今回の記事は、発酵魚介類の調味料、いわゆる魚醤について。
日本で魚醤と言えば、東南アジア産のナンプラーが価格が安くそこそこの市場規模を持っているように見受けられます。
しかし、本来我々がもつ魚醤、すなわち我々の最も身近にあって然るべき魚醤は、しょっつる(秋田県)やいしる(石川県)など、日本が育んだ魚醤であるはずです。でも現実はそうじゃない。日本は大豆の醤油がおそらく99%以上のシェアを持ってしまったのです。
でも、もし日本の魚醤が安価に普及していれば、日本人が日本の魚醤を飛び越してナンプラーに飛びつくこともなかったのではないかと思ったのが、今回の記事を書く1つのきっかけになっています。
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最近、モニター商品として、正田醤油(≫こちら)の「魚醤3種セット」を受領しました。
まず、極めて大事なこととして、味比べをしました。
左から、「魚醤3種セット」の鮭しょっつる、いさだ(※)醤油、ナンプラーです。右から2つめが自宅で所有していた市販のナンプラー、一番右が、私の手作りのナンプラーです。自家製ナンプラーはアンチョビを作るときの副生成物として得られるものです。鮭しょっつると3つのナンプラーはいずれも魚を原料とするためか、味も塩分の濃さも似ていました。いさだを使った魚醤はエビ風味が強く出ていました。
※いさだはツノナシオキアミのこと。小エビに似た体長数cmのプランクトン。
このテイスティングでは、魚介類が好きな私は、魚介類に基づく醤油も美味しいものだと、再認識することができました。
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魚醤が遠くなってしまった今の日本にいると、日本産の魚醤を味わって「東南アジア風味」と思ってしまうのが、悔しいようなおかしいような気がします。だからこそ、今もなお日本で日本産の魚醤を販売してくれる会社の心意気には、伝統を守るという意味での社会貢献活動が感じられ、好感を抱きます。
私たちの住む日本列島は東アジアだ。東アジアの民として日々の食卓に魚醤を使っていくのは良いことだと思うし、伝統復興だと言える。伝統復興のアイディアはあって、魚醤文化が残る地域の料理を日本の食材で真似すればいい。伝統も食材も似ている地域の料理だから、日本での伝統復興が手っ取り早く広められるんじゃないかと思って、今回は、旨味づけに魚醤を使用して茶碗蒸しを作ってみました。東南アジアの旅の経験から、卵と魚醤は相性が良いと確信を持てているので、茶碗蒸しは必ずや美味しく作れるはずです。
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出来ました\(^o^)/
レシピは簡単です。しかも、この卵とだしの比率が黄金で、ふるっふるのふわっふわで、なおかつ火が完璧に通っていて、感激の出来映えです☆
※本記事は(1)「正田醤油×レシピブログ」のモニターコラボ広告企画に参加していること、(2)魚醤をモニタープレゼントされたことに基づき執筆するものです。
材料(丼1つ分):
- 水
- 350mL
- 豚ひき肉
- 30g
- 魚醤(※)
- 大1/2
- 中華だしの素
- 小1/2
- 卵(Mサイズ)
- 2個
- カニカマ
- 5cmを4本
- 三つ葉かパクチー
- 仕上げに乗せる量
※今回は「鮭しょっつる」を使用。通常市販されているナンプラーを使ってもよいです。
作業工程:30 分
- 鍋に水の半量と豚ひき肉を入れて中火にかけ、豚肉の表面が白くなってきた頃にほぐし、沸騰して豚肉に火が通ったら火を止める。
- 魚醤と中華だしの素を入れて溶かし、残りの水を入れて温度を下げる。
- 50℃以下(卵を入れても固まらないと思える温度)になったら、卵を入れ、泡だて器で、泡は立てないが白身はしっかり切るように1分間撹拌する。
- 味見をして塩加減や旨味加減を好みに調え、丼に入れ、丼がすっぽり入るフタつきの鍋に入れる。
- 丼の7割くらいの高さまで水を入れ、中火にかける。
- 弱い沸騰状態になったらフタをして10分加熱し、火加減を随時調整して弱い沸騰状態を保つ。
- 火を止め、フタをしたまま15分置いて蒸らす。
- 途中丼を傾け、明らかに凝固が足りない場合は加熱や蒸らしを繰り返す。傾けてみて凝固していそうなら中央に菜箸を刺し、穴からは透明な液が出て、菜箸を抜いたあとも穴が閉じないことで凝固を確認する。
- カニカマを十文字に置き、中央に粗くちぎった三つ葉かパクチーを乗せて出来上がり。
- Enjoy!
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東南アジアの食の経験を取り入れれば、東南アジアと食材が多く共通する日本で、魚醤を使う美味しい料理を手早く広めていけることと思う。日本近隣で魚醤文化が残る地域の料理を日本の食材で真似するという、今回の発想が、魚醤文化の伝統復興の何かの役に立てれば嬉しく思います。