カザフスタン料理


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基礎情報カザフスタン共和国Republic of Kazakhstan、首都アスタナ、最大都市アルマトイISO3166-1国コードKZ/KAZ、独立国(1991年ソ連解体)、公用語カザフ語/ロシア語、通貨テンゲ

◆カザフ人の遊牧文化、ロシアとシルクロードの接点。

カザフスタンは大国のロシアと中国に接している、中央アジア平原の国です。

20世紀の大半を、カザフスタンはソ連の構成国として歩みました。ソ連時代はカザフ人よりもロシア人のほうが多い時代が長く続き、そしてカザフスタン料理を語るにあたり、カザフスタンは、現在、ソ連構成国の中で最もロシア人比率が一番高い国であることを忘れてはなりません(30%、CIA2009)。中央アジア諸国は、トルクメニスタンの主要民族はトルクメン人(85%)、タジキスタンならタジク人(80%)、ウズベキスタンならウズベク人(80%)等、「国名になる民族が大多数民族」という図式が成立しますが、カザフスタンにおけるカザフ人は53%と少ない(そしてロシア人比率が高い)のが特徴で、カザフスタンの料理には、他の中央アジアの国よりも一層強い「ロシア色」が見られるのです。

まずは、遊牧民カザフ族の名残としてのカザフスタン料理から紹介します。
ただし帝政ロシア後期からソ連時代に遊牧廃止政策(定住化)が行われ、現在遊牧生活をする人はとても少なくなりました。“名残”とは、夏に乳をとり、冬に肉を食す、すなわち「乳製品と肉の食文化」を指します。これはモンゴルやキルギスの草原地帯の文化に大変に酷似するものであります。

ヤギ、ヒツジ、ラクダ等の遊牧家畜と、馬が、彼らの食べる肉です。豚は牧草を食べず、水に体を浸す習性があり、高地乾燥地帯に住む遊牧民の文化に養豚の習慣はありません。また遊牧民は家畜群の移動に合わせて人間の住居を移動させるので、土を傷つけず、農耕の習慣もありません。生活の基盤は、遊牧生活から得る毛・皮・乳・肉などです。

羊肉をゆでて、小麦の麺とともに食べる大皿料理は、カザフスタン人の皆が「これぞカザフ料理の代表」と言うもので、ベシュパルマクと呼ばれます。ベシュ=5、パルマク=指、「5本の指」すなわち手づかみを意味する料理名ですが、現代カザフスタン料理では、お椀やスープ皿に入ってフォークで食べる1人分の肉ヌードルもベシュパルマクと呼びます。アラル海沿岸部では魚のベシュパルマクも食べられています。

ゴリヤシュはゴロゴロ肉を鍋調理したもので、ヨーロッパではグラーシュ、パキスタンではグシュ等呼ばれます。ジャルコエは焼いた肉。シャシュリークケバブは肉の串焼き。また、肉が出れば内臓(モツ)も出るのでクイルダクという旨いモツ煮もよく作られます。そして馬の腸詰めのカズはごちそうです。

主食はパン類です。ロシア語でリピョーシカまたはカザフ語でナンと言う円盤状のパンが一般的です。

乳製品としては、馬乳酒クミスが有名です。馬の乳をアルコール発酵させたもので大変美味です。駱駝(ラクダ)乳酒であるシュバットクミスを一段上回る美味しさです。


自家製のクミス(馬乳酒)やシュバット(駱駝乳酒)を売る女性。(撮影地アルマトイ)

また遊牧民の生活には、乳製品を加工し、保存する最高の知恵があり、これらの技法はユーラシア大陸の各地に広まっています。牛乳から脂肪分を取ればカイマックカイマックを取った残りを発酵させたヨーグルト風の飲料はアイランカティーク、それらを脱水して乾燥させた乾燥ヨーグルトボールはクルトゥです。中国の影響から、お茶もよく飲まれますが、カザフスタン人はお茶に牛乳を入れ、更に塩を入れて飲んだりします。また、おそらくはロシア方面から入ってきたであろう飲みものに、クバスクワス)という、パンと水を混ぜて発酵させた微炭酸飲料があります。

シルクロードの道(旧道というより割と新道)、天山北路の上にあるカザフスタンは中国とトルコをつなぐ中継点であり、「シルクロードらしさ」を感じる料理もたくさんあります。
小麦粉を使った料理はその典型例です。上述のベシュパルマクのほか、サムサという小麦粉の皮でひき肉炒めなどを包んで揚げ(又は焼い)たもの、マンティという大きな蒸し餃子、ラグマンという手延べうどんに肉野菜トマト炒めをかけたものなどがあります。

米を使ったものとしては、何よりもプロウプロフ又はポロエとも)という人参と羊肉の油炊き込みごはんがあります。ガンファンはごはんにラグマンの具を乗せたものです。「ガンファン」って日本語の「ご飯」に似ていて何だか素敵です。

