「Nasi lemak」の最も適切な日本語カタカナ表記は「ナシルマ」という結論へ。

マレーシアの国民食に「Nasi lemak」があります。

ナシルマ

検討した結果、「Nasi lemak」は「ナシルマ」と書くのが最も適切であるという結論を出しました。ここにその検証した過程の一部を書きとめようと思います。

* * *

1)現地の人の発音
マレーシア人複数とブルネイ人に現地で、シンガポール人に日本で発音を聞きました。
全員「ナシルマ」でした。

2)なぜ「e」の音が「エ」ではなく「ウ」になるか
◆マレーシア語の文字と発音(≫こちら

ナシルマ

マレーシア語の文字と発音についてはさまざまな書籍等で教示されています。「e」は「エ」とも「ウ」とも読みます。綴りからはどちらの発音になるかは分からず、現地の発音を耳にするしか判定の方法がありません。

上述のように「Nasi lemak」は「ナシルマ」と慣例的に読まれています。・・・とはいえ、個人的に思うのは、「Nasi lemakをナシルマと読む」のはむしろ逆で、「ナシルマ」という名前が先にあって、外国の文字を後からはめ込んだから、音と綴りの1:1の整合性が取れなくなったのだと思います。

原因は、英語アルファベット文字には母音文字が5つ(a、e、i、o、u)である一方でマレーシア語は母音が6つあることに拠ります。文字より音のほうが多く、ベトナム語のように文字の飾りつけで区別することをしてこなかったから、1つの文字が複数の音に対応するようになったのだと思います。

◆Wikipedia「マレー語」(≫こちら

ナシルマ

ここで、「a」はアの音、「i」はイの音・・・とする中で、「e」には「 e と ə の2つの音」が割り当てられています。つまり「e」は「エ」の音と「ウ」の音になるのです(※)。

※「ə」は曖昧母音。日本語にはない音だが、敢えて日本語カタカナで表記するなら「ウ」が最も近い。

「ナシルマ」という名称が先にあるなら、何故「ナシルマ」を「Nasi lumak」と書かなかったのでしょう。これもマレーシア語のルールを知ると分かります。「ナシルマ」を「Nasi lumak」とは書けないんです

◆マレーシア語の文字と発音(≫こちら

ナシルマ

ここに「子音に挟まれたuはオの音になる」と書いてあります。よって「ナシルマ」を「Nasi lumak」と表記すると、「lとmに挟まれたu」は「オ」の音になり、次に「Nasi lumak」の文字をマレーシア語ルールで読み上げたときに「ナシロマ」になってしまうので、不適切なのです。

3)「e」の音が「エ」ではなく「ウ」になるその他の代表例
マレーシア語では「e」の音が「エ」ではなく「ウ」(曖昧母音なのでウともアともつきにくい音)になる代表例が、数字の4と6です。

◆Learn Malay Numbers Zero to Ten(≫こちら

ナシルマ

0:36 数字の4:「Empat」→「ウンパ」(又はアンパ)と読まれている。
0:48 数字の6:「Enam」→「ウナム」と読まれている。
これらは「e」を「エ」とは呼ばない代表例です。

4)「k」の音を確定するために「Nasi lemak」の発音を確認
これまでのまとめとして、
「Nasi lemak」の「e」は「ウ」の音で読まれる。よって、
×「ナシレマック」
×「ナシレマ」
上記2つは適切とは言い難い。

次に、「Nasi lemak」が、「ナシルマ」か「ナシルマック」か、もうひとつネットでよく見られる「ナシルマッ」かどうかを検証します。
冒頭1)のように、現地の人の発音は「ナシルマ」でしたが、念のため、動画サイトでも確認します。

◆「Coconut Milk Rice- Nasi Lemak」(≫こちら

ナシルマ

5:51 「ナシルマ」と発音。

◆「#DapurBujang Ramadhan – Nasi Lemak.」(≫こちら

ナシルマ

0:17 「ナシルマ」と発音。

◆「Nasi Lemak Hijau Dahlia’s Kitchen」(≫こちら

ナシルマ

2:04 「ナシルマ」と発音しています。よって、
×「ナシルマック」
これは適切とは言い難い。
そもそもマレーシア語では「末尾のp、b、t、d、k、gは息を出さず、音を出さない」ため、「ナシルマック」はありえません。

「ナシルマッ」については、そもそも「ルマッ」のように促音(小さいツ)で終わる単語は日本語名詞表記としてなじみがない。料理名を日本語カタカナ化表記するにあたり、「ナシルマッ」という表記は考慮する必要があるとは言い難い。上の動画でも間髪入れずに次の単語に連続しているので「ナシルマ」が妥当です。

* * *

<まとめ>

マレーシアの国民食に「Nasi lemak」があります。これは、日本語の文字と発音では「ナシルマ」と表記するのが最もふさわしいと思いました。主な理由は

  1. 現地の発音が「ナシルマ」であること
  2. マレーシア語の「e」を「ウ」と表記することに問題がないこと

です。

ふと見つけたサイトも、私と同じ視点に立っています。

カタカナで覚える言葉ってどうかな|もんく [英語ダメでもマレーシアで働いてみたよ](≫こちら

ナシルマ

少し概要を抜粋しますと

  • ナシルマをナシレマと書いているのに違和感がある。
  • つづりを知らない時はずっとナシルマと聞いていたのでナシルマだと覚えていた
  • nasi lemakを文字から覚えた人はナシレマになる。
  • どうして頑なにレマにしておくんだろう? 言語としてはちょっとどうなのだろうか

とってもとっても共感できる言葉です。私が長らく疑問と違和感を抱いていたことが、ここでも表されていました。

※頑なにレマにしている場合、可能性として考えられるのは4つでしょうか。1)発音の個人差がある(本当にレマと発音している人がいる)、2)元英領の英語圏なので外来の人がLemakを英語読みででレマと読んでいる、3)あいまい母音なので、アトモウともつかない発音であり、エともつかない発音が聞き取れる場合もある、4)文章中にレマと書く人がマレー文法やマレーシア語発音の勉強に疎く、Lemakをルマと表現するに至らない、とか?

* * *

マレーシアの国民食である「ナシルマ」(Nasi lemak)は、ココナッツミルクごはんに簡単なおかずとピリ辛タレがセットになったもの。小魚ときゅうりとゆで卵がつくのが一般的です。

ブンクスというテイクアウト形式もあります。

ナシルマ

食堂で食べるときはお皿にごはんとおかずがちょこちょこと乗ります。

ナシルマ

もとは農家の食事だったそうです。昔の日本のイメージで言えば、田んぼ作業に出るお父さんが、竹の皮を使っておにぎりと漬物と簡単なおかずを包んで持っていくような感じです。

でも、21世紀の今、日本人は食事の持ち運びに竹の皮を使うことがなくなってしまいました。でもマレーシアでは今もバナナを葉を使って料理を包んでいて、昔とさほど変わらないナシルマを、今も引き継いでいます。

格安航空会社が日本とマレーシアを安くつなぐ時代です。マレーシアに行くことは昔に比べるととても簡単になりました。1個1リンギ(約30円)くらいから買えるマレーシアの国民食を、是非お試しになってみてください。

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