ファッタ

  • エジプト料理

  • 現地表記

    :فتة(アラビア語)

  • 概要

    :パンとごはんとトマトソースと肉を重ねたもの

ファッタ

ファッタはエジプトの祝日料理です。驚きますよね、というか、躊躇しますよね。だって「パンの上にごはんをかける」なんて日本人には異色すぎて。でも作って食べて大感激です。ミドルイースト感が炸裂する美味しさです。下から順にホブズとごはん、肉のゆで汁をたっぷりかけ、ガーリッキーな酢トマトソース、てっぺんに肉。現地ではよく大きなグラタン皿などに敷き詰めるのですが、日本でならば、食べる人にこの「ファッタの仕組み」が分かるほうがよいと思うので、この写真は盛り付けを工夫し、パンもごはんもソースもお肉も、全部が目で見える盛り付けにしました(現地にもこのような盛り付け方があります)。作るのは一見手間ですが、1)肉をゆでてゆで汁を米とパンとソースに分けて使う、2)米は炊飯器まかせ、3)パンは軽く炒るだけ、4)トマトソースは鍋で煮詰めるだけ、と、4本のレールを頭に入れて作っていけば、同時進行も難しくならないのではないかと思います。

材料

6人分):

2合
塊の肉(※1)
400 g
玉ねぎ
中1個
バター
大2弱(※2)
水(肉をゆでる用)
400 mL
小2弱(※3)
ピタパン(※4)
2~3枚(※4)
オリーブオイル
大3(※5)
トマト缶
1缶(400 g)
にんにく
1玉(※6)
大3
こしょう
小1/3
クミンパウダー
小1/3
カルダモンパウダー
小2/3
ベイリーフ
1枚
  • ※1:塊肉はあれば羊肉、または牛肉がよいです。厚さが3 cmくらいあればカレー用などにカットされたものを使ってもよいです。
  • ※2:バターは3か所で使います。ここでは総量を記載しています。
  • ※3:塩は4か所で使います。ここでは総量を記載しています。
  • ※4:ピタパンは中が空洞になっている平パンです。なければインドのナンのような薄焼きパンで代用します。200 gくらいあればよいです。
  • ※5:オリーブオイルは2か所で使います。ここでは総量を記載しています。
  • ※6:にんにく1玉は、1かけではなく、1玉丸ごとを使います。あるいはにんにくとして60~70 gくらいあればよいです。

調理時間

(米の吸水を1時間とした場合)

