανάκι)・・・小さなフライパンの上で具を焼くもの。焼きチーズが一般的。
・ザジキ(τζατζίκι)・・・きゅうり入りにんにくヨーグルト。
・ティロカフテリ(Τυροκαυτερή)・・・チーズと唐辛子のディップ。
・フェタ・・・山羊の乳から作るしょっぱくて白いチーズ。

【酒類】
・ウゾ(Ούζο)・・・無色透明なのに水で割ると白濁するアニス臭の強い酒。
・レッツィーナ(Ρετσίνα)・・・白ワイン

【その他】
・エレオラド(Ελαιόλαδο)・・・オリーブオイル。
・オレクティカ(Ορεκτικά)・・・前菜の総称。
・スーパ(σούπα)・・・スープ類の総称。


[kuwakuwa]
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