さて、カザフスタンの宗教プロファイルを見ると、イスラム教徒が多い国であることが分かります(70%、2009年)。でも、ソ連時代に宗教禁止政策を敷かれ、今もムスリム(イスラム教徒)でない人々(ロシア人など)の人口比率が高いため、カザフスタンには、他のイスラム教の国に比べると、イスラムらしさを感じる場面があまりありません。お酒も豚肉も買えず断食月もシビアに守る敬虔なムスリムから見たら、カザフスタンの食事は実に自由なものと思えることでしょう。

さあ、むしろカザフスタン料理を語るときには、朝鮮人について語らない訳にはいかないと思います。市場に行くと、キムチが売られています(現地でもキムチと言います)。でもそんな彼らを「韓国人」と言ってはいけません・・・。
昔ソ連の沿海州(極東部)に朝鮮人が住んでいた。日本人に似た容姿は日本人スパイの発見に支障をきたすという理由でソ連中南部(今の中央アジア)へ強制移住させられ、同時に多数の死者も発生した。カザフスタンのキムチはその朝鮮人と子孫によるもので、魚や人参のキムチが定番です。カザフスタンに行ったら、是非魚のキムチを食べつつ、歴史に合掌を1つお願いします。

最後に、「本当のカザフの暮らし」について。
今、本当のカザフ族の暮らしが残るのは、モンゴル西部です。
「カザフ族といえばカザフスタン」だけじゃない。「カザフ族の伝統を最も残すのはモンゴルである」のが、現実なんですね。なぜならば、先に述べたように、カザフスタンは、20世紀はソ連構成国であり、遊牧廃止政策を受け、カザフ族は定住者となっていき、なのに街にはカザフ族よりも数多いロシア人が流入し・・・、20世紀はカザフスタンの暮らしが変わった激動の世紀であったからです。

でも、この「カザフスタン料理」のページでは、国家を単位とする「カザフスタンの料理」について書いています。カザフ族の文化の名残を基盤に、シルクロード上の地理的要素から中国や他の中央アジアとの共通料理、そしてかつての強大な支配者層であったロシアの料理を混交したものを、現代カザフスタン料理として理解していけばよいのではないかなと思います。

カザフスタンに旅行に行く人は、きっと旧首都アルマトイに行かれることでしょう。アルマトイは「リンゴの土地」という意味があるので、是非リンゴをご賞味あれ♪

◆カザフスタンに行ったらこれ食べよ♪

【肉料理】
・クイルダク(куырдак)・・・モツ煮。じゃがいもやにんじんと一緒に調理する。
・ケバブ(кебаб)・・・肉の串焼き。釜の中で焼く点でシャシュリークと違うらしい。
・ゴリヤシュ(гуляш)・・・ゴロゴロ肉を鍋で炒め煮あるいは煮たもの。
・シャシュリーク、シャシーリク(шашлык)・・・肉の串焼き。オープンエアで焼く。
・ジャルコエ(жаркое)・・・焼いた肉。
・トゥーションノエミャーソ(тушенное мясо)・・・直訳して「煮込まれた(Stewed)肉」

【小麦粉系】
・サムサ(самса)・・・小麦粉の皮で肉炒めなどの具を包んで焼いたり揚げたりしたもの。
・ベシュパルマク(бешпармак)・・・肉煮込みと一緒に食べる幅広麺。
・マンティ(манты)・・・大きな蒸し餃子
・ラグマン(лагман)・・・手延べ麺にトマト味肉野菜炒めをかけたもの
 ┗グイルーラグマン(гуйру-лагман)・・・具が大きいラグマン
 ┗スイルーラグマン(суйру-лагман)・・・具が小さい又は汁の多いラグマン

【米料理】
・ガンファン(ганфан)・・・ごはんにラグマンの具をかけたもの
 ┗グイルーガンファン(гуйру-ганфан)・・・具が大きいガンファン
 ┗スイルーガンファン(суйру-ганфан)・・・具が小さい又は汁の多いガンファン
・プロウまたはプロフ(плов)またはポロエ(плое)・・・にんじん羊肉の油たっぷり炊き込みご飯

【パン】
・ナン(нан)・・・主に円盤状のパン。
・リピョーシカ(лепёшка)・・・主に円盤状のパン。

【乳製品】
・アイラン・・・バターを取ったあとの生乳を発酵させたもの。
カイマック・・・フレッシュバター
・クミス(Кымыз)・・・馬乳酒
・シュバット(Шубат)・・・駱駝(ラクダ)乳酒
・クルトゥ(курт)・・・乾燥ヨーグルトボールの保存食

【その他】
・キムチ(кимчи)・・・キムチ。
・クワス、クバス(квас)・・・ライ麦パンの入った水を発酵させた微炭酸飲料。


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カザフスタン料理」への1件のフィードバック

  1. みやこ より:

    こんにちわ。
    パンの作り方を調べているときにこちらのサイトを見つけました。
    中央平原の料理の紹介があってよかったです。また、紹介されている国の地理や歴史等もあって面白いです。

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