パヤ

  • パキスタン料理

  • 現地表記

    :پایا(ウルドゥ語)

  • 概要

    :動物の足のカレー

パヤ

今のインドの前身は今のバングラデシュやパキスタンを含めた広大なインドでした。宗教対立から分離することになり、その結果、パキスタンとバングラデシュは人口の9割がイスラム教徒で、インドはヒンドゥー教徒が人口の8割を占める国になりました。バングラデシュはその立地から魚をよく食べる国。パキスタンは遊牧民の伝統からお肉をよく食べる国。インドはその宗教性から菜食主義者が多い国という印象が持たれるようになりました。さてさてそんなわけでパキスタンではお肉類が非常によく食べられています。「パヤ」は足の部位で、牛や羊やヤギの足を割って骨髄の旨味も出して、複雑で芳醇なスパイスの香りとともに素晴らしいカレーになります。カレーというよりむしろシチューのような感覚が美味しいし嬉しいです。実際に自宅でパヤを作ったら本当に美味しくて感動して、最近ジビエ振興(ジビエ料理レシピ開発)にも力を入れる私は、日本でも「ジビエのパヤ」を推進したいなあと思いました。

材料

8人分):
<肉スープを作る>

足の骨付き肉(※1)
4本(※1)
水A
1.4 L
玉ねぎA
1/2個
にんにく
6かけ
生姜
3 cm立方
トマト
1個
青唐辛子
1本
粗びき唐辛子
小1
大1
粒こしょう
10粒
クミンシード
大1
ターメリックA
小1/2
カルダモンホール
6さや
クローブホール
4本
ナツメグ(※2)
小1/4
ベイリーフ
4枚
シナモンスティック
10 cm

<オニオンオイルを作る>

玉ねぎB
1/2個
バター
大1
サラダ油
大8
ヨーグルト
1/2 C
ガラムマサラA
小1
カイエンペパー
小1/3
パプリカパウダー
小2/3
ターメリックB
小1/2
コリアンダー
大1.5
クミンパウダー
小1
小1
水B
1/2 C

<仕上げ>

ガラムマサラB
小1/2
ジンジャーパウダー
小1/2
レモン果汁
小1/2
  • ※1:足の骨付き肉は普通のスーパーではなかなか売っていないので、ネットで探すと見つかると思います。「パヤ」という部位について厳密なことは下のコツ欄参照。代用はラムシャンクです。骨つきで800 gくらいでした。
  • ※2:ナツメグはメースでもよいです。

調理時間

作り方

  1. <肉スープを作る>斧(おの)を使って足の骨を断ち切るか、肉屋に骨ごとを切断してもらう。
  2. 切断後の肉を洗い、骨のカケラを出来るだけ落としておく。
  3. にんにくを薄切りに、生姜を千切りに、トマトを1~2 cm角切りに、青唐辛子を小口切りにする。
  4. 大きな鍋に水A(1.4 L)、骨付き肉、玉ねぎA(1/2個)、にんにく、生姜、トマト、青唐辛子、粗びき唐辛子、塩、粒こしょう、クミンシード、ターメリックパウダーA(小さじ1/2)、カルダモンホール、クローブホール、ナツメグパウダー、ベイリーフ、シナモンスティックを入れて強火にかけ、沸騰したら弱火にし、フタをして5時間ゆで、肉スープを作る。
  5. <オニオンオイルを作る>玉ねぎB(1/2個)を粗みじん切りにする。
  6. フライパンにバターとサラダ油を入れて中火で熱し、ヨーグルトを入れて混ぜ、ヨーグルトがもろもろとしてきたら玉ねぎを入れて炒める。
  7. 玉ねぎが色づくほどに火加減を弱め、あめ色になって体積が元の半分くらいになったら、ガラムマサラA(小さじ1)、カイエンペパーパウダー、パプリカパウダー、ターメリックパウダーB(小さじ1/2)、コリアンダーパウダー、クミンパウダー、塩を加えてよく炒め、スパイスの香りが出たら水B(1/2 C)を入れて5分くらい煮る。
  8. <仕上げ(翌日がよい)>肉スープの鍋を沸かし、オニオンオイルを入れ、ガラムマサラB(小さじ1/2)、ジンジャーパウダー、レモン果汁を入れる。
  9. 火を止めて味見をし、塩加減やスパイス加減を好みに調える。
  10. 数分置いて、赤い油が浮いたら出来上がり。
  11. Enjoy!

材料と調理のこつ

  • 足の骨付き肉は、現地では風呂釜サイズで大量に作ることもある料理なので牛の足も使いますが、羊のほうが骨が細いので調理は楽だと思います。ここでは骨4本分を半分に割って使うことで8人分のレシピとしました。
  • 羊の足はラムシャンクが入手しやすいと思うのですが、厳密言うと、シャンクは「膝関節からかかとの間、すなわちすね」、パヤは「かかとより先」なので両者は異なる部位です。ただ動物解剖に詳しくないと牛や羊のかかとの位置が大変分かりにくいので、下のリンク先の図解をご覧ください。
  • パキスタン料理食材の「ボン」と「パヤ」の部位

  • ジビエ肉が手に入る方は、現地では使わないであろうお肉ではありますが、鹿やイノシシなど日本のジビエの足を使ってもよいと思います。
  • 肉スープを作るときは香りが逃げないよう必ずフタをします。よって吹きこぼれないように注意します。
  • ヨーグルトを油に入れるときは跳ねないよう、一気に入れて一気に油の温度を下げ、入れたら常にかき混ぜるようにします。
  • カイエンペパーパウダー小さじ1/3とパプリカパウダー小さじ2/3は、現地の唐辛子粉(カシミリチリ)の代用です。カシミリチリは辛味がマイルドですが赤い色がよく出るので、カイエンペパーパウダーをパプリカパウダーで薄めて辛味を減らしながらも赤さを減らさないようにしています。
  • トマトを入れないレシピもありますが、入れるレシピもあります。ここでは赤い色を綺麗に出したいのでトマトを入れるレシピで作っています。
  • 肉スープもオニオンオイルも1日置いたほうが旨味が引き出されるので、両者を翌日に合わせるレシピとしています。よって調理時間は2日としました。
  • トッピングには刻みパクチーや千切り生姜がよく使われます。
  • 赤い油がどっと浮くのが良いので、気にならないならサラダ油の量を増やしてもよいです。
  • 食べる人が気にならないなら固形スパイスを入れたままでもよいし、気になるなら取り出します。

Tips about cuisine

  • 「パヤ」のウルドゥ語(パキスタンの公用語)の綴りは「پایا」。
  • 膝関節から先のすねの部分はボン(بونگ)、かかとから先をパヤ(پایا)と呼ぶ。ただ動物解剖に詳しくないと牛や羊のかかとの位置が大変分かりにくいので、下のリンク先の図解をご覧ください。
  • パキスタン料理食材の「ボン」と「パヤ」の部位

  • ボンとパヤを区別せずに使ってこの料理を作る場合は「ボンパヤ」になる。
  • 「パヤ」は「パィエ」のように発音されることもある。


本記事、レシピ内容及び写真の著作権はすべて管理人:松本あづさ(プロフィールは≫こちら、連絡方法は≫こちら)にあります。読んでくれた方が実際に作って下されば嬉しいですし、料理の背景やTipsなど、世界の料理情報の共有を目的として、大事に作成しています。
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