ラグマン(麺を手で延ばす方法)

ラグマン

ラグマンは中国新疆から中央アジアにかけて広まる麺料理で、作業台にバンバンと叩きつけ両手でぐいぐい延ばしていくウイグル人や回族の麺打ちは職人芸で有名です。私は幸いに日本語が話せるウイグル人ママに教わる機会に恵まれましたが、粉や水を経験と勘で量るのでgやmL単位のレシピが分かりません。夏と冬でも加減が違います。私は季節を変えながら、何回も失敗し、勉強を繰り返し、満足のいくラグマンの麺を打てるようになりました。これを1人で抱えるよりもレシピをみんなが見える形にしようと思い、ここに公開します。こだわったのは、1)卵を使わないこと(1.5倍量で作るときなど卵の存在が邪魔)、2)打ち粉や油を減らすこと(粉と水の比率が適正だと打ち粉がほとんど要らなくなります)、3)最も簡単な工程の追及です。※後日作業工程を自撮りしてUPする予定ですが、ここではまず文字にてレシピを記載します。その代わりここでは動画や写真では分からないコツを文章で記載しています。

材料

2人分):

ぬるま湯(※1)
85 mL(※2)
小1
中力粉
180 g(※2)
サラダ油
少々(※3)
  • ※1:30~40℃。お風呂の湯温よりぬるめ程度。
  • ※2:ぬるま湯と中力粉の使用量は季節により微変動します。下のコツの欄を確認してください。
  • ※3:サラダ油は、作業台や皿に塗る量と、手のひらにつける量と、麺に塗る量が必要です。大さじ2杯くらいを小皿に入れておきます。

調理時間

(寝かす時間を含める)

作り方

  1. 気温や湿度を考えて、中力粉とぬるま湯の量を決める(下のコツ欄参考)。
  2. ボウルにぬるま湯と塩を入れてかき混ぜ、塩を完全に溶かす。
  3. 中力粉をザルで篩(ふる)ってボウルに加え、「1粒でも多くの粉に水が接触する」よう意識しながら、スプーンを使ってぐるぐると混ぜ始める。ボウルの内側に付着する生地はときどきスプーンで落とし、スプーンに付着する生地はときどき指で落とす。
  4. ボウルの内側に付着する生地をスプーンで落とし、右手(左利きなら左手)の手のひらの付け根で生地を押してこぼれた生地を付着させながらひとまとめに押し固める。
  5. 手のひらの付け根で生地を押して潰して2つ折りにする。これを100回繰り返し、最後は球形にしてボウルに入れ、ラップを生地にかぶせ、ボウルにフタをして10分以上置いておく。
  6. 再度手のひらの付け根で生地を押して潰して2つ折りにする。これを100回繰り返し、最後は球形にしてボウルに入れ、ラップを生地にかぶせ、ボウルにフタをして20分以上置いておく。
  7. (このときラグマンに乗せる具材を切っておくとよい)
  8. 手のひらにサラダ油をつけ、直径20 cm程度の平皿に、たれない程度に多めに塗り付ける。手に残ったサラダ油を作業台に薄く薄く塗る。(手のサラダ油を洗わずに)生地をつかんで作業台に置き、手のひらの付け根で生地を少しずつ左右に押し拡げて横長の楕円形(例:厚さ2 cm、縦6 cm、横18 cm)にし、包丁を長い辺に平行に入れて切り分け、2つの横長の棒状にする(例:長さ18 cmの棒が2つできる)。
  9. 棒を縦にして両手で握り、優しく握って握って角を落とし、直径2 cm程度の丸い棒にし、作業台の上に横向きに置く。
  10. 右端に右手のひらを乗せ(左利きなら逆)、左手で生地を軽く左に引きながら、右手のひらを上下に動かして生地を優しく転がしながら直径1 cmの太さにし、少しずつ転がす場所を左にずらし、最終的には全体を直径1 cmのヒモ状にする。
  11. 両手のひらにサラダ油を塗り、ヒモ状の生地の全周にサラダ油を塗りながら、平皿の中心にヒモ状の生地の先端を当て、外向きにうずを巻くように生地を乗せていく。このとき生地を密着させないよう、気持ち(実際はくっついてしまうが、気持ちは)生地と生地を離すように、ふんわりと生地を乗せる。1本目の最後の端っこの位置から2本目を渦巻きに乗せる(1本目と2本目はつなげない。別々のヒモのままでよい)。
  12. 手にサラダ油を塗り、渦巻き状の生地の上部に優しく塗りつけ、ラップをかぶせて20分置く。
  13. (この20分間で鍋に湯を沸騰させながら、麺にかける具を調理する。)
  14. ラップをはがし、渦巻き状の生地をいったん持ち上げ、麺と麺がくっついた部分を離す。
  15. ヒモ状の生地の右端が右手のひらの位置(左利きなら逆)にくるように最初の40 cmくらいを横向きに置き、左手で生地を軽く左に引きながら、右手のひらを右端に当てて上下に転がしてひねりを入れながら直径5 mm程度にする。麺で「こより」を作るイメージ。手を転がす位置を左にずらしながら、麺全体を直径5 mmの1本麺にしていく。
  16. 鍋にたっぷりの湯をぐらぐらと沸かす。流しには大きなボウルに水(夏は冷水がよい)を張っておく。ラグマンを食べる皿と箸を用意しておく。
  17. 麺の端を片手でつかんで持ち上げ、両手を40 cm間隔に固定しながら麺をすくって、麺を両手の甲~両手首に巻き付ける。このとき麺と麺が手の上でくっつかないよう、間隔をあけるよう心掛ける。最後の端っこを近いほうの手で持ち、両手を外側に拡げながら上下に動かして麺をバンバンと作業台に打ち付けて延ばしていき、「これ以上やったら切れちゃう」と思える1歩手前、あるいは1、2本切れてきた頃に麺を湯に入れ、すぐに菜箸で麺のくっついている部分をほぐす。
  18. 麺のゆで時間は均一でなくてよいので、2本目の麺も延ばして湯に入れる。
  19. 麺がふわふわと湯の中で浮きやすくなったらザルにすくいあげ(ゆで時間は2分程度と短い)、水を張ったボウルに入れて粗熱と表面のぬめりを取り、ザルにあげて水気を切り、食べる器に盛り、具をかけて出来上がり。
  20. Enjoy!