作り方

  1. <米準備>米を研ぎ、夏なら40分以上、冬なら2時間以上、水(分量外)に浸けておく。
  2. <肉準備>米を水に浸けている間に、肉を厚さ3 cmに切り、10~12個に切り分ける。
  3. 玉ねぎを細かめのみじん切りする。
  4. 肉をゆでる中鍋にバター(大さじ1)を入れて中火にかけ、玉ねぎを入れて炒める。
  5. 玉ねぎがしっかりと炒められたら片隅によけて、肉を入れて表面を焼き、水と塩(小さじ1/3)を入れて強火にかけ、沸騰したらフタをし、ごく弱火にして1時間煮る。
  6. <パン準備>ピタパンを開き、4 cm角くらいにちぎってフライパンに入れ、手のひらにオリーブオイル(大さじ1)を乗せてから、パンにオイルがなるべく均等につくように、両手でパンを和える。
  7. 手を洗い、フライパンを中火にかけ、ときどき中を混ぜながら、おせんべいみたいに軽く香ばしくなるように数分間炒り、盛り付ける皿に並べ、フライパンの中のパン粉も皿の中央にあける(フライパンは後で米を炒めるので洗わずに置いておく)。
  8. <トマトソース準備>肉がゆで終わる15分前になったら、トマト缶の中身をハンドブレンダーかミキサーにかけ、にんにくを細かいみじん切りにする。
  9. トマトソースを作る小鍋にオリーブオイル(大さじ2)とにんにくを入れて中火にかけ、少し色づいて香りが出たら酢を入れてじゅわっとさせ、トマト缶の中身、塩(小さじ1/2)、こしょう、クミンパウダー、カルダモンパウダーを加え、ときどき鍋底から返して焦げ付かないようにしながら、とろっとソース状になるまで煮詰めていく。
  10. 肉をゆで終えたら火を止め、肉を別容器に取り出し、鍋のゆで汁を味見して、塩加減や旨味加減を好みに調える。肉の旨味が足りない場合はビーフコンソメ(分量外)などで補う。
  11. <パンの仕上げ>肉のゆで汁のおよそ100 mLをパンにかけ回し、吸わせる。
  12. <トマトソースの仕上げ>肉のゆで汁の残りの1/3量を鍋から取り出してトマトソースの小鍋に加え、全体を混ぜて、引き続きトマトソースを煮詰めていく。とろっとしたら火を止め、味見をして塩加減などを好みに調えておく。
  13. <ごはんを炊く>トマトソースを煮詰めている間に、米をザルにあげて水気を切る。
  14. フライパンにバター(小さじ1)と塩(小さじ1/3)を入れて中火にかけ、バターが融けたら米を入れ、全体に均一にバターがゆきわたるように1分くらい炒め、炊飯器の釜に入れ、肉のゆで汁の残りの半量を入れ、水(分量外)を目盛りの1.7合の高さまで入れてひと混ぜし、ベイリーフを入れて急速炊飯モードで炊く(フライパンは後で肉を炒めるので洗わずに置いておく)。
  15. <肉の仕上げ>フライパンにバター(小さじ1)を入れ、中~弱火にかけて融かし、肉を入れ、塩(小さじ1/3)をまんべんなくふり、表面が良い焼き色になるよう、じっくりと焼きつける。
  16. <盛り付け>ごはんが炊けたらベイリーフを除去してから全体を混ぜてほぐし(このとき肉の残りのゆで汁の一部を少々混ぜてもよい)、パンの上に盛り、肉のゆで汁の残りをごはんの上からまんべんなくかけ、平らにならし、トマトソースの3/4量を乗せ(残り1/4量は小皿に入れておく)、肉を乗せて出来上がり。
  17. 完成したファッタと、トマトソースの小皿を卓上に出し、トマトソースは食べる人が好みで追加できるようにする。
  18. Enjoy!

材料と調理のこつ

  • このレシピと時間で調理をするには、炊飯器+3つの鍋またはフライパンが必要です。盛り付ける直前の段階で、フライパンには炒めた肉があり、中鍋に肉のゆで汁があり、小鍋にトマトソースがあるためです。このレシピでは4つ以上の鍋類を使わないよう、フライパン1つでパン炒め→炊飯前の米炒め→最後の肉炒めをこなすよう段取りを工夫しています。
  • 肉をゆでる水の量は、盛り付ける皿のサイズによって変わります。写真の皿は直径約28 cmの平皿です。あまり多くても余るだけなので、パンとごはんがびしゃびしゃにならないようにしました。
  • 肉を1時間煮るとき、火加減が強いと肉が硬くなるおそれがあります。ごく弱火で肉がふっくらとするように気を付けます。圧力鍋や鍋帽子を使ってもよいです。
  • トマトソースを作るとき、フライパンを使うと側面が低くて跳ねたものが周囲を汚します。小鍋など側面に高さがあるものを使うとよいです。また跳ねによる飛散を防止するために、ザルやネットをかぶせるとよいです。
  • スパイスは使用例です。ないものは省いたり、好みのものを加えたりできます。カルダモンパウダーではなくカルダモンをサヤごと加えてもよいです。
  • このレシピでは、米、パン、トマトソースのすべてに肉のゆで汁を加え、風味と旨味がバラバラにならず一体化するようなレシピを採用しているので、炊飯に肉のゆで汁を活用しています。米と水で普通に炊飯してもよいですし、鍋炊きする場合は米と熱湯で炊いてもよいです。

Tips about cuisine

  • 「ファッタ」のアラビア語(エジプトの公用語)の綴りは「فتة」。
  • 「فتة」(ファッタ)は「ちぎったもの」や「スクラップ」の意味であり、パンをちぎって使用していることを指す。


本記事、レシピ内容及び写真の著作権はすべて管理人:松本あづさ(プロフィールは≫こちら、連絡方法は≫こちら)にあります。読んでくれた方が実際に作って下されば嬉しいですし、料理の背景やTipsなど、世界の料理情報の共有を目的として、大事に作成しています。
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