スベリヒユ(Portulaca oleracea)は、日本の各地で農家や家庭菜園の作業者を悩ませる畑の雑草です。駆除しても駆除しても生えてくる、そういう視点では厄介なヤツです。
特に夏に旺盛に茂ります。
拡大するとこんな感じです。
みなさんも、見覚えがありませんか?
でも、世界的にはスベリヒユは美味しいことで知られる人気食材です。
私も各国レシピを収集中で、
- 英語でPurslane(パースレーン)
- アラビア語イラク方言でبربين(バルビーン)
- ティグリニャ語でርጅላ(ルジュラ)
- トルコ語でSemizotu(セミゾトゥ)
- フランス語でPourpier(プルピエ)
と呼ばれています。
スベリヒユは、日本の野草愛好家の方々は、主にゆでておひたしにして食べることが多いようです。私の手持ちの野草図鑑にもそう書いてあります。
はい、上の写真が、私がときどき作っているおひたしです。おかか醤油でも、ポン酢でも。まあ美味しいですね。だけれども、この記事で強調したいのは世界の食べ方の美味しさ。世界の食べ方が段違いに美味しいから!
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スベリヒユは葉も茎も花も食べられます。
「スベリ」の名の由来。これは加熱すると茎や葉の中の組織がとろとろねばねばになって口のなかでツルンとすべることです(一説では葉っぱの表面がつるつるしているかららしいです)。なので世界的に多い料理法と私が実感しているのは、細かく刻んで組織が煮汁に溶け出るようにして、煮込んでしまう調理法です。
そこにレンズマメ(早く煮えてほくほくになる豆)と合わせてもったりとさせ、食べ応え、旨味、満足度を高め、香辛料を加えてややカレーのようにして、もったりぬめぬめをパンですくうなどして食べるのです。
オクラやモロヘイヤが好きな方ならきっと気に入っていただける美味です!
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ということで、よくあるレシピの代表例として、エリトリア料理の「ルジュラ」を作りました♪
美味しいー♡
もうね!!スベリヒユを包丁で切っている瞬間からそのとろとろさが出てきて、テンションがあがります!! 煮込むととろとろが増してきて、もっとテンションがあがります!!
最初これを作ったとき、入れるスベリヒユの量が少なかったんです。でも作っている途中で「これはもっとスベリヒユを増やしたい!」と思って、勇気を出して現地並みにドカッと入れてみたら、やっぱり世界の伝統的なレシピに則るほうが美味しいと思いました。一緒にレンズマメを入れることが多いのだけど、レンズマメが煮えてほくほくさらさらと口の中でほぐれていくその食感は、夫は「イエメン料理によくあるよねこういうの」と言っていました。私もそう思いました。
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ちなみに、摘むときは、おひたしくらいのときは柔らかそうな部分を優先的に採ります。とろとろ煮を作るときは太い茎の部分も採ります。
太い茎の部分も美味しいですよ。おひたしでは硬いこともあるのですけれど、ルジュラのように、みじん切りにしてくたくたに煮ると、太い茎の部分のほうがとろとろねばねば成分を多く出すので、美味しくなります。
また、収穫するときは、元気にまた生えてきてほしいから、ある程度の茎と葉を残してあげます♪
こんな感じで。夏のうちはここからまたぐんぐん大きくなるのです。スベリヒユはやせた土壌で育つため、肥料も特に与えません。ω-3系不飽和脂肪酸を多く含むので、諸外国では心臓の発作(狭心症とか心筋梗塞とか)を防ぐとして評価されているそうです。露地栽培の菜園では、8月はレタスもないパクチーの葉もないほうれんそうもない、と、葉っぱ野菜が不足しやすい時期ですが、こういうスベリヒユやモロヘイヤなど夏に強い葉野菜は非常に有難い存在です。
マウスの実験で認知症の症状を改善したとか。(Las betacianinas aisladas de Portulaca oleracea ha mejorado déficits de la cognición provocada dando cantidades de D-galactosa a ratones seniles.)(≫こちら
スベリヒユ。
夏の嬉しい雑草!! ほかの雑草は抜いてもスベリヒユは私は大事に育てています!!