材料と調理のこつ

  • 中力粉を使用すること。麺打ちの熟練でない者は薄力粉と強力粉の等量混合といった荒業はしない。理由はどっちの粉も同じ色なのでムラを生じずに混ぜることが不可能で、不慣れな者が調理すると薄力粉が多い部分から切れやすい麺になるためです(ただし、麺打ちに熟練してくるとどんな小麦粉でも作れるようになると熟練者は言っていましたがそれでも中力粉がよいようです)。
  • 猛暑の季節は生地がダレやすく、厳冬期は生地が延びないので、このレシピは標準として春や秋の分量を掲載しています。夏は中力粉を大さじ1/2~1ほど追加し、冬はぬるま湯を小さじ0.5~1.5ほど追加。つまり湿度や気温により粉と水の量を決めます。
  • 卵を使うレシピをときどき見ますが、典型的なラグマンの麺は卵を使わないのと、材料を減らすほうが失敗要因が減るので、このレシピでも使っていません。卵を使わないほうが「今日は2割増しで作ろう♪」という調整も簡単です。
  • 塩加減が最も大事で、塩が多いと生地を成形するときに跳ね返ってしまい、塩が少ないとちぎれる麺になってしまいます。もしご自身の作り方で上手くいかない場合は、塩の量を加減することで改善できる余地があります。
  • このレシピではぬるま湯と塩を最初に混ぜています。塩は結晶なので、中力粉と塩を先に混ぜると、塩が粉のすみずみまで行き渡りません。最初に塩水を作って塩の成分を細かく分散させるほうが、均一でなめらかな麺を作ることができます。
  • 現地では中力粉をふるわない人も多いのですが、不慣れな場合は失敗する要因を1つでも減らしたほうがうまくいくのと、中力粉をふるったほうが明らかに綺麗な麺が作れるので、私は粉をふるっています。
  • 粉と塩水は、フォークや菜箸や素手でかき混ぜてもよいです。しかし素手だけだと手に生地が多くついてしまって作業しにくいです。スプーンを使うとボウルの内側に付着する生地をかき落としやすいので、細めのスプーンが最も作業が楽です。
  • 生地を寝かしておくとき、猛暑の季節はボウルの底を冷水に浸けたり、厳冬期はぬるま湯に浸けるか暖房のある部屋に置くなどすると、年中安定した麺打ちができます。
  • 生地をこねるとき、粉と水の配合がうまくいっていると打ち粉がほとんど要らなくなります。しかし打ち粉が必要なら使ってよいです。
  • 生地をこねるとき、私はボウルの中で直接生地を押しています(掃除を楽にしたいので)。作業台の上で行ってもよいです。
  • 生地を横長に広げるときは絶対に生地を折り重ねないようにします(折ったところが接着しにくく、そこから麺がちぎれてしまいます)。
  • 生地を皿に渦巻き状に乗せるとき、生地と生地が最初から強く密着しているとあとではがれなくなることがあります。よって、くっついたとしても圧着されないように意識します。
  • 渦巻き状の生地を休ませる時間は20分を標準とします。長く置くと麺どうしがくっついてはがれなくなると、ウイグル人ママが言っていました。
  • 2口コンロを想定した調理手順なので、渦巻き状の生地を20分休ませる間に具の調理し、麺ゆでの湯を沸かしています。1口コンロの場合は、麺打ちの前に具を予め調理しておくか、湯沸かしポットを併用します。
  • この麺は少々長くゆでてもコシを失わないので、1本目をゆで初めてから2本目を延ばし、2つのゆで時間に差ができても大丈夫です。ただし何本も一緒に作るときなどは、2本ずつに分けてゆでるとよいです。
  • ラグマンは麺を長いままゆで、長いまま皿に盛る料理です。麺を短く切ってもよいし、現地では切って提供する飲食店もあるのですが、切らないほうが楽しめると思います。
  • ラグマンの麺をゆでて冷水にとって水気を切ったあと、辣油と黒酢のタレを絡めてから皿に盛り、具を乗せる調理法もあります。この場合は麺が赤く染まって、それはそれで美味しそうに見えます。

Tips about cuisine

  • 「ラグマン」のウイグル語(中国新疆自治区を中心に居住する民族の言語)の綴りは「لەغمەن」。
  • 「ラグマン」の中央アジア諸国(カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン)での綴りの例は、キリル文字で「Лагман」、ラテン文字で「Lagman」など。
  • 「ラグマン」のロシアでの綴りの例は「Лагман」。
  • ラグマンは、手延べ麺を使って作る具乗せうどんや汁うどんを指す言葉だが、この麺自体もラグマンと呼ぶ。


本記事、レシピ内容及び写真の著作権はすべて管理人:松本あづさ(プロフィールは≫こちら、連絡方法は≫こちら)にあります。読んでくれた方が実際に作って下されば嬉しいですし、料理の背景やTipsなど、世界の料理情報の共有を目的として、大事に作成しています。
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